Friday, 30 March 2012

Searching for Ophelia Project(オフェーリアを探せプロジェクト)-2-

前回の続きで、Netで仕入れた情報を元に、再びHogsmill(ホグスミル)川に向かった。
(ミレーの「オフェーリア」に関する情報は、前回の標本箱を参照ください。)
今回は、まずバスでTolworth(トルワース)に向かった。前回の散策のエリアから約3km上流に当たる地区で、Tolworth Court Bridge(トルワース・コート橋)の西に広がる自然保護地区。
サービトン関連のサイトで言及されていて、長い間「ここだろう」と思われていたらしい。(たとえば、このページのIn popular cultureセクション参照)。
前回書いた90年代のBarbara Webb(バーバラ・ウェッブ)さんの調査で、オールド・モールデンが最終的に「ミレーがキャンバスの前に座った場所」として、判明したわけだけれど、このトルワースのポイントも、どんなものだか見てみたかったので、訪れた。

Kingston Road entrance to Hogsmill River walk near Tolworth
ここが、その自然保護地区への入り口。この写真で見る限り「のどか」に見えるのだけれど・・・、

Tolworth, Kingston Road
なんのなんの、その前は、車がガーガー走る(この日は渋滞だらけの)Kingston Road.
先に見えているトルワース・タワーの前は・・・、

Tolworth A3 crossing
A3モーター・ウェイが走っていて、「散策」などというのんびり感とは程遠い。

Hogsmill River near Tolworth
ホグスミル川沿いに入っていくと、それでもミレーの訪れた19世紀の田園風景を想像することができる。
このスポットは、なかなか「オフェーリア」的なる雰囲気。手前のアイリスも絵に忠実。

Open field along Hogsmill River near Tolworth
ちょうどその対岸側には、William Holman Hunt(ウィリアム・ホルマン・ハント)が、
The Hireling Shepherd」を描いたの「かも知れない」平原が広がっている。

Tolworth Court Bridge - near Tolworth
この車の見える橋がトルワース・コート橋で、この少し上流が「オフェーリア・スポット」と思われていた。

Hogsmill River near Tolworth
確かに雰囲気はある。

Sorry, Mr. Drake...
と、写真を撮っていたら、Drake(雄鴨)に嫌がられてしまった。


ここから、「証明された」オフェーリア・スポットのオールド・モールデンまでは、ホグスミル川沿いに約1.5km離れたところ。このトルワースと、前回歩いたベリーランズ近くの地区の中間にあたる。
そこまで歩いて向かったのだけれど、途中川沿いのフットパスが続いていないので、Old Malden Lane(オールド・モールデン・レーン)という、車の交通量の多い道を歩く羽目になる。その上、この道、歩道がないに等しいので、かなり危険。(車だって、こんな道を歩行者が、てくてく歩いているとは思わないので、飛ばす飛ばす・・・。)
このルートの「散策」は全くおすすめしない。オールド・モールデンのオフェーリア・スポットには、鉄道のMorden Manor(モールデン・マナー)駅が近いので、鉄道かバスでのアクセスが便利かつ安全。


At nearby farm
でもまあ、途中のファームで、ポニーを撮ったり、

Admiral butterfly
大型の蝶を撮ったりしながら、ゴキゲンに散策は続く。

Hogsmill Valley Walk entrance on B284
このHogsmill Valley Walkのサインが出てきたら、このゲートから中に入る。

Hogsmill River
丘を下って、ホグスミル川に再会。

Hogsmill River
車の喧騒から離れると、そこはもう異次元。

The Manor House
しばらく歩くと、向こう岸の丘の上にManor House(マナー・ハウス=お屋敷)が現れる。
その隣はSt John's Churchという教会。
ここがまさしく、「マナーハウスの庭下の土手に向かう」ところ、つまり、オフェーリア・スポットはこの近く。

Hogsmill River near Malden Manor
前回の標本箱に書いたBarbara Webb(バーバラ・ウェッブ)著:Millais and the Hogsmill River
(ミレーとホグスミル川)
のブックレット(現在絶版)によると、
このあたりが、オフェーリア・スポットだと結論付けられている。
現在は手前の土手に木が生い茂っていて、うまく「オフェーリア」的なるアングルで撮れないのが残念。

