Sunday, 15 April 2012

The Museum of Brands, Packaging and Advertising (ブランド、パッケージ、広告博物館)

博物館ネタが少しご無沙汰だったけれど、今回はポートベロー・マーケットの近くにある、小さな・・・しかし収蔵内容のとても濃~い博物館、The Museum of Brands, Packaging and Advertising (ブランド、パッケージ、広告博物館)。
ここで言う「ブランド」は、ルイヴィトンだとか、マクィーンだとか、そういうファッション・ブランドではなくて、もっとベーシックなもの。スーパーマーケットでお目にかかるような、チョコレートやパン、洗剤・・・などなど、日常の一般生活の中でほとんど無意識に目にしているモノ達のこと。
現役で活躍中の、歴史家、コレクターのRobert Opie(ロバート・オーピェ)氏がコレクションした、12000アイテムがこの小さな博物館に詰め込まれているのだが、もともとはグロースター州で1984年にオープンした、Museum of Advertising and Packaging(広告・パッケージ博物館)に収蔵されていた。 2001年にグロースターの博物館は閉館し、ロンドンのノッティングヒルのこの敷地で新たに2005年から開館された。


The Museum of Brands, Packaging and Advertising
入り口は少しわかりにくいところにある。
Westbourne Groveの1ブロック北側、Lonsdale Roadから、
サインにしたがって、裏のコートヤードに入っていく。

The Museum of Brands, Packaging and Advertising
正面の壁にユニオンジャックがペイントされている、その、左側に入り口がある。

残念ながら、博物館の中は現在は撮影禁止。何しろ「ブランド」だけにコピーライト問題が複雑だとか。
私の場合カシャカシャ煩い、デカい、眼レフの上に「撮影できますか?」「I'm sorry,No・・・」
と聞いてしまっただけに、さすがに撮らなかったが、
Flickrには以前の撮影、あるいは知らずに撮っていた、
または隠し撮り(?)のものがいろいろUpされていたので、借りてきた。

Museum of Brands Packaging and Advertising 品牌、包裝、廣告博物館
Photo by: cyesuta@Flickr
時代ごとのショウケースの中のディスプレイはこんな感じ。
床から天井まで、びっしり埋め尽くされている。


これはヴィクトリアン期、ブランド・ネームという概念の黎明期。
19世紀に鉄道の普及で物流体制が整う以前は、ローカルで製造されたものがローカルで消費されていた。
鉄道がマス・プロデュースを推進したということもできる。マスの市場で商品の認知度を競うためには、消費者に商品を覚えてもらうことが必須条件となり、ここに「ブランド名」ができあがることとなったのだ。


Museum of Brands Packaging and Advertising 品牌、包裝、廣告博物館
Photo by: cyesuta@Flickr
塩のパッケージやら、缶詰やら。ヴィクトリアンのデザインはとても凝っている。

Museum of brand ref2
ロバート・オーピェ氏の本「Remember When」は、
ここの博物館の収蔵品が数々掲載されているので、その本からの抜粋で、ヴィクトリアン期のパッケージ。

Museum of brand ref1
同本より、1887年のヴィクトリア女王のジュビリー(在位50周年記念)のパッケージ。

Museum of brand ref3
これは、洗濯のり(というか・・・アイロンのり)の広告とパッケージ。
ヴィクトリアンやエドワーディアン期の特に男性シャツの襟は、まるで画用紙でできているかのように、
しゃきしゃきに保っておく必要があった・・・。

Museum of brand ref4
時代は20世紀に入って、これは20年代頃の雑誌やら、広告。
飛行機、飛行船、車などの新しいテクノロジー。
女性のドレスもアール・デコ・スタイルになっている。

Museum of brand ref6
これも20年代のトフィー(キャラメルのようなお菓子)のパッケージ。
女の子のスカートが、ここで初めて短くなった!!(笑)。

Museum of brand ref7
1930年代の、洗濯石鹸。 モダーン・デザインの始まり。

Museum of brand ref8
第二次世界大戦期の広告やらグッズ。
すべては反ヒトラーのプロパガンダで、「ヒトラーの尻」ダート・ボードやら、
ナチスパターン入りトイレット・ペーパーなど、いかにも英人的なる「おちょくり感覚」は戦時中も健在。

Museum of brand ref9
ようやく世界が落ち着いた50年代には、現エリザベス女王が戴冠。その、いろいろなコメモラ(記念)グッズ。
ちなみに今年は60周年のジュビリーで、ロンドンは盛り上がっている。
女王の戴冠式は1953年だったのだけれど、父王ジョージ6世が亡くなった1952年が、
正式の「即位年」なので、今年が60周年ということになる。

Museum of brand ref10
この辺はもう70年代。どことなく子供の頃に見覚えのあるようなデザイン。

remember when
本の表紙。

ミュージアムの話だったのだか、この本の話だったのか解らなくなってしまったが・・・、
パッケージやグラフィックデザインの歴史に興味のある方には、どちらもおススメ。


The Museum of Brands, Packaging and Advertising 
(ブランド、パッケージ、広告博物館)


2 Colville Mews, Lonsdale Road,
Notting Hill, London, W11 2AR
Tel: +44 (0)20 7908 0880

地図:

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おまけヴィデオはここの館長さん、ロバート・オーピェ氏がここの博物館の一角で、「ブランド」について語る。
レトロなデザインに、安心感を見出す時代へと、現在トレンドははゆり戻しつつある。
コンテンポラリー・デザインに走りすぎた、チョコレートパッケージが、
消費者の意識調査で、再び「往年の」トレードマーク・パッケージに戻った例など。



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