Tuesday 29 May 2012

Kotomiジュリー 近況

近頃は写真仕事やら、部屋の改装やらで、しばらくジュエリーはほっとらかし(ほっぽらかし?ほったらかし?時々ディティール不明の日本語増加中)。
ぼちぼち・・・次のシーズンの準備をしておいたほうが、身のためなんだよね、とは解っている。
いや、ほんとに「ぼちぼち」とりかかっていますよ。
今回は、そんなわけでその後(いったいいつから?)のKotomiジュエリー近況など。


Customer's commission
ずいぶん以前になってしまうのだけど、3月の終わりに納品した別注品で、
中世好きの女性のウェディング・ジュエリー。北の国、ヨークのギャラリー経由の注文。
普段はシルヴァー色は作らないのだけれど、「ピューターかいぶし銀っぽくならないか?」
というご要望にお答えして・・・やってみました。
似たデザインのネックレスを参考品として送ってもらっていたので、
デザイン的には難しいものではない。
とても喜んでもらって、シルヴァー色に一手間かけた甲斐があるというもの。

Lens pendants
レンズ・ペンダントほぼ完売なので、追加制作。

Pendant tops
それと同時に春夏物の追加のペンダント・ヘッド・・・を仕上げたのは、4月の中ごろ。
で、まだ完成せずにヘッドのまま・・・。
チェーンの加工仕事も手伝ってくれる、FrancisがLondonに戻ってくるのを待っていたのだった。
(戻ってくるや否や、「仕事は?」とせかされている・・・・はいはい、いまやってます。・・・汗)

Commissioned brooch - Ayahi
目のブローチと、

Commissioned brooch - Ayahi
グレイの大型のブローチは、KensingtonのAさんのオーダー。

Fused glass pieces from Jim
そうこうするうちに、Jimさんから秋色フューズドグラスが仕上がってきた。

Fused glass pieces - foiled
半透明のクリーム系のフューズドグラスには、
ダークな色にペイントしたフォイルを裏に貼り付ける。
これはのり付けのできたところ。接着剤E6000を使うのでクサイ・・・。
なので、窓を開け放ったバスルームで乾くまでおいておく。

Fused glass pieces - foiled
一日置くと、完全に乾いて臭いもなくなる。ハサミでフォイルを切り取った後。
これで、すぐに使える状態。

Fused glass pieces - foiled
同じ半透明のクリーム系のフューズドグラスだけれど、こちらはフォイルをブラウン系にペイント。

Fused glass pieces - foiled
出来上がり。同じガラスでも随分表情が変わる。

Cz stamped glass stones
チェコの型押しガラス石。
数年前チェコ・ガラスの産地ヤブロネッツに行ったときに買ってきたもの。
随分長い間少しずつ使っているけど、今回で使い切ってしまいそう。

Crystal stones
チェコ・ガラスに取って代わりつつあるのが、
Francisが直接買い付けてくる中国産クリスタル・ガラス。
ここ3-4年で急速にクオリティーが向上してきた。
(うちのような個人商店では仕入れさせてもらえない)天下のスワロフスキー様は別格としても、
その後は、チェコも中国も今やほぼ同じ。

Smoky quartz stones
一方、ジュエリーの中心になる天然石は、インドからやってくる。
秋定番のスモーキー・クオーツ、もともとの産地はブラジル。
そこから原石がインドに送られ、カットされるということのよう。

Smoky quartz stones
これもスモーキー・クオーツ。

Labradorite and rutilated quartz
もうひとつの秋の定番石はラブラドライト。これも同じくインドから。原産国はアフリカのどこか。
左側はルチルクオーツ。春夏にも使うのだけれど、ルチルの色のダークなものは秋物にまわした。
その上のブラッククオーツ、残りわずか。
仕入れているインドの業者でも、ぜんぜん見かけなくなってしまった。

Making...
働いてます・・・^^。
私の場合、デザイン画は描かずに、石を並べてバランス、サイズを見て、
気に入ったらそのまま作り始める。かなり、即興。

Before golding/baking
作り始めの調子に乗っているときに、大型のものをどんどん作りこむ。
これはまだ、ゴールドのマイカ・パウダーを入れる前、で、オーヴンに入れて焼く前。
オーヴンを一回まわすだけのアイテム数(大型のもので約40-50個)を作ったところで、
一気にマイカ・パウダーを入れる、そして、オーヴンで焼く。
まだまだ、制作は始まったばかり。

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Saturday 26 May 2012

ロンドンの街-グッドウィンズ・コート(Goodwins Court)

