Saturday, 26 May 2012

ロンドンの街-グッドウィンズ・コート(Goodwins Court)

前回のセシル・コートを、にぎやかなバス通り、チャリングクロス・ロード(Charing Cross Road)と反対側に抜けると、そこはセント・マーティンズ・レーン。ここも、劇場・パブ・レストランの連なる繁華街。
この通りを渡って、セシル・コートのほぼ斜め向かいに、グッドウィンズ・コート(Goodwins Court)の入り口がある。
セシル・コートと同様の小路なのだが、セシル・コートが19世紀のたたずまいを残しているとしたら、このグッドウィンズ・コートは18世紀にさまよいこんだようなところ。ジョージアン様式の建物が並んでいる。




Goodwins Court
これがその町並み。
ジョージアン様式に特有のbow window(ボウ・ウィンドウ=カーヴした出窓)が残っている。
ハリー・ポッターの映画で「Diagon Alley(ディアゴン・アレィ)」の撮影の一部に使われた・・・
のだとか。 (見てないから、どのシーンか知りませんよ・・・笑)。

しかしこの小路には、普通に歩いていたらたどり着かない(多分)。
ゲートなどはないけど・・・、わざわざ入り口を見つけて、入ってくる必要がある。
Goodwins Court
これが、セント・マーティンズ・レーン側の入り口。
なんだか怪しい汚らしい裏露地にでも出るようにしか思えなくて、
知らなかったら、特に入ってみようとは思わないようなところ。

Goodwins Court
薄暗いパッセージを抜けると、目の前のドアはいきなり18世紀。
この小路にかかっている街灯は、これがいまだに残っている数少ないガス燈。
つまり、街灯が電化される以前のもの。
この入り口のステップの石が、200年以上の使用で磨り減っているところが、
リアルに古めかしさを感じさせる。
この建物は、1950年代頃まで、コーヒー・ハウスだったと聞いたことがある。

Goodwins Court
そのガス燈。壁を伝って、細いガスパイプがガスを供給している。
ランプのひとつが点いているようだけれど、どういう構造になっているのか、
私にはまったく解らない・・・。

Goodwins Court
別のアングルで・・・・。
この向こう側に見えている壁、つまりベドフォードバリー(Bedfordbury)側へのパッセージの、
その上にも、面白いものがついている。
窓の下の丸い時計(?の名残?)の下にある、赤と金のマーク。

The Royal Exchange Assurance fire mark in Goodwins Court
ズームすると、このようなもの。


これが何かというと、18世紀のFire Mark(ファイヤー・マーク)。
現在の消防システムが設立されたのは、19世紀も後半になってからで、それ以前は火災保険会社が、消防隊を所有していた。つまり、保険金をかけている「お客様」の家財はできうる限り守るのだけれど、「お客様以外は救援しません」。
ロンドンでは1830年代に10火災保険会社が共同して、消防隊を運営するようになったが、それ以前は各保険会社ごとに全く別々の消防隊を持っていた。(消防隊といっても、手押しポンプがあれば上等、もっぱら「江戸の火消し」状態で、斧や手鉤で建物を引き倒す程度なので、気休め程度の救援なのだけれど・・・。)
18世紀のころは、各保険会社がそれぞれの会社のマークを、お客様の建物に貼り付けて、目印にしていた。それがこの、ファイヤーマーク。
このマークは18世紀のThe Royal Exchange Assurance(王立証券取引所保険会社)のもので、(消防車についている)赤いベルの中に、王立証券取引所の建物が描かれている。
(ちなみにいろいろな会社のファイヤーマークは、現在コレクターズアイテムでなのだとか。カタログは<このページに>)
建物に残っている例は、ガス燈同様にとても珍しいもの。





Goodwins Court
通りを反対側から見たところ。
もともとはFishers Alley(フィッシャーズ・アレィ)と呼ばれていて、
1627年からここにこの小路があることが、記録されている。
現在の建物は、1690年に建造されたものらしい。
この小路のことを調べていたら、この中の一軒がゲストハウスになっていることを発見。
このページ
室内の写真を見るだけでも面白い。とても・・・とても狭いレイアウト。

Goodwins Court
ドアの飾りノッカー。

Goodwins Court
ベドフォードバリー(Bedfordbury)側からのパッセージ。
う~ん、こちらからでも見つけにくいな。

セント・マーティンズ・レーン側に戻って・・・、
St Martin's Lane - Pub
ほぼ向かいにあるのが、シアター関係者御用達で有名なパブSalisbury(ソールズベリー)。

St Martin's Lane - Pub
の、華麗なウインドウ。

St Martin's Lane
セント・マーティンズ・レーンを南に下っていく。

London Coliseum
と、華麗なLondon Coliseum(ロンドン・コロシウム)の建物。
現在はENOことイングリッシュ・ナショナル・オペラがレジデンツ。

ここからもう、トラファルガースクエアが見えている。

Trafalgar Square
なので、散策の最後はトラファルガー・スクエアの噴水。

グッドウィンズ・コート(Goodwins Court)地図:

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