Tuesday 31 August 2010

V&A (ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館) セラミック室 Open

先日から、モリス、ド・モーガンと、V&Aねたが続いている。そう、V&Aは私が一番お気に入りのミュージアムで、「ここに住みたい」と思うぐらい・・・(笑)。今日は、そのV&Aにこの夏、新オープンした、セラミック室を展覧してみよう。

日本語の中で「セラミック」というと、「磁器」ということになったと思うが、Ceramicの語でPottery(陶器)やEartenware(土器)もひっくるめて呼ぶので、「陶磁器室」と呼んだ方がいいのかもしれない。
6階に相当するレベル6にあるので、少し他の部門からは切り離された感じがする。そのせいか、以前にV&Aに「セラミック」の括りの部屋あったとは、全く覚えていない。5年前から順番に部屋から部屋へ、最新のディスプレイを導入する大改装が進んでいるが、この6月に全セラミック室がオープンしたニュースを見て初めて、そのような部屋があることに気づいた。常設展示26,500アイテム・・・という話で、一体どうやって展示されているのかだけでも興味津々。まずは、その圧巻のディスプレイのイメージから。

New Ceramic Rooms
V&A Ceramics Study Rooms

部屋の真ん中に、ガラス棚が「部屋」状に作られていて、すべての棚は内側から開くようになっている。このガラス棚部屋の両端に、ガラスの出入り口ドアがある。申請・認可された研究者は、内側で、それぞれのアイテムを手にとって閲覧できる。もちろん、私のような一般見学者は、このように檻の外から、ガラス越しに拝見するのみ・・・。

Ceramics...
V&A Ceramics Study Rooms
棚を横から覗いてみた・・・かなりシュールな光景。

この、ガラス棚部屋はセラミック・スタディー・ルーム(陶磁器研究室)と呼ばれ、同じ規模の部屋が2つある。
ここを見ただけでも、26,500アイテムに誇張はなかったのだな・・・と思う。

New Ceramic Rooms
V&A Ceramic Rooms
その研究室のあいだに、このような丸いガラス棚の展示室がある。

New Ceramic Rooms
V&A Ceramic Rooms

何箇所かにスクリーン・ディスプレイが設置されている。これで、探している陶磁器が、どこに展示されているのか検索する。そうでもしないと、全10室に及ぶディスプレイから、目当てのものを見つけるのは、なかなか難しい。私も、ド・モーガンをこれで探した。

今回は、他のジュエリーの調べ物をした後に寄ったので、あまり時間はなかった。以下は、ド・モーガンの他にぶらぶら見てまわっていて、目に留った物達を脈絡なく・・・。

Agate earthenware
ただAgate earthenware(メノウ焼き)のみの表示。
色の違う土を混ぜているのか、釉薬でそうなっているのかはよく解らない。
よく似たものを、南フランスでいまでも製作されているのを見たことがある。

Agate earthenware - collage
ちょっと興味があるので、いくつか参考までに撮ってみた。
V&Aサイトで検索してみたら、出てきた。Agate Earthenware
どうやら、18世紀中に北イングランドの陶磁器産地Staffordshire(スタッフォードシャー)で作られていたもの。
南フランスとは関係なかったな(笑)。
このテイストは、いまでも日常に使えると思う。

Cats
そのフィギアもの(動物や人物像)の猫達。後ろの子は鼠をくわえている。

Flower ceramic
個人的には、こんなロマンティック系はタイプではないのだが・・・写真には面白いかも。
今回は他にも、いろいろロマンティック系フィギア物を撮ってみた。

Ceramic figures
棚にてんこ盛りのフィギア物達。群集といってもいいぐらい。

Ceramic figure
仲良くやってるかと思うと・・・、

No...I don't mean...
もめていたりもする。

Ceramic figure
不思議な「何か」を売り歩く人もいれば・・・、

Ceramic figures
Rockしている人もいる。

Saucers
最後は、ソーサーに・・・・、

Cups
カップで、お茶をどうぞ。


新しい遊び場。また、何度も撮りに来ることになるだろう。

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Monday 30 August 2010

Kotomi ジュエリー 2010秋冬コレクション内見会

一昨日終了した内見会のイメージをFlickrにUPしたので、ここでも標本箱に詰め込んでおこう・・・。

そもそもの企画はロンドン・ホメオパシー&ヒーリング通信Danaさんで、彼女が通訳を務めるホメオパシー学校の受講生の皆さんを中心に「引率」してきてくれた。
その他、旧友の皆さんとの再会もあり、にぎやかで楽しい2日間。

