Frans Hals Museum(フランス・ハルス博物館)-Haarlem(ハールレム)
アムステルダム界隈ミニ旅行の話は、今回が最終回で、再びHaarlem(ハーレム)より、Frans Hals Museum(フランス・ハルス博物館)のイメージ。
Wiki jpでは「美術館」になっているけれど、私的には絵画より、インテリア/家具を見ていたので、やっぱり「博物館」かな、というので博物館表記にした。絵画とインテリア/家具がちょうど半分ずつ、という感じ。
正直な話、フランス・ハルスという画家の名前も聞いたことがなかったのだった・・・。(何度も言うけれど、私、絵画と現代アートには無頓着。)
Pおじに「ハールレムにテイラース博物館見に行く。」と言ったら、Pおじはテイラース博物館のことを知らない。(一緒にいた、グラダおばちゃまが「オーヴァル・ルーム見に行くんでしょ?」と、盛り上がってたけれど。)で、Pおじは「ハールレム行くって言うから、フランス・ハルス博物館行くのかと思ったよ。」
今度は私が「それ、何?」と尋ねて、「フランス・ハルス知らんのか?」と呆れられる。知らんのだな、これが(笑)。そして、ハールレム行くなら、ここを見てきなさいと強く勧められる。
テイラース博物館の期待していた半分が(つまり2階部だけれど)未公開だったので、早々に切り上げ、このフランス・ハルス博物館の方に移動した。
この博物館は1862年に、シティホール(市庁舎)のコレクションを中心にして、シティホールの裏にある旧修道院クロイスター・Prinsenhofを改装して、開設されたもの。1913年に現在の敷地に移行されるが、これは、元々は1609年建造のHofjes(旧養老院)の建物だった。
十数枚あるフランス・ハルスの絵画が、メイン展示物で、そこからここの博物館の名前も採られているのだけれど、17世紀オランダ黄金期の他の画家の作品や、工芸品も収蔵されている。
前置きはこれぐらいで、イメージへ。
最初からいきなり、メインのフランス・ハルスの展示室。
photo by Frans Hals museum @Tripadvisor.nl
引きの部屋の全体像はこんな風。
それで、まだこの段階で、これが肝心のフランス・ハルスの絵画だと気がついていない、私。
絵画は「組合親父の集合肖像画」としか見てなくて、ほとんど目に入らず・・・
その前の、「組合親父の会食テーブル」の復刻ディスプレイの方に、激興味。
で、肝心の絵画は「ディスプレイの背景にちょうどいいか。」程度(笑)。
オイスターやムール貝にレモンを絞って食べる。
まだフォークは使われていなくて、ナイフと手で。一部スプーンも使う。
Rummer(ラマー)と呼ばれるワイングラスのステム(脚)の部分に、
デコボコのテクスチャーをつけるのは、
(手で食べるので)肉や魚の油の付いた手で、グラスを持つのに、
滑らないようにするためだと聞いたことがある。
そして、チーズとパン。
野菜は(ほとんど)食べない代わりにフルーツやナッツはいろいろ。
紙に包まれているのは、当時は高価だった粒胡椒。
Still life, Willem claesz Heda 1633
こういった収蔵の静物画がテーブルの再現の資料になっている。
肝心のフランス・ハルスの絵画だけれど、彼の最も有名で本領発揮なのは、どちらかと言えば「発注を受けて描いた集合ポートレート」より、個人の肖像画や、街で見かけた者のスナップ素描的なもので、そういった作品はルーブルを始めとする他の博物館に所蔵されている。(サーチしてみて始めて「あぁ、あれかー」と気がつく。)
ここは、ハールレムの市庁舎コレクションが前身の博物館なので、ハールレム市関連組合から発注された、集合ポートーレートのみを収蔵している。つまり、どうしても「組合親父の集合肖像画」というわけ。
この「集合肖像画」、全員で毎回モデルに座ってもらえるわけはないので、大体の構図を決めたら、それぞれのポートレートを別々に素描しておいて、後でひとつの大画面上に構成して描いていったはず。その上平等に出資している組合員を、できるだけ同じサイズに描く必要から、なんとなく遠近感がシュールなことに・・・。表情・ポーズ・構成も、いまいちまとまらないでぎこちなく、現代で言うならポストプロセスで合成した集合写真・・・みたいな印象を受けてしまう。
