Saturday 19 March 2016

Rijksmuseum(国立博物館)2016, アムステルダム -4-


やっと、Euranticaがらみの仕事系写真を仕上げて、デジタル納品を済ませて、これからは趣味の写真にとりかかれる・・・と思ったら、またデジタル・プチ災難発覚。
愛用していたスライドショー・メーカー・サイト、Flickritがどうやら、他社に買収でもされたみたい(?)で、無料版を使っていると(PCでも、モバイルでも)イギタナイ、ポップ・アップが出る。これで、自分のサイトもこの標本箱にも使っているものだから、難儀。
有料版を使う分には異存はないのだけれど、3月6日付けのここのサイトのニュースで、「現在、有料会員支払いの決済ができません。対処中です。」と表示されている。メール問い合わせはしているけれど、ちょっとこれは信用ならんし、他のノン・フラッシュ・スライドショーも模索中。
なので、見苦しいポップアップしばらくご容赦。なんとかしようとはしています・・・。専門でないので、他力依存が基本のデジタル作業もやんなっちゃうわー。もうデジタル界から引退したいかも(こればっかり言ってる・・・笑)。

さてさて、標本箱は、またRijksmuseum(ライクス・ミュージアム=国立博物館)の絵画のイメージの最終回。ポートレートやら、風景画やらいろいろ詰め込んでみよう。

Militia Company of District II under the Command of Captain Frans Banninck Cocq ("The Night Watch"),  Rembrandt van Rijn, 1642
Militia Company of District II under the Command of Captain Frans Banninck Cocq
("The Night Watch"), Rembrandt van Rijn, 1642
多分ここ国立博物館筆頭の名画、レンブラントの旧「夜警」。
あまりにも画面がくすんで「夜」にしか見えなかったので「夜警」の通称が付いた。
Wiki.jpで日本語の詳しい解説が付いているので、解説はリンク先にお任せ。
動きのあるリアリティのある構図に「組合親父の集合ポートレート」を発展させた、
のが、レンブラントならでは、と、言われている。
この頃の「組合」だったりこの場合「軍」なんだけれど、
市民都市国家の、当時のオランダ諸都市では、
富裕市民が自費で軍備を整え、共同軍務を執るという統治方式だった様子。
(あまり・・・コンチネンタルの歴史に詳しくない)
イギリス・フランスは王権制なので、肖像画といえば、貴族とその一家というのが基本。
なので、こんなような集合肖像画を見かけない。

で、レンブラント「以前」の典型的な「組合親父の集合ポートレート」とはどんなものか?

Militia Company of District XI under the Command of Captain Reynier Reael, Known as "The Meagre Company", Frans Hals and Pieter Codde, 1637
Militia Company of District XI under the Command of Captain Reynier Reael,
Known as "The Meagre Company", Frans Hals and Pieter Codde, 1637
こんなものです。
これはFrans Hals(フランス・ハルス)の描いたもの。
(3年前にHarrlemハーレムの本家Frans Hals Museumを訪れた時の標本箱は
このページ>)
全員を平等に描く必要から、なんだか構図がぎこちないのはやむなし。
ちなみにこの右4人は、解説でそういわれると、どことなくタッチが硬い。
この部分は、ハルスは未完のままで、
発注元の軍所在地アムステルダムに移動させて、
アムステルダムの画家Pieter Coddeの完成させた部分なのだそう。
ハルス自身は、けしてハールレムから出なかったので、
隊員たちは各々ハールレムの彼のアトリエに出向いて描いてもらった。
この4人が出向けなかった人達だったのだそう。
ちなみに、こうやって全身を描くのはアムステルダム式で、
ハールレムでは上半身(または最大ひざ上)のみが描かれていた。
(ハールレム、ハルス博物館収蔵の、集合ポートレートはすべてこの方式)
なので、ハルスにしては珍しい全身像の集合ポートレートということ。