Kotomi jewellery - Preview Event

Kotomi jewellery - Preview Event

普段は作業机、この日はディスプレイ台にセットアップ。秋冬物の新作を中心に並べてみた。
しかしこれは形だけ・・・。すぐに「もっとこんな色のものありますか?」とか、「もっと大きいもの」「小さいもの」・・・などなど、皆さんのご要望にお答えして、ストックから引っ張り出す・・・。というか、ストック袋丸ごと手渡して、どんどん「掘り出してもらう」状態に陥る。毎度のこと(笑)。

Kotomi jewellery - Preview Event

あ、掘ってる掘ってる・・・(笑)。
ジュエリーはとにかく着けてみないことには解らない。見た目気に入ったものでも、実際付けてみると肌の色に合わなかったり、最初「こんなの派手かも」と思ったものが、付けてみたら一番しっくりきたり、予想外の展開も多々ある。

Kotomi jewellery - Preview Event

気に入ったものは、あとで絞り込むとして、同行の友人達に取られないようまずは確保。若干バーゲン会場的様相も帯び始める・・・?

Kotomi jewellery - Preview Event

その中から、予算と相談しながら最終の絞込み。
それぞれ皆さん、よく似合うものを見つけるものだなぁ・・・などと、いつも半ば傍観者的に感心したりもする私。
一つの石と、それに組み合わせられる他の素材達との「出会い」を具現化するのが私の仕事なのだが、こうやって完成したジュエリー達が、皆さんの目に留まって、手にとってもらえて、そして最終的に選んでもらえるというプロセスを目の当たりにするにつけ、それぞれのジュエリーとそれを選んだ方の、不思議な「縁」のようなものも、いつもながら感じてしまう。

皆さんどうもありがとう。お手元に届いた「うちの子」達を可愛がってやってください(ほとんど親バカですね・・・ははは)。

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Sunday 29 August 2010

Burne-Jones(バーン・ジョーンズ)のステンドグラス-2-

2日間のKotomiジュエリー、秋冬物内見会も終了。2日目も皆さんに会えて、私もとても楽しかった。企画とお手伝いのDanaさんも、どうもありがとう!!感謝合掌。また、シーズンごとに、時折、開催予定。今後とも、よろしく!!

引き続きBirmingham(バーミンガム)より、Edward Coley Burne-Jones(エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ)のステンドグラス。今日は、The Cathedral Church of St. Philip (バーミンガム大聖堂)より。

今回も小さいカメラの写真・・・ご容赦。

The Nativity
キリスト生誕。

Detail of "The Nativity"
キリスト生誕,ディーティール。

Detail of "The Nativity"
愛らしい礼拝する天使・・・。

The Crucifixion
十字架のキリスト。

The Ascention
キリスト昇天。

Detail of  "The Ascension"
キリスト昇天,ディーティール。

The Last Judgement
最後の審判。

Detail of " The Last Judgement"
最後の審判、ディーティール。


今日のおまけMusicは・・・Caccini(カッシーニ)のAve Mariaを、カウンターテナー、Slavaのヴァージョンで・・・。

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Saturday 28 August 2010

Burne-Jones(バーン・ジョーンズ)のステンドグラス-1-

昨日は皆さん、秋冬物内見会に来ててくださって(そしてお買い上げ!!)どうもありがとう。
今日もまた内見会の2日目、また、その写真をUPする予定。それまでは、また「モリス一家」の続編で、今日はバーン-ジョーンズのステンドグラス。

2年前にイギリス、Birmingham(バーミンガム)にアーツ・アンド・クラフツ作品を見に行った時の写真。
まだ小さいカメラだったので、画像があまり綺麗でないが・・・ご容赦。

Edward Coley Burne-Jones(エドワード・コーリー・バーン-ジョーンズ)は、Morrisの長年の親友でもあり、ラファエル前派を代表する画家。すでに、資料はあまねく行き渡っていると思うので、ここではウィキ・リンクをつけるにとどめておく。
彼自身バーミンガム出身ということもあり、バーミンガムのいくつかの教会には、彼のステンドグラスが収められている。

今日はまず、St Martin in the Bullring (セント・マーティン・イン・ザ・ブルリング)より。
第二次世界大戦中のドイツ軍の爆撃で、東側のステンドグラスが粉砕された。この現存するステンドグラスにも被害が及ばないよう、撤去、避難させたところ、まさにその夜に再度の爆撃。教会自体は大ダメージを受けるが、このステンド・グラスだけは、かろうじて難を逃れたという裏話がある。