前回のセシル・コートを、にぎやかなバス通り、チャリングクロス・ロード(Charing Cross Road)と反対側に抜けると、そこはセント・マーティンズ・レーン。ここも、劇場・パブ・レストランの連なる繁華街。
この通りを渡って、セシル・コートのほぼ斜め向かいに、グッドウィンズ・コート(Goodwins Court)の入り口がある。
セシル・コートと同様の小路なのだが、セシル・コートが19世紀のたたずまいを残しているとしたら、このグッドウィンズ・コートは18世紀にさまよいこんだようなところ。ジョージアン様式の建物が並んでいる。




Goodwins Court
これがその町並み。
ジョージアン様式に特有のbow window(ボウ・ウィンドウ=カーヴした出窓)が残っている。
ハリー・ポッターの映画で「Diagon Alley(ディアゴン・アレィ)」の撮影の一部に使われた・・・
のだとか。 (見てないから、どのシーンか知りませんよ・・・笑)。

しかしこの小路には、普通に歩いていたらたどり着かない(多分)。
ゲートなどはないけど・・・、わざわざ入り口を見つけて、入ってくる必要がある。
Goodwins Court
これが、セント・マーティンズ・レーン側の入り口。
なんだか怪しい汚らしい裏露地にでも出るようにしか思えなくて、
知らなかったら、特に入ってみようとは思わないようなところ。

Goodwins Court
薄暗いパッセージを抜けると、目の前のドアはいきなり18世紀。
この小路にかかっている街灯は、これがいまだに残っている数少ないガス燈。
つまり、街灯が電化される以前のもの。
この入り口のステップの石が、200年以上の使用で磨り減っているところが、
リアルに古めかしさを感じさせる。
この建物は、1950年代頃まで、コーヒー・ハウスだったと聞いたことがある。

Goodwins Court
そのガス燈。壁を伝って、細いガスパイプがガスを供給している。
ランプのひとつが点いているようだけれど、どういう構造になっているのか、
私にはまったく解らない・・・。

Goodwins Court
別のアングルで・・・・。
この向こう側に見えている壁、つまりベドフォードバリー(Bedfordbury)側へのパッセージの、
その上にも、面白いものがついている。
窓の下の丸い時計(?の名残?)の下にある、赤と金のマーク。

The Royal Exchange Assurance fire mark in Goodwins Court
ズームすると、このようなもの。


これが何かというと、18世紀のFire Mark(ファイヤー・マーク)。
現在の消防システムが設立されたのは、19世紀も後半になってからで、それ以前は火災保険会社が、消防隊を所有していた。つまり、保険金をかけている「お客様」の家財はできうる限り守るのだけれど、「お客様以外は救援しません」。
ロンドンでは1830年代に10火災保険会社が共同して、消防隊を運営するようになったが、それ以前は各保険会社ごとに全く別々の消防隊を持っていた。(消防隊といっても、手押しポンプがあれば上等、もっぱら「江戸の火消し」状態で、斧や手鉤で建物を引き倒す程度なので、気休め程度の救援なのだけれど・・・。)
18世紀のころは、各保険会社がそれぞれの会社のマークを、お客様の建物に貼り付けて、目印にしていた。それがこの、ファイヤーマーク。
このマークは18世紀のThe Royal Exchange Assurance(王立証券取引所保険会社)のもので、(消防車についている)赤いベルの中に、王立証券取引所の建物が描かれている。
(ちなみにいろいろな会社のファイヤーマークは、現在コレクターズアイテムでなのだとか。カタログは<このページに>)
建物に残っている例は、ガス燈同様にとても珍しいもの。





Goodwins Court
通りを反対側から見たところ。
もともとはFishers Alley(フィッシャーズ・アレィ)と呼ばれていて、
1627年からここにこの小路があることが、記録されている。
現在の建物は、1690年に建造されたものらしい。
この小路のことを調べていたら、この中の一軒がゲストハウスになっていることを発見。
このページ
室内の写真を見るだけでも面白い。とても・・・とても狭いレイアウト。

Goodwins Court
ドアの飾りノッカー。

Goodwins Court
ベドフォードバリー(Bedfordbury)側からのパッセージ。
う~ん、こちらからでも見つけにくいな。

セント・マーティンズ・レーン側に戻って・・・、
St Martin's Lane - Pub
ほぼ向かいにあるのが、シアター関係者御用達で有名なパブSalisbury(ソールズベリー)。

St Martin's Lane - Pub
の、華麗なウインドウ。

St Martin's Lane
セント・マーティンズ・レーンを南に下っていく。

London Coliseum
と、華麗なLondon Coliseum(ロンドン・コロシウム)の建物。
現在はENOことイングリッシュ・ナショナル・オペラがレジデンツ。