唯一お見事な例は、レンブラントの「夜警(又は、フランス・バニング・コック隊長とウィレム・ファン・ラウテンブルフ副隊長の市民隊)」で、絵画全体の構成と動感が「各個人の肖像」より完全に優先されていて、とても自然な効果を生み出していて秀逸。結果・・・、組合員全員同額頭割りで発注しているのに、平等に描かれていない・・・という苦情が出たらしいが。
それにしても、オランダは市民都市国家で、封建国家ではなかったのだなー、というのは、この「集合肖像画」が多数描かれていることからよくわかる。富裕市民の共同体が都市を統治していて、王・女王を頂点とする貴族階級のハイエラルキーが統治する、イギリスやフランスとは随分違ったシステム。イギリスやフランスでは肖像画は圧倒的大半が、王侯貴族階級の個人(家族)の発注なので、「組合親父の集合肖像画」はあまり見かけないのだった。
絵画の話はこれぐらいで、この部屋の隣で目釘付けになったのが、これ・・・。
18世紀の豪華版ドールハウス。Sara Rothé(サラ・ロティ)のドールスハウスと呼ばれている。
ロココ様式の、パーラー/応接室では、銀器のコレクションが展示されている。
これはピアノのある、音楽室かドローイング・ルーム。
ダンナの書斎。
ベッドルームでは乳母が赤ん坊の世話をしている。
これは階段ホール・・・なのかな。
地階にあるダイニングルーム。
その隣のキッチン。
内扉を閉めたヴューは、ここの博物館のポストカードより。
子供が遊ぶにしては、これまた豪華な・・・と思っていたら、Sara Rothé(サラ・ロティ)というのはお嬢ちゃんではなく、「奥様」。当時、富裕市民階級紳士の教養ある趣味が「キャビネット・オブ・キュリオシティーズ」だとしたら、それに匹敵するご婦人方の趣味が「ドールハウス」だったのだそう。そういうドールハウスの意味合いは、はじめて知った。
「フランス・ハルス博物館見てきなさい。」と言ったPおじも、実は絵画よりこのドールハウスに目が釘付け・・・なんじゃないかな、という疑惑(笑)。
18世紀のパネリングのインテリアは、Academy hall(だったと思う。)
Renaissance room(ルネッサンス・ルーム)は元々は、養老院の食堂として使われていた部屋。
ここの装飾的な壁時計に興味。
Gilded leather room(金張り革で装飾された部屋)。
エンボスの入った革を壁紙に使ってある。その保護のため、部屋は極度に暗く保たれている。
Flower still life, Roelant Savery 610-15年頃。
その部屋の花の静物画。
順路の最後の方、西側のウイングにある長い廊下・・・、
には、オランダ名物デルフト焼の皿が展示されている。
これもそうなんだけれど、左ミルク売り、右は饅頭状のものを売っている(?)。
で、真ん中が、帽子売りなんだろうな。
中庭風景。
最後は、正面入り口。
Frans Hals Museum(フランス・ハルス博物館)
Groot Heiligland 62, 2011 ES Haarlem, The Netherlands.
開館:開館:火~土曜 10:00am~5:00pm、日曜 12:00am~5:00pm
閉館:月曜、クリスマス:12月25日、12月31日、新年:1月1日。
1213年3月22日特別展準備のため臨時閉館。
大人10ユーロ、18歳以下無料。
その他の割引、特別展期間中の料金、開館時間など詳細情報は英文で<このページ>。
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ちょっとハードな締め切り仕事が迫っていて(めったにないことだけれど)、次回の更新は、週末までずれこむ、かも、な、予定です。
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