Wednesday, 27 May 2015

MAK (Museum of Applied Arts = 装飾美術博物館)、ウィーン -2-

ヴィエナ(ウィーン)のMAK (Museum of Applied Arts = 装飾美術博物館)より、2回目のエントリーは、実はここの博物館、この作品で一番有名・・・という、Gustav Klimtギュスターヴ・クリムト)のモザイク壁画の制作用デザイン画を中心に。


Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stociet House in Brussels, 1910-11
前回の標本箱に詰め込んだ、MAKの中で、
ヴィエナ・ヴォルクシュタットに充てられた、2階の3室の真ん中の部屋にこの作品が鎮座している。
水彩(グワッシュ?)で描かれた制作用デザイン画(指示書)の、退色を防ぐために、
極端に暗く保たれている。


このモザイク壁画は、セセッションの同僚の建築家Josef Hoffmann(ヨーゼフ・ホフマン)が1905-1911年に設計した、ブルッセルのStociet Houseストックレー邸)のダイニング・ルームの壁面を飾るためにデザインされた。
ちなみに、このストックレー邸は2009年にユネスコ世界遺産に指定されているが、個人邸のため、現在も公開はされていないとのこと。 外観は<このページ>に。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
左右の小さいパネルも含めて、全体で9枚パネルの構成になっている。
その真中のかろうじて5枚分+少し、が、ここに写っている。
メインのテーマとして描かれているのは、生命の木。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
左側の女性像。
ジャワの影絵のようなエキゾティシズムを漂わせている。
このパネルはDie Erwartung (期待)と呼ばれている。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stociet House in Brussels, 1910-11
ゴールドとブルー/グリーンのコントラストが、美しく際立つ。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
右側の象徴化されたバラの生垣(かな?)

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
制作指示書を兼ねたデザイン画なので、素材に関する指示出しがされているのだと思う。
この>サイトによると、大理石、陶器、金彩タイル、貴石、パールなど、
高価な材料が使われていたそう。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
ドイツ語が読めないのが残念。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
「モザイク」の指定はわかる^^。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
こんな風に丸く立体的になってるパーツをこう貼り付けて・・・、
みたいなことが書いてあるんじゃないかな?
基本がデザイナー+職人の自分的には、
こういうアーティストの指示書を見ていると、
本人と対話しているような感覚になってとても興味深い。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
とか、「あ、やっぱりここの蔓はやめて、花をいれるから・・・」
のような、デザイン変更とか、
「あ、確かにその方がバランスいいですよね、了解です。」
なんて、受け答えしてしまいそうになる(笑)。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
これは、左側に一枚独立したパネルで、Die Erfüllung(成就)と呼ばれている。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
これは右側の方で独立したパネルで、Ritter(騎士)と呼ばれている。
もうほとんど幾何学模様のタペストリーのような・・・。

Gustav Klimt, Nine Drawings for the Execution of a Frieze for the Dining Room pf Stoclet House in Brussels, 1910-11
そのディティール。

Stoclet House
Image source:www.architectmagazine.com
ネットで探し当てた実際のインテリアはこんな風。
大型の7枚パネルは実際には 向かい合わせて2枚作られて、
小さいパネル2枚は、ダイニング・ルームの短い方の壁に
向かい合わせて、インストールされたもののよう。
それにしても・・・、私が生きてる間に一般公開してくれないかな・・・、ここ。
それも、写真許可で(笑)。

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Margaret Macdonald Mackintosh, The Seven Princesses, Glasgow 1906
Margaret Macdonald Mackintosh, The Seven Princesses, Glasgow 1906
そのまた隣の壁面で、大きく展示されているのが、この、
Margaret Macdonald Mackintosh(マーガレット・マグドナルド・マッキントッシュ)の、
「7人のプリンセス」。
標本箱に収まるサイズにしたら小さくてなんだかわからない・・・。
せっかく3枚の画像合成して、全体を大きく作ったから<このページ>で大判をどうぞ。
スコットランド、グラスゴーを代表する建築家、
Charles Rennie Mackintoshチャールズ・レニー・マッキントッシュ)の奥さんだけれど、
彼女自身もアーティストで、彼の作風に多大な影響を与えたという話。

Margaret Macdonald Mackintosh, The Seven Princesses, Glasgow 1906
そのディティール。
ジェッソで、レリーフ状に盛り上げられている。
実に繊細でフェミニンな作品。

Margaret Macdonald Mackintosh, The Seven Princesses, Glasgow 1906
マッキントシュのバラは・・・元は彼女の「持ちネタ」だったりして・・・。

Margaret Macdonald Mackintosh, The Seven Princesses, Glasgow 1906
彼女のサイン。

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勢いで、その他の平面作品も一気に載せてしまう。

Gustav Klimt, 1st Art Exhibition of the Association of Visual Artists of Austria, Secession, Vienna, 1898
Gustav Klimt, 1st Art Exhibition of the Association of Visual Artists of Austria,
Secession, Vienna, 1898
クリムトのデザインした、第一回セセッション展のポスター。

Kolman Moser, Secession, 5th Art Exhibition of the Association of Visual Artists of Austria, Vienna 1899
Kolman Moser, Secession, 5th Art Exhibition of the Association of Visual Artists of Austria,
Vienna 1899
これは、Koloman Moser(コロマン・モーザー)のデザインした、5回展のポスター。

Carl Otto Czenschka, Panneau Diana, Vienna, 1911
Carl Otto Czenschka, Panneau Diana, Vienna, 1911
Carl Otto Czenschkaデザインのレリーフ状のパネル。

次回もMAKの一階部より、時代のさかのぼったガラス器のイメージを。


MAK (Museum of Applied Arts = 装飾美術博物館)

Stubenring 5, 1010 Vienna, Austria

ヴィジター情報は<このページ

地図:






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