Stained glass by Burne-Jones
全体像。

Salvator Mundi and the Evangelists

The Annunciation
受胎告知のシーン。

Detail of " The Annuciation"
受胎告知の大天使ガブリエルのディーティール。

The Nativity
キリスト降誕。
その年のクリスマスカードに使った(笑)。

Detail of "The Adoration of the Magi"
マギの礼拝、ディーティール。

Detail of "The Entombment"
キリストの埋葬、ディーティール。


セント・マーティン・イン・ザ・ブルリング教会はバーミンガムの街のど真ん中。「銀色海鼠」のセルフリッジの向かいといってもいいぐらい。もし、バーミンガムに行かれることがあれば、ご覧ください。

Fauré(フォーレ)の Requiem (レクイエム、Op. 48) より Pie Jesu ---

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Friday 27 August 2010

William De Morgan(ウィリアム・ド・モーガン)の陶芸

カーディフ写真旅行では、またまた大量に写真を撮ってきたが(1000枚越し・・・)、ポストプロセスにまだしばらく時間がかかるので・・・また、少しずつ展覧予定。今日はまだ、Arts and Crafts(アーツ・アンド・クラフト)ウィリアム・モリスの仲間達の続き。

モリスの初期からの協力者で、陶芸部門を担当していたのが、William De Morgan(ウィリアム・ド・モーガン)。

1839年に数学者一家に生まれる。20歳で、画家になるべくRoyal Academy(王立芸術協会)に入門するが、すぐにその権威的絵画に失望。ちょうどその頃、モリスに出会い、最初はステンドグラスを製作。やがて、陶芸に進出、1872年にロンドンのChelsea(チェルシー)に窯を持つ。(窯はその後、ロンドン郊外Merton Abbey-マートン・アベィ、そしてFluham-フルムへと移動。)
スタイルは主に中近東、ペルシャの陶芸、特に15世紀オスマントルコ下のIsnik(イズニック)焼きから影響を受けている。
また、初期の頃、スペインーイタリアー中近東に伝わるLustre ware(ラスター焼き、表面にメタリックな輝きを出す陶器)の焼成法を再発見し、エキゾティックなモチーフとともに、ド・モーガンの代表作となる。
ラファエル前派の女流画家、Evelyn De Morgan(イーヴリン・ド・モーガン)は彼の妻。

De Morgan CeramicsVase - William De Morgan
初期のラスター焼き。V&A所蔵

De Morgan ceramicsVase - William De Morgan
初期のラスター焼き。V&A所蔵

De morgan ceramics
V&A所蔵。

De Morgan ceramics
V&A所蔵。

Plates - William De Morgan
V&A所蔵。

Plate - William De Morgan
V&A所蔵。

Vase - William De Morgan
V&A所蔵。

Tile - Chaucer - William De Morgan
チョーサーを描いたタイル。V&A所蔵。
中世を理想化して夢見る、モリス達にとって、中世のイギリス詩人チョーサーは、
イメージ・ソースであり、ヒーローでもある。

Tiles - William De Morgan
タイル、V&A所蔵。

Tile - William De Morgan
典型的なイズニックスタイル。V&A所蔵。

Tile panel - William De Morgan
V&A所蔵。

こうなるともう・・・トルコタイルなのか、イギリス19世紀末タイルなのか・・・タイルだけでは判断に苦しむ・・・。

William De Morgan- tiles
彼の代表作、カーネーションのシリーズ。バーミンガム博物館所蔵


明日はバーミンガムから、やはり「モリス一家」のバーンージョーンズのステンドグラス。

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Monday 23 August 2010

William Morris(ウィリアム・モリス)in V&A (ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)

引き続きWilliam Morrisのデザインに関して。
先日訪れたRed Houseには、残念ながら彼や彼の会社「モリス商会」デザインの家具はあまり現存してはいない。
モリス自身引っ越していったわけで、移動できる家具はほとんどすべて持ち出されてしまっている。
後年のオーナー達によってモリスの壁紙が導入されたり、現在所有のナショナル・トラストも、復元プロジェクトに力を注いでいるが、まだ何年もかかる話。
ロンドン周辺で彼のデザインした家具を見るには、V&Aこと、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館が一番手っ取り早い。

Cabinet - The Legend of St.George and the Dragon
キャビネット、聖ジョージとドラゴン伝説
Phillip Webb(フィリップ・ウェッブ)デザイン、ウィリアム・モリスによるパネル画、1861-62.V&A所蔵