Militia Company of District XI under the Command of Captain Reynier Reael, Known as "The Meagre Company", Frans Hals and Pieter Codde, 1637
構図はともかく、筆のタッチという点では、個人的には断然ハルスが好み。
布地の質感を表す、スピード感のある流麗なタッチが実に心地よい。
(お気に入りのJohn Singer Sargent=サージェントに、少しだけ通じる部分。)

Militia Company of District XI under the Command of Captain Reynier Reael, Known as "The Meagre Company", Frans Hals and Pieter Codde, 1637
そして、このご衣装と、「でや」顔^^。

Militia Company of District XI under the Command of Captain Reynier Reael, Known as "The Meagre Company", Frans Hals and Pieter Codde, 1637
この部分がPieter Coddeの完成させた部分。
ハルスの手早いブラシ・ストロークに出来る限り近づけて描いているのだそう。

Milita Company of District VIII under the Command of Captain Roelof Bicker, Bartholomeus van der Helst, 1643
Milita Company of District VIII under the Command of Captain Roelof Bicker,
Bartholomeus van der Helst, 1643
究極のアムステルダム式集合ポートレート。
(大きすぎで、3ショットしたものを繋いだ・・・)
おおきいヴァージョンは<このページ
30人以上詰め込んだ(子も犬も混じっている!?)巨大版は、バルトロメウス・ファン・デル・ヘルスト作。

Milita Company of District VIII under the Command of Captain Roelof Bicker, Bartholomeus van der Helst, 1643

Milita Company of District VIII under the Command of Captain Roelof Bicker, Bartholomeus van der Helst, 1643
このビラビラ・ドロップ飾りの付いた帯は何なんだろう?
想像だけれど、薬莢入れを装飾的にした銃士の儀式用正装の一部かと?
こんなに紐が長いと、もつれたり引っかかったり、
あまり、実用的ではなさそうなので(笑)。

Portrait of a Couple, Probably Isaac Abrahamsz Massa and Beatrix van der Laen, Frans Hals, c.1622
Portrait of a Couple,
Probably Isaac Abrahamsz Massa and Beatrix van der Laen, Frans Hals, c.1622
これもフランス・ハルス。
もう一つハルスの特徴的なのは「笑顔」を描くこと。
「笑いの画家」とも呼ばれているそう。
昔の肖像画には「笑顔」がありえない。
長時間モデルで座っているので「笑顔」にはならないからだろう。
(ロングエキスポージャーの初期写真でも、笑顔は少ない。)
早描きハルスだから、笑顔をキャプチャー出来たともいえるのかも。

A Militiaman Holding a Berkermeyer, Known as the "Merry Drinker", Frans Hals, c.1628-30
A Militiaman Holding a Berkermeyer, Known as the
"Merry Drinker", Frans Hals, c.1628-30
「笑いの画家」ハルスなら多分これが一番有名か。
「まぁ、一杯やりなせぃ」
もう一つ現代のように「歯」を出して笑うところを描かないのは、
歯科医療が発達してないので、
歯抜けの人が大半だから・・・という話も聞いたことがある。
真偽の程はさだかでないけれど(笑)。

Potrait of a Woman, Possibly Maria Trip, Rembrandt Harmensz van Rijin, 1639
Potrait of a Woman, Possibly Maria Trip, Rembrandt Harmensz van Rijin, 1639
お、「遅描き」レンブラントのポートレートも微笑んでいるぞ・・・。

Potrait of a Woman, Possibly Maria Trip, Rembrandt Harmensz van Rijin, 1639
ディティール
この絵は、ブローチがステキ。

Allegory on the Abdication of Emperor Charles V in Brusseles, Frans Francken II, c. 1630-40
Allegory on the Abdication of Emperor Charles V in Brusseles,
Frans Francken II, c. 1630-40
1555年に、神聖ローマ皇帝カール5世が、長子フェリペ2世にスペイン・ネザーランズを譲渡し、
弟のフェルディナント1世にオーストリア・神聖ローマ帝国を譲渡して、退位隠棲した出来事を、
寓意を駆使して描かれている。

Allegory on the Abdication of Emperor Charles V in Brusseles, Frans Francken II, c. 1630-40
まるで静物画かキャビネット・オブ・キュリオシティーズな、ディティールに興味。