ここからもう、トラファルガースクエアが見えている。

Trafalgar Square
なので、散策の最後はトラファルガー・スクエアの噴水。

グッドウィンズ・コート(Goodwins Court)地図:

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Wednesday 23 May 2012

ロンドンの街-セシル・コート(Cecil Court )

今回はロンドンの街シリーズに戻って、ロンドンの街のど真ん中、レスター・スクエア(Leicester Square)駅近くにあるセシル・コートのイメージ。
レスター・スクエアといえば、ロンドン観光の「へそ」のようなところ。ミュージアム、シアター、ショッピング、レストランすべての要素の真ん中に位置するので、ロンドンは初めてという人でも「あ、知ってる。」と思うことうけあいのエリア。
商業100%の繁華街ということもあって、ちょっとごてごてした地区でもある。
それでも、この一角に、昔のLondonを髣髴させる小さな「小路」が残っている。

Cecil Court
19世紀のショップ・フロントがいまだに保たれている。


小説「84Charing Cross Road」の舞台になった、チャリング・クロスロード自体が一昔前までは「古書街」として世界的に知れれていた。
表通りの方のチャリング・クロスロードは、残念なことに今では、古本屋はどんどん減っていって、カフェや土産物屋に様変わりしていってしまった。
かろうじてその面影をとどめているのがこの、チャリングクロス・ロードはずれのセシル・コート
上のリンクのページで、現在のお店のラインナップも解るが、古本屋さんは3-4件。古本のビジュアル・ページをばらして、額絵として売る店が2-3件。
後は、スピリチュアル系の専門書店、アンティーク店、ヴィンテージ・ジュエリー店等々。

Cecil Court
ダイナミックな経済の中心地ロンドンでは、地区が企画・努力しないことには、
どんどん「経済効率のいい」チェーンストアに町並みが呑みこまれていってしまう。

Cecil Court
ここでも、ショップ・オーナー協会が団結して、この町並みを保っている。
お店の入れ替わりは時折あるものの、この古風な通りにマッチした、
アンティーク、ヴィンテージ、文化的なイメージのある個人店が後を継ぐように配慮されている。

Simon Callow unveiling Mozart plaque in Cecil Court, London
Photo by bryarsbooks @Flickr
昨年(2011)の9月にこの協会の主催で、この通りの9番地に
モーツアルトが「滞在した」という、プラークが掲げられた。
オープニング・セレモニーで俳優のSimon Callow(サイモン・カーロウ)氏がスピーチ。

Mozart plaque - 9 Cecil Court
Photo by sleekit @Flickr
そのプラーク。1764のグランドツアーの時に滞在し、ここで第一交響曲を書いたと考えられている。

ここからは、お店のイメージ。
Cecil Court
アンティーク・プリントを売るお店。

Cecil Court
古書店。

Cecil Court
この古書店では、ポスター、チラシなどのエファメラ(紙もののアンティーク)も扱われている。

Cecil Court
古本、古地図の専門店。

Coin, stamp shop window
メダル・古紙幣の専門店。

Christpher St. James in Cecil Court
ヴィンテージ・アクセサリーを扱うChristpher St. James(クリストファー・セント・ジェイムス)。
昔一度だけ、Kotomiジュエリーを買い取ってもらったことがある。

Cecil Court
私の好きなアンティークショップ、Mark Sullivan
ロンドン中心地なので、値段は少し高い目なのだけど、きっと何か見つかる面白い店。
セントラルで時間のない観光途中の「特別なお土産」には最適かも。

Cecil Court
同じお店を別のアングルで。

地図:

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おまけヴィデオは、87年に映画化された、前述の小説「84Charing Cross Road」の、トレーラー。
古きよき・・・シネマの中のロンドン^^。





Sunday 20 May 2012

Westminster Cathedral (ウエストミンスター大聖堂)

昨日入院中のペーターおじさんとTelで話しをした。ずいぶん元気そうな声に、ひとまず安心。
しかしまぁ、お歳もお歳だし、無理しないように、ゆっくり休んでいていただきたいもの。
日ごろ元気なおじさんは、次々プロジェクトを思いついて、どうやらじっとしていられない傾向があるので、自重、自重ですよ!!