セント(聖)ジョージはイギリスの守護聖者。中世の騎士たちは「セント・ジョージ!!!」と雄たけびながら、敵軍に突っ込んだとか。現在のフットボール・ファンにそれは踏襲されているのだろう・・・?
ちなみにフランスの守護聖者はサン(聖)ドニなので「モン・ジョア!!サン・ドニ!!!」と叫びながらフランス騎士は突っ込んでくる・・・完全に話がそれた・・・。
そんなわけで、中世以来イギリスにはセント・ジョージ・モチーフがあふれていて、どれもドラゴン退治。爬虫類好きの私には、ちょっとドラゴンが気の毒。

ステンドグラス・バージョンはこれ、

Stained glass panels - The Legend of St. George and the Dragon
ステンドグラス、聖ジョージとドラゴン伝説
デザイン、ロセッティ、モリス・マーシャル・フォークナー商会製作、1862年頃
V&A所蔵


もう一つよく描かれるテーマの一つに「ルネ王」がある。

Cabinet: King Rene's honeymoon
キャビネット、ルネ王のハネムーン
モリス、Madox Brown (マドックス・ブラウン)とRossetti(ロセッティ)によるパネル画、1860-62、V&A所蔵

ルネ王のモチーフは当時の人気歴史作家Walter Scott's (ウォルター・スコット)の小説 「Anne of Geierstein (アン・オブ・ゲイアステイン)」から採られている。ルネ王は南フランスアンジューに15世紀に実在した王で、芸術のパトロンとして知られる。シーンはルネ王と女王Isabel(イザベル)のハネムーンとしながら、人間と芸術(建築・絵画・彫刻・音楽)の愛を、ラファエル前派的理想化で描いているもの。

このテーマはステンドグラス等にも、繰り返し描かれる。

Stained glass - King Rene's honeymoon
ステンドグラス、ルネ王のハネムーン
モリス・マーシャル・フォークナー商会製作、1863年ごろ
V&A所蔵

家具の方では、レッドハウスで展覧したサセックス・チェアーの他に、このような安楽椅子・・・。

Adjustable-back chair, designed by Phillip Webb, 1870-90
アジャスタブル・バック・チェアー(背もたれ調節のできる安楽椅子)
フィリップ・ウェッブ、デザイン、1870-90。V&A所蔵

その他、タペストリー、カーペット、タイル等々、展示は続く。

Tapestry - Angeli Minstrentes
タペストリー、守護天使達
モリス商会 1894、V&A所蔵

Artichoke - embroidered wall hanging
アーティチョーク、刺繍壁掛け。1877-1900、V&A所蔵

The Bullerswood carpet
ブラースウッド・カーペット、モリス商会1889。 V&A所蔵

Tile Panel - designed by William Morris, made at the William De Morgan pottery, 1876
タイル・パネル
モリス、デザイン、William De Morgan(ウィリアム・ド・モーガン)製作、1876. V&A所蔵

Ariadne and Phyllis from Chaucer's "The Legend of Good Women" - designed by Burne-Jones and William Morris, 1870
アリアドネとフィリス、チョーサーの「善女伝説」より、1870。
V&A所蔵

以上、V&AのBritish Galleries(ブリティッシュ・ギャラリース)の、Level4(4階)の19世紀末Room「125」に大半が集められている。しかし、モリスネタなら、もう一箇所覗いてみる値打ちのある部屋がある。それはMorris Room(モリス・ルーム)と現在は呼ばれているが、V&A開館当時は、その装飾の色合いからGreen Room(緑の部屋)と呼ばれたカフェ。

Morris Room Cafe
モリス・ルーム・カフェ。V&A

Panel by Edward Burne-Jones - collage - Morris Room
モリス・ルーム・カフェ内の壁パネル、バーン-ジョーンズ画。V&A

Stained glass detail - collage - Morris Room
モリス・ルーム・カフェ内、ステンドグラス部分。V&A

こんな愉快なものを描くのはフィリップ・ウェッブ・・・と見た。

ごゆっくりお茶でもどうぞ(笑)。

ところで、この秋に京都、東京、名古屋で「英国、ヨーロッパ、日本のアーツ・アンド・クラフツ展」が巡回すると聞いた。そのため、V&Aから巡業に出ている収蔵品もある。日本におられる方で、チャンスがあればぜひご覧ください。

明日から、カーディフに写真旅行に出るので、更新はしばらくお休み。金曜日に帰ってきたら、モリスのタイル、陶器部門を支えた、William De Morgan(ウィリアム・ド・モーガン)の作品を展覧予定。

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