ロンドンの街-グッドウィンズ・コート(Goodwins Court)
前回のセシル・コートを、にぎやかなバス通り、チャリングクロス・ロード(Charing Cross Road)と反対側に抜けると、そこはセント・マーティンズ・レーン。ここも、劇場・パブ・レストランの連なる繁華街。
この通りを渡って、セシル・コートのほぼ斜め向かいに、グッドウィンズ・コート(Goodwins Court)の入り口がある。
セシル・コートと同様の小路なのだが、セシル・コートが19世紀のたたずまいを残しているとしたら、このグッドウィンズ・コートは18世紀にさまよいこんだようなところ。ジョージアン様式の建物が並んでいる。
これがその町並み。
ジョージアン様式に特有のbow window(ボウ・ウィンドウ=カーヴした出窓)が残っている。
ハリー・ポッターの映画で「Diagon Alley(ディアゴン・アレィ)」の撮影の一部に使われた・・・
しかしこの小路には、普通に歩いていたらたどり着かない(多分)。
ゲートなどはないけど・・・、わざわざ入り口を見つけて、入ってくる必要がある。
これが、セント・マーティンズ・レーン側の入り口。
なんだか怪しい汚らしい裏露地にでも出るようにしか思えなくて、
知らなかったら、特に入ってみようとは思わないようなところ。
薄暗いパッセージを抜けると、目の前のドアはいきなり18世紀。
この小路にかかっている街灯は、これがいまだに残っている数少ないガス燈。
つまり、街灯が電化される以前のもの。
この入り口のステップの石が、200年以上の使用で磨り減っているところが、
リアルに古めかしさを感じさせる。
この建物は、1950年代頃まで、コーヒー・ハウスだったと聞いたことがある。
そのガス燈。壁を伝って、細いガスパイプがガスを供給している。
ランプのひとつが点いているようだけれど、どういう構造になっているのか、
私にはまったく解らない・・・。
別のアングルで・・・・。
この向こう側に見えている壁、つまりベドフォードバリー(Bedfordbury)側へのパッセージの、
その上にも、面白いものがついている。
窓の下の丸い時計(?の名残?)の下にある、赤と金のマーク。
ズームすると、このようなもの。
これが何かというと、18世紀のFire Mark(ファイヤー・マーク)。
現在の消防システムが設立されたのは、19世紀も後半になってからで、それ以前は火災保険会社が、消防隊を所有していた。つまり、保険金をかけている「お客様」の家財はできうる限り守るのだけれど、「お客様以外は救援しません」。
ロンドンでは1830年代に10火災保険会社が共同して、消防隊を運営するようになったが、それ以前は各保険会社ごとに全く別々の消防隊を持っていた。(消防隊といっても、手押しポンプがあれば上等、もっぱら「江戸の火消し」状態で、斧や手鉤で建物を引き倒す程度なので、気休め程度の救援なのだけれど・・・。)
18世紀のころは、各保険会社がそれぞれの会社のマークを、お客様の建物に貼り付けて、目印にしていた。それがこの、ファイヤーマーク。
このマークは18世紀のThe Royal Exchange Assurance(王立証券取引所保険会社)のもので、(消防車についている)赤いベルの中に、王立証券取引所の建物が描かれている。
(ちなみにいろいろな会社のファイヤーマークは、現在コレクターズアイテムでなのだとか。カタログは<このページに>)
建物に残っている例は、ガス燈同様にとても珍しいもの。
通りを反対側から見たところ。
もともとはFishers Alley(フィッシャーズ・アレィ)と呼ばれていて、
1627年からここにこの小路があることが、記録されている。
現在の建物は、1690年に建造されたものらしい。
この小路のことを調べていたら、この中の一軒がゲストハウスになっていることを発見。
室内の写真を見るだけでも面白い。とても・・・とても狭いレイアウト。
ドアの飾りノッカー。
ベドフォードバリー(Bedfordbury)側からのパッセージ。
う~ん、こちらからでも見つけにくいな。
セント・マーティンズ・レーン側に戻って・・・、
ほぼ向かいにあるのが、シアター関係者御用達で有名なパブSalisbury(ソールズベリー)。
の、華麗なウインドウ。
セント・マーティンズ・レーンを南に下っていく。
と、華麗なLondon Coliseum(ロンドン・コロシウム)の建物。
現在はENOことイングリッシュ・ナショナル・オペラがレジデンツ。
ここからもう、トラファルガースクエアが見えている。
なので、散策の最後はトラファルガー・スクエアの噴水。
グッドウィンズ・コート(Goodwins Court)地図:
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