標本箱、今回は、この前の庭園博物館<このページ>の後に、ぶらぶら歩いていったWestminster Cathedral (ウエストミンスター大聖堂)のイメージ。

あまりにも、あまりにもWestminster Abbey(ウエストミンスター・アベィ)の方が有名なので、その陰に隠れてしまっている・・・というか、下手をすると・・・間違って訪れる観光客もあり、という少しマイナーな教会。
しかし、観光中心になってしまっている英国教会のアベィと違って、ここはローマン・カトリックの大聖堂で、今でも礼拝に訪れる人の絶えない、信仰の中心「生きている教会」という印象がある。
個人的に昔からこの大聖堂がとても気に入っている。
19世紀末期のJohn Francis Bentley(ジョン・フランシス・ベントレー)設計の建築が、あまり例を見ない「ビザンティン・リヴァイヴァル」だ、ということが最大の理由。
この教会の発注を受けたジョン・フランシス・ベントレーは、ビザンティン・リヴァイヴァルの様式を採ることに決定して、ヴェネチアのSt Mark's Basilica(サン・マルコ寺院)にリサーチに赴いた。その後、イスタンブールのHagia Sophia(アヤソフィア、または、ハギア・ソフィア大聖堂)に向かう予定だったのだが、彼の健康状態とイスタンブールでのコレラ流行のために断念して、英国帰国、そのまま設計に携わったといわれている。
それでも、この教会に入るとアヤソフィアに入ったかのような印象を受けるのは、各チャペルのドームを彩る華やかなモザイクのため。
実際には全天井ドームをモザイクで飾る計画だったのだが、予算不足とベントレーの病没で実現せず、かろうじていくつかのチャペルのモザイク天井が、彼の残したスケッチを元に後年完成したのだそう。



Westminster Cathedral
まずはその外観。外観は北イタリアの建築様式からの強い影響を受けている。
イタリアだと、色のコントラストを持たせた大理石で構成するのだけれど、
イギリスでは石とレンガで置き換えられている。ここの場合コンクリートも使われているそう。
地上64mのタワー展望フロアにも登れるのだが(有料)、今回は時間がなかったのと、
ちゃんと・・・高所恐怖症気味だったことを思い出して、登らなかった。学習した(笑)。

Westminster Cathedral
エントランスを入ったNave(身廊)部分。
ギャラリーから下は大理石張りで装飾されているが、天井ドーム部はレンガ造りの未完のまま。
Stations of the Crossは、
(十字架の道行き=キリストの生涯の中の14シーンをを描くパネル。
カトリックの儀式で礼拝される。)
Eric GIll(エリック・ギル)の初期の作品。<ディティールはこのページに

Westminster Cathedral
祭壇上のbaldacchino(天蓋)は、11mを超えるもので大理石造り。
ビザンティン様式の巨大なクロスが宙に浮かんでいる。

Westminster Cathedral
そのディティール、聖ヨハネの鷲。

Westminster Cathedral
このヴィジョン・・・ここがロンドンであることを忘れてしまいそうになる。

Westminster Cathedral
天井が金モザイクで覆われなくて、ダークなまま残されているのが、
よりいっそう光を引き立たせている。

Westminster Cathedral
一方翼廊のチャペルの天井はモザイクで覆われている。
これは向かって右側のThe Lady Chapel


Westminster Cathedral
これも・・・ロンドンにいるとは思えない。

Westminster Cathedral
同じくThe Lady Chapel。
Nave(身廊)部でもそうなのだが、ライティングがいかにもビザンティン様式。

Westminster Cathedral
向かって左側の、Blessed Sacrament Chapelは天井画で彩られている。
これも初期ロマネスク様式を髣髴させる。

Westminster Cathedral
入り口を入ってすぐの右の翼廊にある、
The Chapel of St Gregory and St Augustineのモザイク画。

Westminster Cathedral
と、そのペンダント・ライティング。

Westminster Cathedral
これも右翼廊の、Chapel of St Paul
大理石モザイクのフロアが目を惹く。

Westminster Cathedral
その主祭壇の上の「ご本尊」。礼拝時以外は閉じられている。
扉自体が美しいのだけれど・・・。

Westminster Cathedral
左翼廊にあったモザイク。ジャンヌ・ダルクかな?

Westminster Cathedral
ロマネスやビザンティン様式では、ステンドグラスはまだない。
もっと後年のゴシック様式になってからのもの。
なので、ビザンティン・リヴァイヴァル様式でもステンドグラスは使われていない。

Westminster Cathedral
最後にThe Sanctuary 横の大理石造りの、ギャラリー部。


Westminster Cathedral (ウエストミンスター大聖堂)

地図:

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写真撮影禁止マークが入り口には付いているのに出るときに気づいたのだが、実際にはミサが行われていなければ、特に注意はされないよう。(関係者に確認はしていないけれど。)ただし、「生きている信仰の場」なので、一日に何度もミサが行われている。平日の2時から5時ぐらいが、まだしも何もない時間帯かもしれない。<ミサのスケジュールはこのページ
ミサに重なってしまったら・・・、撮影はあきらめて、それでもおとなしく座っている価値があるのは、ここのクアイアがずばぬけてすばらしいから。
なので・・・おまけヴィデオ、2009年のMidnight Massより。





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