The Taking of the English Flagship the Royal Prince (detail) by Willem van de, the Younger Velde
The Taking of the English Flagship the Royal Prince (detail)
by Willem van de, the Younger Velde, 1666
第二次英蘭戦争の4日海戦で、拘束したイギリス旗艦船 ロイヤル・プリンス(白旗側)を、
曳航するオランダ帆船。
この絵画では、のどかそうだけれど、4日間に渡る史上最長の海戦だったのだとか。
イギリスとオランダの17世紀前後の関係は、仲がいいのか悪いのか・・・。
アジアに進出するオランダに対抗して英蘭戦争を繰り返して、
結果的に、名誉革命後オラニエ公ウィレム3世を、
イングランド王ウィリアム3世として招聘することになるという皮肉・・・。

View of Haarlem from the Northwest, with the Bleaching Fields in the Foreground, Jacob Isaacksa van Ruisdeal, c.1650-82
View of Haarlem from the Northwest, with the Bleaching Fields in the Foreground,
Jacob Isaacksa van Ruisdeal, c.1650-82
もっとのどかな田園風景は「雲の画家」ライスデール(ライスダール)。
風景自体より、多分雲を描くほうが好きだったんだろうな・・・と思わせる、
表情豊かな(?)雲たち。

View of Haarlem from the Northwest, with the Bleaching Fields in the Foreground, Jacob Isaacksa van Ruisdeal, c.1650-82
いや、風景の方のライティングも見事なのだけど。

River View by Moonlight, Aert van der Neer, c.1640-50
River View by Moonlight, Aert van der Neer, c.1640-50
ソフトスポットのある、月光絵画。

River View by Moonlight, Aert van der Neer, c.1640-50
ディティール。

The Trekvliet Shipping Canal near Rijswijk, known as the "View near the Geest Bridge", Jhon Hendrik Weissenbruch, 1868
The Trekvliet Shipping Canal near Rijswijk,
known as the "View near the Geest Bridge", Jhon Hendrik Weissenbruch, 1868
18世紀の絵画をナイガシロ(?)にしているつもりはないのだけれど、
また時代は19世紀に飛んで、200年後もあまり変わりなくのどかな風景。

The Trekvliet Shipping Canal near Rijswijk, known as the "View near the Geest Bridge", Jhon Hendrik Weissenbruch, 1868
デティール。
タッチがすでに19世紀印象派画家風になっている。

Woodland Pond at Sunset, Albert Gerard Bilders, 1862
Woodland Pond at Sunset, Albert Gerard Bilders, 1862
文字通り印象的な、サンセット。

Woodland Pond at Sunset, Albert Gerard Bilders, 1862
ディティール。

Summer Luxuriance, Jacob van Looy, 1900
Summer Luxuriance, Jacob van Looy, 1900
20世紀に入ったばかり。
花の色がゴージャスで目に焼き付いた絵画。

Summer Luxuriance, Jacob van Looy, 1900
夏の日のたそがれ時。

Summer Luxuriance, Jacob van Looy, 1900
何の花かはわからないけれど(Erysimum?)甘い香りが漂ってくる様。




Rijksmuseum(国立博物館)
Museumstraat 1, 1071 XX Amsterdam

開館:毎日 9:00am- 17:00pm 
(クリスマスも、New Years Dayも、国王誕生記念日もオープン)

入場料:大人17.5ユーロ、特別展とのコンバイン・チケットだと25ユーロ。
チケット売り場がかなり並ぶ、という話なので、E-チケットが推奨されている。
プリントアウトを持っていけば、そのまま直接館内入口に向かい、
係員にプリントアウトをスキャンしてもらうだけ。
チケット、プリントアウトを持っている限り、その日の内の出入りは自由。
毎回、入口でスキャンして入れてもらう。

地図:

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まだ1月のDen Haag(デン・ハーグ)の写真が残っているけれど、
次回はEurantica(ユーランティカ)のPおじさんのブースのイメージを詰め込んでみることに。






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