Friday, 19 February 2016

Tassenmuseum Hendrikje(バッグとパース博物館), Amsterdam -1-


アムステルダムには毎年来ていて、毎年初日と最終日に博物館・美術館めぐりしているので、正直なところ、もうそろそろネタがない・・・(笑)。 今回訪れたTassenmuseum Hendrikje(バッグとパース博物館)は、あまり天気がよくなさそうだったので、街の撮影にも暗すぎるし、というので、確かこんな博物館もあったよな・・・的に、たいして期待せずに入ってみた。
そうしたら、ランチもできる落ち着いたインテリアのカフェもあって、展示も予想外の充実ぶりで、2時間近くゆっくり興味津々で見て回ることができた。写真もたくさん撮ってしまったので、2回に分けて標本箱に詰め込むことに。

Museum of Bags and Purses
これが入り口。
Herengrachtに面したカナルハウスに設置された博物館。

Museum of Bags and Purses
カフェ・レストランのあるフロアのランディングはこんな感じで、
お茶だけしに来るのも、落ち着いて和めていいかも。

Goat’s leather belt pouch with iron frame and 18 pockets, some behind secret closures, France, 16th c.
モダンなブランド系のバッグのコレクションが中心に展示されている・・・
と思い込んでいたのだけれど、順路の最初は、16-17世紀から始まる。
そこで、古物・歴史ネタ好きの好奇心が全開。
これは、ここで一番古い完全なバッグの一つで、(15世紀の口金、というのが実は一番古い)
男性用ベルトポーチ、16世紀フランス製。
ヤギ皮製で隠しポケットも含めて18のコンパートメントに分かれているそう。
17世紀まで男女ともに服にポケットがなかったので、
コイン・書類・手紙・武器・祈祷書やお守りなどなど、
様々な小物を持ち歩くのに、ポーチが必要だった。
さすがに、スマートフォンはなかったんだけれど・・・。

Women's bag, silk purse embroided with gild thread, drawstring of pleated silk with tassels, France, ca 1600
これは女性用で、シルク製に金糸刺繍。
1600年頃のフランス製。

Women's bag, Velvet bag with silver thread embroidery, Europe, 17th c.
17世紀のヴェルベットのバッグ。
こういうの、アンドロイドのケースにしたい(笑)。

Silk bridal bag with bride (Princess Maria Leszynska, the bride of King Louis XV) in enamel on copper, Limoges, France, 1725
リモージュ製のエナメルプレートを、二枚貝のように2つ組み合わせて、
その間をシルクやレースで繋いだパース。
エナメルにはカップルの肖像画描かれていて、ブライダル・バッグとよばれるもの。
貴族や王族の婚礼の際に、結納金を新婦に贈る際に使われた。
この中に金貨が入れられたわけだけれど、
こ・・・こんなに小さい?・・・これじゃ、ちょっとしか入らないんですけど(笑)。
多分儀式用のものなのじゃないかな。

bridal purses
その、二枚貝を開いたら、こんな風。

A beadwork purse with inscription ‘Remember the Pore 1630’, England, 1630
イギリス、1630年製造のビーズ細工のポーチ。

Drawstring purse made of ‘sablé’ glass beads, France, 18th century
18世紀フランス製のビーズポーチ。
この頃から0.5-0.6mmの極小シードビーズ、
sablé(セーブル=仏語の砂粒の意味から)が作られ始めた。
針が穴に通らないぐらい小さいので、馬の尻尾の毛で編んで作られた。
そういえば、19世紀の極小パール編のジュエリーも、馬の尻尾の毛で編まれていたな。

Sweet bag worked in silks on a ground of silver thread with text woven in drawstring, England, 1620-1630
1620-1630年イギリス製の「スィート・バッグ」。
スィート・バッグというのは、17世紀前半の習慣で、
このような小さなバッグに、花びらや香料を入れて、服の間に着けて、香りを楽しむもの。
英仏の宮廷では、新年にここに金貨を詰めて、王様にプレゼントしたのだそう。
お年玉袋・・・っていうか、年明けてからのお歳暮っていうか・・・。

Shield-shaped coin purse, embroidered, France, 1700-1730
1700-1730年フランス製の盾型コインパース。
羊飼いの男女(裏面は女性)のいる田園風景が刺繍されている。

Letter case
博物館のサイトのコレクションセクションに資料が公開されていないので、
このあたりから、詳細情報は不明なのだけれど、「レターケース」の展示。
手紙も、今どきのようにただの封筒やプラケースに入れて持ち歩いたりせずに、
こんな見事な「書類ケース」に収められていた。
これは枢機卿帽子のついた紋章なので、宗教関連の人も持ち物かと。

Letter case
「あなたのためにハートがを燃やします」的なメッセージの付いた、レターケース。
Sacred Heart(聖心)だったら、宗教関連だけれど、
多分ラヴレターをいれておく、ロマンティック系のものかと考えられている。

Letter case
これも細かいビーズ織りで作られたレターケース。

Letter case
刺繍入りのレターケース。

Purse
紋章入りのパース。

Tie pockets
18世紀ロココスタイルの頃の、Tie pocket(タイ・ポケット)と呼ばれるもの。
まだこの頃のご婦人のドレスにはポケットがなかった。
それでいて、スカート自体はたいそうボリュームのあるものだったので、
スカートの下にこのようなポケットを下げていた。

Tie pockets
一家でコルセットと苦戦中のイラストの女性も、
このようなタイ・ポケットを下げている。
この上からオーヴァー・スカートを被せて着ていた。

Workbag
18世紀から19世紀にかけて、ハンドメイドされたWork Bag(ワーク・バッグ)。
裁縫・手芸用品を入れて、家の中で持ち歩くもの。

Workbag
これもワークバッグ。

Workbag
これも。

sawing accessories
中に入れて持ち歩いていた裁縫用品はこんなようなもの。

Workbag
右手前の女性が膝の上に乗せているのが、そのワークバッグ。

ここからまた、19世紀以降のものを次回に。



Tassenmuseum Hendrikje
(バッグとパース博物館)

Herengracht 573
1017 CD Amsterdam

毎日10:00 a.m. – 17:00 p.m.
入場料: 大人 12.5ユーロ
(祝日閉館等の情報は英文で<このページ>に)

map:



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