Monday, 18 April 2016

Rubenshuis, Antwerp (ルーベンスの家 - アントワープ) -2-


アントワープ、Rubenshuis(ルーベンスの家)から2回目の標本箱は、前回の続きで、ギャラリー室内の展示物を、まずいろいろ。
Rubenshuis
Rubens(ルーベンス)の油彩スケッチは、アントワープのJesuit教会の祭壇上のコーニス部分の装飾の、
下絵というか、まぁ、デザイン画のようなもの。

Rubenshuis
個人的には、完成された絵画より、スケッチの方が、
筆のタッチが伸びやかで、見ていて気持ちがいい。
とりわけ、ルーベンスには、完成した絵画のスタティック(静的)なタッチと、
油彩スケッチの筆勢の違いを感じるのは、
彼の絵画が「スタジオ生産性」だったことと関連しているのかも?
まず、ルーベンスが構図をとった下絵を書き、
弟子達が途中まで仕上げる。
顔や手など重要な部分をルーベンスが仕上げて、
それ以外は弟子たちが完成させる・・・という方式がとられていたことと。
なので、仕上がった作品の大半の部分は、弟子たちの着実な手によるものの、
ルーベンス師匠の筆のタッチはあまり関与していないのかも?
あくまでも、想像の話だけど・・・。

Rubenshuis

Rubenshuis
ルーベンスのコレクションの静物画。
作者は記録してこなかったので・・・どちらも不明。

Rubenshuis
木彫装飾が見事なルネッサンス様式のチェスト。

Rubenshuis
キュリオ・キャビネットは、カメオ・コイン・ミニチュアポートレートなどの、
小型のアート/アンティーク作品を収蔵するためのもの。
キャビネット自体が田園風景で彩られている。

Rubenshuis
テラコッタのバストは、Lucas Faydherbe作のHercules(ヘラクレス)。
ヘラクレス、伝説上で素手でライオンを倒したということになっている。
で、ライオンの皮をかぶっている(身にまとっている)タフガイの彫像なら、
それはヘラクレス。
Lucas Faydherbeはルーベンスの弟子で、メヘレンの彫刻家の息子で、
3年ルーベンスの元で働いてから、メヘレンに戻って彫刻家として独立した。
メヘレンの大聖堂にも、彫刻が入っているのだそう。
知らずに、この前日に写真を撮っていたかも?

Rubenshuis
ギャラリー・ルームから階段を上がって上階のコーナー・ルーム。

Rubenshuis

Rubenshuis
この部屋で目についたのは、この油彩スケッチ。

Rubenshuis
てっきりルーベンスと思い込んでいたら、
実際には彼の弟子のJustus van Egmontによるもの。
"The reconciliation of the Romans and the Sabines"
(「サビニの女たちの仲裁」ストーリーの詳細は<このページ>)
1950年代までこの作品はルーベンス自身によるものと考えられていたそう。
さもありなん、タッチが師匠に似ている。
しかしそう言われてみてよく見ると、師匠よりタッチがややしつこい。
師匠の方が、無駄のない完璧さがある。

Rubenshuis
ここにも、キュリオ・キャビネット。
アントワープ1640年頃のもの。

Rubenshuis
このキャビネットの場合、描かれているのは神話・伝説上のシーン。
ルーベンスの作品を元にして、ルーベンスの縮小版コピーを専門に制作した画家、
Victor Wolfvoetの手になるもの。

Rubenshuis
正面の2枚扉には、ペルセウスとアンドロメダ伝説が描かれている。

Rubenshuis
暖炉のデルフトタイル。
ローランド地域の風景と、聖書モチーフの組み合わせ。

Rubenshuis
上階の次の部屋はベッドルーム。
当時は、ベッドルームとして設定されたものというより、
リビング・ルームや客間の中に、そこが暖房されて温かいのでベッドを置く、
という感覚だったらしい。
あまり、プライベートやプライバシーという感覚はまだ形成されていなかったもののよう。
当時のベッドが短いのは、上半身をクッションで起こした状態で寝ていたから。
中世の頃の「寝ている時も、いつでもすぐ目覚めて戦闘態勢に入れる」説の名残かと思ったら、
消化・循環にいいと信じられていたからなのだそう。
腰にはよくないと思うけど・・・。

Rubenshuis
そのとなりは、リネン室。
当時はアイロンはないので、写真右のようなプレス機でプレスしてシワがつかないようにする。
一方、折目はピンピンに付いている方がよし、とされていたそう。
紙のようにピンピンになったリネンは、後ろのリネンチェストに保管される。
リネンは超高級品だったので、それにまつわるプレス機やチェストも豪華なもの。

Rubenshuis
ルーベンスは外交官役も務める、当時の筆頭画家だったものだから、
経済的にも恵まれていて、このような織地の入った、
超高級リネン・クラスのものが使用されていたはず。

Rubenshuis
その次の部屋の展示で面白かったのは、このPortefraes(英語だとSupportasseと呼ばれる)というもの。
何かというと、Ruff(ラフ)と呼ばれる襞襟の中に芯材としていれるものなのだそう。

Rubenshuis
その見本のポートレート。
エリザベス1世の肖像画もこの襞襟の典型なので、
「エリザベス・カラー」とも呼ばれるけれど、それがまた転じて、
犬や猫が怪我の治療中に、傷口を舐めないようにはめられる、
ロウト型のカラーも、「エリザベス・カラー」と呼ばれている。
あれ?日本語でもそうだったっけ?日本語でなんというか知らない・・・。
ま、とにかく、ペットでも人でも不便極まりないと思うのだけれど。

Rubenshuis
その次の部屋も、絵画やコレクションなどが展示されている。

Rubenshuis
目に止まったチャーミングなポートレートは、
Portrait of Elisabeth of France, later Isabella, Queen of Spain c.1610-12
(エリザベス・オヴ・フランス、後のスペイン女王イザベラ←便宜上全部英語読み)
Frans Pourbus De Jonge作。

Rubenshuis
レースの襞襟も見事だけれど、ついジュエリーに目が行く。

Rubenshuis
最後にスタジオだった展示室に向かう。
その前に、バルコニーになった階段部分から下の階に。

Rubenshuis
ここから、ポ-ティコ越しに庭が見える。
この庭のイメージはまた次回に。

Rubenshuis
バルコニー部分を反対側から見たところ。

次回は、スタジオ展示室と、庭のイメージを詰め込みますよ。


Rubenshuis(ルーベンスの家)
Wapper 9-11, 2000 Antwerpen, Belgium

英文オープニング情報・入場料<このページ

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