Field along Hogsmill River near Malden Manor
裏にSix Acre Meadowに繋がる(と思われる)平原もあり。
ここでWilliam Holman Hunt (ホルマン・ハント)がThe Hireling Shepherdを描いたのかもしれない。

Hogsmill River and river walk
その先も、こんな感じで川沿いのパスが続く。
そこをまだ、さかのぼっていくと・・・、

Hogsmill River walk guide board - near Malden Manor
案内板を見つけた。ここにも「オフェーリア」のことが書かれている。
ちなみに私は赤矢印の「現在地」まで、地図の下の方から、上がっていっている。
先ほどの、「オフェーリア」スポットは、赤矢印と橋のマークのちょうど間ぐらい。

St John's Church - Malden Manor
小さな橋を渡って丘の上の、案内板にも載っていたSt John's Church(聖ヨハネ教会)にも行ってみた。

St John's Church - Malden Manor
アングロサクソン期から由来する教会だそうだが、モダーンな増築がされていたりもする。
残念ながら、公開はされていなかった。
この教会で、ホルマン・ハントが「The Light of the World」を描いたのでは・・・とも思われてもいたこともあるそうだ。
実際には、リンクのWikiにもあるように、もう少し東のWorcester Park(ウースター・パーク)の
農場の仮設小屋で描かれたものだとか。

Hogsmill River near Malden Manor
もう一度、リバー・パスに戻って・・・、上の案内板地図の矢印から少し上に歩いていくと・・・、
この柳のある風景もなかなか、「オフェーリア」している。

Hogsmill River near Malden Manor
さきほどの「オフェーリア」スポットで、いいアングルで撮れなかったので、
悔し紛れに、ここで「オフェーリア」的に撮影。

Railway bridge - near Malden Manor
そこからもう少し先に歩き続けると、ホグスミル川とリバー・パスは鉄道橋をくぐっていく。
ミレーがここに滞在した頃には、このラインもパイロンも、まだ敷設されていなかったので、
ただただ川の流れる田園風景が続いていたことだろう。

Pussywillow
線路の反対側では、猫柳が満開。確かに・・・確かに、花だったんだなー(笑)。

Google地図でいうと、この「オフェーリア・スポット」はこのあたり:

View Ophelia Spot in a larger map

私はこの後、線路の反対側の、住宅地の中のノール・ミードから、K1バスに乗って、サービトンに戻った。
モールデン・マナー(Malden Manor)の鉄道駅も歩いて1km以下。(先ほどの、聖ヨハネ教会の前のChurch Roadを左に曲がり、ラウンド・アバウトに出たら、もう一度左に曲がりManor Drive Northをまっすぐ歩き、線路を越したら駅に出る。)
ご興味の方は、どうぞ^^。



追記:この散策の後、配偶者氏が行きつけのローカル図書館で、このブックレットを探してみてくれた。
そうして解ったのは、サリー州の図書館で唯一このブックレットを所有しているのは、キングストン図書館。
そこで、キングストン図書館に向かってくれたのだが、貴重な一冊なので借り出し禁止。それなら、コピーさせてもらえないかと、掛け合ってくれて無事コピー入手。 今ちょうど読んでいるところ。これがなかなか、ローカルの人間には面白い。

それによると、ミレーの「オフェーリア」スポットと、ハントの「平原」は近くではなく2マイル離れていたのだそうだ。
最初は2人はサービトン・ヒルの宿屋に滞在していて(2ヵ月後には、ウースター・パークの農場に「引っ越した」そう)そこから、朝一緒にユーエル・ロード(Ewell Road)を歩いて出かけ、途中のモールデンのホグスミル川へのフットパスが始まる所で、別れたそう。ミレーはこのフットパスをあと2マイルほど歩き、ハントはそのままユーエル・ロードとその先のキングストン・ロードをあと2マイル歩いて、それぞれのスポットへ「出勤」したそうだ。帰りは、また同じところで待ち合わせて、一緒に帰ったとか。
ミレーはよく口笛をふきながらこのフットパスを行き来したので、ハントの手記に「ミレーがやってくるのが、次第に近づいてくる口笛で察せられる。」という記述があるのが、なかなか愉快。

このブックレットには詳細に、二人の足跡が地図入りで紹介されているので、また私もその後を「追っかけ」してみようかと画策中^^。

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