Thursday, 14 April 2016

Rubenshuis, Antwerp (ルーベンスの家 - アントワープ) -1-

近頃天気のいいロンドン、日向にいると春を通り越して、夏感覚。気温の上がる街の中心部では、半袖Tシャツ、ノースリーブも見かける。
ちょうどそんないいお天気の昨日は、夏物のファッションフォト・シュートで、モデルさんは寒くなくてちょうどよかったね、私は日差しでちょっとバテ気味(甘く見て帽子をかぶってなかった)、な一日でしたよ。

標本箱は、これから本格的にAntwerp (アントワープ)。
街もなかなかステキなのだけど、ここのミュージアムも「濃い」。3つアタリをつけていったところ、その3つともが素晴らしく濃厚なミュージアムで、とても一日では回りきれず、2日通うことになった。
今回はまずその最初、Rubenshuis(ルーベンスの家)のイメージを。
Peter Paul Rubens(ルーベンス)といえば、 16世紀後半~17世紀前半にかけて活動した、バロック様式のフランドル画家で、あまりにも有名なので何も今更書くこともなくて、全部リンク先のWiki.jpにお任せしてしまう。
自分的には「太ったおばさん専門の画家」という印象で(実際に・・・、オランダ/フラマン語はもとより英語でも、豊満なご婦人を「rubenesque(ルーベンス的な)」などと形容詞に使われたりもする)、元々はあまり興味なかった。
ところが、去年アムスのRijksmuseum(国立博物館)で、ルーベンスの油彩の素描を見て、(こんなもの↓)
The triumphal Chariot of Kallo, 1638, Peter Paul Rubens
ブラシュ・ストロークの確実さとスピード感で一気に「お気に入り」。そこで、アントワープのミュージアム巡りの真っ先にここをいれておくことにした。

Rubenshuis
アントワープのハイ・ストリート、Meirから、噴水のある広い通りWapperを左に曲がると、
まずガラス張りのチケット売り場+ショップの建物が目に入る。
そこでチケットを買って、この17世紀の建物が入り口。
中庭から庭へ繋がっていくのだけれど、まずは建物の中から。
ゲートから入ると左側から順路が始まる。
この17世紀初頭のファサードで、インテリア/建築好きとしては、たいがい血圧上がる。

Rubenshuis
最初の部屋、多分、使用人用の入り口ホール、あるいは門番のための部屋だったと想像する。
ちなみに、自分はヴィジュアルで情報を読み取るタイプなので、オーディオガイドやガイドブックは使わない。
なので、詳しい情報はちょっと不明だけれど。
この部屋からして・・・すでに壁が、ギルト・レザー。この後の2つの博物館でもギルト・レザー続出。
今回の出張は、まるでギルト・レザーのお勉強のような・・・。
イギリスの同時代の建築の壁には、オーク材のパネリングが使用されていた。
ギルト・レザーの例は(Ham House)ハム・ハウスで見たことがあるだけ。

Rubenshuis
版画に描かれたルーベンスの屋敷。
外交官的職務でイタリアに8年滞在していたルーベンスが、
アントワープに持ち帰った、イタリア・ルネッサンスのエッセンス。

Rubenshuis
なぜここが、使用人用の入り口ホール、あるいは門番のための部屋・・・と思ったかというと、
隣の部屋が即、キッチンなので。

Rubenshuis
これだけ大きな屋敷にしては、意外とこじんまりしたキッチン。

Rubenshuis
壁のデルフトタイル。

Rubenshuis
ここでまた一段と血圧上がる・・・の、ダイニングルーム。
壁のギルト・レザーに、暖炉に・・・スリップウェアのタイル、ダッチ・ブラス・シャンデリア、
そして木彫装飾のドアフレーム・・・に熱中していて、
正面の、数少ないルーベンスの自画像は、全然目に入ってないし(笑)。
これが見どころ・・・だそうなので、Wikimediaから借りてきた。

Peter Paul Rubens - Self-Portrait - WGA20380
Self-Portrait - Peter Paul Rubens c.1628 - 30.
53歳ごろの、2度目の奥さんと結婚する頃に描かれた、
最もカジュアルな様式のもの。

Rubenshuis
どちらかというと、静物画に目がいってるし(笑)。
これは、ルーベンスのコレクションで、同時代の画家Frans Snydersのもの。

Rubenshuis
セラミックのジャグ。

Rubenshuis
暖炉のスリップウェアのタイルは、とてもイギリス的な印象。

Rubenshuis
幾何学的なPane glassの窓。

Rubenshuis
中央にはステンドグラス。

Rubenshuis
ルーベンスの自画像の向かいは、その2度目の奥さん、
Helena Fourmentと考えられている。
描いたのはルーベンスではなくて、彼の死後描かれたもので、作者は不明。

Rubenshuis
次のギャラリーの部屋との間に階段ホールがある。
これは上階から覗いたところ。

Rubenshuis
ギャラリーの部屋のドア・フレーム装飾。

Rubenshuis
これがギャラリー。
17世紀初期には富裕市民の屋敷には、富と教養を誇示するべく・・・、
コレクションしたアートや工芸品を展示する「ギャラリー」が設けられた。
ルーベンスのコレクションも間違いなく、その中では卓越したものだった。
奥のドーム状になった展示スペースには、
イタリアから持ち帰ったローマ期の彫刻が展示された。
ちなみに・・・この正面もまたルーベンスの数少ない自画像の一つで、
息子のAlbert(アルバート)とともに描かれたもの。<wiki リンク

この部屋の360°ヴューをGoogleで見つけた<このページ>。

Rubenshuis
この大理石造りのギャラリー、北ヨーロッパとはとても思えない。
まるで、イタリア・・・。

Rubenshuis
The Gallery of Cornelis van der Geest, by Willem van Haecht.
自分的に好きなのは、こういう、インテリアに、またモノがぎっちり詰まったような絵画。
17世紀に、個人アート・ギャラリー(つまり、画商のギャラリー)が出現する。
ここに描かれているのは、Cornelis van der Geest(コーネリス・ファン・ダー・ギースト)のギャラリー。

Rubenshuis
ご来訪のお客様は、スペイン王名代でオランダを統治するアルブレヒト大公イサベル・クララ・エウヘニア
オランダ黄金期の文化を支えた統治者とされている。
Quentin Massysの「聖母子」をお勧めしているのが、オーナーのファン・ダー・ギースト氏。
(<この絵>← うわ、NY Sothby'sで現物が売りに出ていたー。)
その絵の左側で、帽子を被っているのがルーベンス、
そのまた右隣りの、右隣がVan Dyck(ヴァン・ダイク)、オールスター出演の絵画。

Rubenshuis
随行の連中も、好き勝手にいろいろ見てるし。

いやいや、まだまだ写真は続くのだけれど、
ひとまず、今回はここまで、また続きます。



Rubenshuis(ルーベンスの家)
Wapper 9-11, 2000 Antwerpen, Belgium

英文オープニング情報・入場料<このページ

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