Rubenshuis, Antwerp (ルーベンスの家 - アントワープ) -2-
アントワープ、Rubenshuis(ルーベンスの家)から2回目の標本箱は、前回の続きで、ギャラリー室内の展示物を、まずいろいろ。
Rubens(ルーベンス)の油彩スケッチは、アントワープのJesuit教会の祭壇上のコーニス部分の装飾の、
下絵というか、まぁ、デザイン画のようなもの。
個人的には、完成された絵画より、スケッチの方が、
筆のタッチが伸びやかで、見ていて気持ちがいい。
とりわけ、ルーベンスには、完成した絵画のスタティック(静的)なタッチと、
油彩スケッチの筆勢の違いを感じるのは、
彼の絵画が「スタジオ生産性」だったことと関連しているのかも?
まず、ルーベンスが構図をとった下絵を書き、
弟子達が途中まで仕上げる。
顔や手など重要な部分をルーベンスが仕上げて、
それ以外は弟子たちが完成させる・・・という方式がとられていたことと。
なので、仕上がった作品の大半の部分は、弟子たちの着実な手によるものの、
ルーベンス師匠の筆のタッチはあまり関与していないのかも?
あくまでも、想像の話だけど・・・。
ルーベンスのコレクションの静物画。
作者は記録してこなかったので・・・どちらも不明。
木彫装飾が見事なルネッサンス様式のチェスト。
キュリオ・キャビネットは、カメオ・コイン・ミニチュアポートレートなどの、
小型のアート/アンティーク作品を収蔵するためのもの。
キャビネット自体が田園風景で彩られている。
テラコッタのバストは、Lucas Faydherbe作のHercules(ヘラクレス)。
ヘラクレス、伝説上で素手でライオンを倒したということになっている。
で、ライオンの皮をかぶっている(身にまとっている)タフガイの彫像なら、
それはヘラクレス。
Lucas Faydherbeはルーベンスの弟子で、メヘレンの彫刻家の息子で、
3年ルーベンスの元で働いてから、メヘレンに戻って彫刻家として独立した。
メヘレンの大聖堂にも、彫刻が入っているのだそう。
知らずに、この前日に写真を撮っていたかも?
ギャラリー・ルームから階段を上がって上階のコーナー・ルーム。
この部屋で目についたのは、この油彩スケッチ。
てっきりルーベンスと思い込んでいたら、
実際には彼の弟子のJustus van Egmontによるもの。
"The reconciliation of the Romans and the Sabines"
(「サビニの女たちの仲裁」ストーリーの詳細は<このページ>)
1950年代までこの作品はルーベンス自身によるものと考えられていたそう。
さもありなん、タッチが師匠に似ている。
しかしそう言われてみてよく見ると、師匠よりタッチがややしつこい。
師匠の方が、無駄のない完璧さがある。
ここにも、キュリオ・キャビネット。
アントワープ1640年頃のもの。
このキャビネットの場合、描かれているのは神話・伝説上のシーン。
ルーベンスの作品を元にして、ルーベンスの縮小版コピーを専門に制作した画家、
Victor Wolfvoetの手になるもの。
正面の2枚扉には、ペルセウスとアンドロメダ伝説が描かれている。
暖炉のデルフトタイル。
ローランド地域の風景と、聖書モチーフの組み合わせ。
上階の次の部屋はベッドルーム。
当時は、ベッドルームとして設定されたものというより、
リビング・ルームや客間の中に、そこが暖房されて温かいのでベッドを置く、
という感覚だったらしい。
あまり、プライベートやプライバシーという感覚はまだ形成されていなかったもののよう。
当時のベッドが短いのは、上半身をクッションで起こした状態で寝ていたから。
中世の頃の「寝ている時も、いつでもすぐ目覚めて戦闘態勢に入れる」説の名残かと思ったら、
消化・循環にいいと信じられていたからなのだそう。
腰にはよくないと思うけど・・・。
そのとなりは、リネン室。
当時はアイロンはないので、写真右のようなプレス機でプレスしてシワがつかないようにする。
一方、折目はピンピンに付いている方がよし、とされていたそう。
紙のようにピンピンになったリネンは、後ろのリネンチェストに保管される。
リネンは超高級品だったので、それにまつわるプレス機やチェストも豪華なもの。
ルーベンスは外交官役も務める、当時の筆頭画家だったものだから、
経済的にも恵まれていて、このような織地の入った、
超高級リネン・クラスのものが使用されていたはず。
その次の部屋の展示で面白かったのは、このPortefraes(英語だとSupportasseと呼ばれる)というもの。
何かというと、Ruff(ラフ)と呼ばれる襞襟の中に芯材としていれるものなのだそう。
その見本のポートレート。
エリザベス1世の肖像画もこの襞襟の典型なので、
「エリザベス・カラー」とも呼ばれるけれど、それがまた転じて、
犬や猫が怪我の治療中に、傷口を舐めないようにはめられる、
ロウト型のカラーも、「エリザベス・カラー」と呼ばれている。
あれ?日本語でもそうだったっけ?日本語でなんというか知らない・・・。
ま、とにかく、ペットでも人でも不便極まりないと思うのだけれど。
その次の部屋も、絵画やコレクションなどが展示されている。
目に止まったチャーミングなポートレートは、
Portrait of Elisabeth of France, later Isabella, Queen of Spain c.1610-12
(エリザベス・オヴ・フランス、後のスペイン女王イザベラ←便宜上全部英語読み)
Frans Pourbus De Jonge作。
レースの襞襟も見事だけれど、ついジュエリーに目が行く。
最後にスタジオだった展示室に向かう。
その前に、バルコニーになった階段部分から下の階に。
ここから、ポ-ティコ越しに庭が見える。
この庭のイメージはまた次回に。
バルコニー部分を反対側から見たところ。
次回は、スタジオ展示室と、庭のイメージを詰め込みますよ。
Rubenshuis(ルーベンスの家)
Wapper 9-11, 2000 Antwerpen, Belgium
英文オープニング情報・入場料<このページ>
Map:
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