Tassenmuseum Hendrikje(バッグとパース博物館), Amsterdam -3-
予定外で第三部突入のTassenmuseum Hendrikje(バッグとパース博物館)。前回の続きで19世紀のビーズバッグのあたりから、話は引き続き・・・。
ビーズ関連で少し話は遡るけれど、典型的なオランダの18世紀のバッグ、
というセクションのビーズバッグも目を引いた。
1771年オランダ製の銀口金付き、ビーズバッグ。
(ビーズバッグ自体は19世紀のもの。)
上にリングが付いていて、紐やチェーンでベルトから提げて使うデザインが、
当時のオランダの典型なのだそう。
装飾的な銀の口金は高価なもので、
母から娘へと受け継がれていった。
バッグのボディはその時々の流行に合わせて、
革製・ヴェルヴェット製・ダマスク織り製などのものに作り変えられたそう。
写真のようなビーズ織りのものは、19世紀初頭に制作されたもの。
これも18世紀末から19世紀にかけて、
全ヨーロッパで使われていたchatelaine(シャテレーン)。
ペンやらハサミやらメジャーやら、便利グッズをいろいろ、
ジャラジャラチェーンに下げて、これをまたベルトに引っ掛けて持ち歩く。
スイス・アーミー・ナイフの女性版とでもいうか・・・。
ここにもビーズ編みのコイン入れが下がっている。
上のシャテレーンは、スティールカットビーズ編み・・・のようだけれど、
シャテレーンのコイン入れでよく使われたのが、チェーン編みのもの。
初期中世の頃のチェーンメイル(鎖鎧)と基本的に同じようなもの。
これは、19世紀末チェコ製・・・だったかな。
ジュエリーでも、スタンピングメタルパーツに、
ガラスカット石を使った、ブローチやバックルが
現在のチェコのエリアでよく生産されていた。
真ん中に使われているスタンピングメタルのパーツは、
ブローチにも使われるモチーフだったんじゃないかな・・・と思う。
これはダマスク織のもの。
シトリン(?)とアメジスト(?)を留めつけた銀口金と、
生地の色味がよくマッチしていて、とても綺麗。
これはもう20世紀、1920-30年頃のチェコまたはドイツ製。
デザインもアールデコやモダニズムを反映したもになっている。
アール・デコといえば、こういったデザインが典型的。
下にビーズ撚りではなくて、チェーンを下げているのは、
当時の、ちょっと量産品な感じがする。
口金のスタンピングも浅いし・・・。
アール・デコの神、降臨的な・・・鉄板典型デザイン。
1915年フランス製、レザーにエナメル板貼り付けのイヴニング・バック。
朝の散歩と、昼のお出かけ、夜のお出かけ、
それぞれのオケージョンに合わせたバッグに持ち替えてでかけた。
これも口金はアールデコ鉄板なデザインだけれど、
ボディはトラディショナルなレースワーク。
このコントラストがとても珍しい。
19世紀の後半から、鉄道や旅客船での旅行が普及し始めると、
新たな旅行用バッグ・スーツケースの需要が増大する。
当時の紳士淑女は自分で荷物を引っ張って行ったりはしない。
すべて、使用人やポーター任せ。
なので、やたら重くて巨大な、化粧台一式箱詰め的ケースが一般的。
ルイ・ヴィトンなどは典型的にこの需要に乗って、出てきたブランド。
現代の我々は、軽くて便利なMUJIのプラ・ボトル愛用してるんですけどね。
どこへ行くにもティーセットなしでは出かけられない・・・、これはもしかすると、
イギリス製だったりして・・・。
その、「ポーターさん荷物を運ぶ」のブリキおもちゃもコレクション入り。
これもブリキおもちゃで、長靴を履いた・・・ハンドバッグ持参の猫。
おもちゃの次は、子供用(通学用)バッグ。
日本にはランドセルという特有のバッグがあったけれど
(あれはよその国では見たことない?)
あの「ランドセル」の語源はオランダ語の「ransel(ランセル=ナップサック)」だったとは・・・、
はじめてWiki.jpで知った。
自分的にとても「ツボ」だったのが、この木製通学バッグ(というか「箱」)。
素朴系のペインティングにソフト・ポイントあり。
展示は続く、まだまだ続く。
この辺りは20世紀のイヴニングバッグ。
で、やっぱり、ビーズ物を見ている。
50年台の新素材、プラスチック製のバッグ達。
今時は、こういうスマートフォン・カヴァーがあるような・・・(笑)。
海物夏物のバッグ。
なかなか素材感が面白かったりする。
何でもありのデザインバッグ。
あぁもう勝手にやってください(笑)。
最後は、21世紀のデザイナー製作の、18-19世紀の印刷物・カードを、
コーティングしたものをつなぎあわせた箱型バッグ。
時代は回帰する、しかし違う次元で・・・ってことかな。
予想以上に濃い見応えのミュージアムでしたよ。
Tassenmuseum Hendrikje
(バッグとパース博物館)
Herengracht 573
1017 CD Amsterdam
毎日10:00 a.m. – 17:00 p.m.
入場料: 大人 12.5ユーロ
(祝日閉館等の情報は英文で<このページ>に)
map:
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by KotomiCreations
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