William Morris(ウィリアム・モリス)in V&A (ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)
引き続きWilliam Morrisのデザインに関して。
先日訪れたRed Houseには、残念ながら彼や彼の会社「モリス商会」デザインの家具はあまり現存してはいない。
モリス自身引っ越していったわけで、移動できる家具はほとんどすべて持ち出されてしまっている。
後年のオーナー達によってモリスの壁紙が導入されたり、現在所有のナショナル・トラストも、復元プロジェクトに力を注いでいるが、まだ何年もかかる話。
ロンドン周辺で彼のデザインした家具を見るには、V&Aこと、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館が一番手っ取り早い。
セント(聖)ジョージはイギリスの守護聖者。中世の騎士たちは「セント・ジョージ!!!」と雄たけびながら、敵軍に突っ込んだとか。現在のフットボール・ファンにそれは踏襲されているのだろう・・・?
ちなみにフランスの守護聖者はサン(聖)ドニなので「モン・ジョア!!サン・ドニ!!!」と叫びながらフランス騎士は突っ込んでくる・・・完全に話がそれた・・・。
そんなわけで、中世以来イギリスにはセント・ジョージ・モチーフがあふれていて、どれもドラゴン退治。爬虫類好きの私には、ちょっとドラゴンが気の毒。
ステンドグラス・バージョンはこれ、
もう一つよく描かれるテーマの一つに「ルネ王」がある。
ルネ王のモチーフは当時の人気歴史作家Walter Scott's (ウォルター・スコット)の小説 「Anne of Geierstein (アン・オブ・ゲイアステイン)」から採られている。ルネ王は南フランスアンジューに15世紀に実在した王で、芸術のパトロンとして知られる。シーンはルネ王と女王Isabel(イザベル)のハネムーンとしながら、人間と芸術(建築・絵画・彫刻・音楽)の愛を、ラファエル前派的理想化で描いているもの。
このテーマはステンドグラス等にも、繰り返し描かれる。
家具の方では、レッドハウスで展覧したサセックス・チェアーの他に、このような安楽椅子・・・。
その他、タペストリー、カーペット、タイル等々、展示は続く。
タペストリー、守護天使達
モリス商会 1894、V&A所蔵
アーティチョーク、刺繍壁掛け。1877-1900、V&A所蔵
ブラースウッド・カーペット、モリス商会1889。 V&A所蔵
タイル・パネル
モリス、デザイン、William De Morgan(ウィリアム・ド・モーガン)製作、1876. V&A所蔵
アリアドネとフィリス、チョーサーの「善女伝説」より、1870。
V&A所蔵
以上、V&AのBritish Galleries(ブリティッシュ・ギャラリース)の、Level4(4階)の19世紀末Room「125」に大半が集められている。しかし、モリスネタなら、もう一箇所覗いてみる値打ちのある部屋がある。それはMorris Room(モリス・ルーム)と現在は呼ばれているが、V&A開館当時は、その装飾の色合いからGreen Room(緑の部屋)と呼ばれたカフェ。
こんな愉快なものを描くのはフィリップ・ウェッブ・・・と見た。
ごゆっくりお茶でもどうぞ(笑)。
ところで、この秋に京都、東京、名古屋で「英国、ヨーロッパ、日本のアーツ・アンド・クラフツ展」が巡回すると聞いた。そのため、V&Aから巡業に出ている収蔵品もある。日本におられる方で、チャンスがあればぜひご覧ください。
明日から、カーディフに写真旅行に出るので、更新はしばらくお休み。金曜日に帰ってきたら、モリスのタイル、陶器部門を支えた、William De Morgan(ウィリアム・ド・モーガン)の作品を展覧予定。
Labels: アート/デザイン
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