Museum Willet-Holthuysen(ウィレット・ホルトハイセン博物館)
アムステルダムから引き続き、お屋敷博物館のイメージ。
今回はMuseum Willet-Holthuysen(ウィレット・ホルトハイセン博物館)。
また、オランダ語に文句言うようだが・・・Pおじの発音は私の耳には「ヴィレット・ホルスティースン」としか聞こえないのだ・・・。ググると、「ウィレット・ホルトハイセン」のカナ表記になっているので、この表記に準じることに。(英語だと、ウィレット・ホルズィセン的に読むわな・・・カナ表記キライ。)
前回のVan Loon Museum(ファン・ローン博物館)から500mほど離れたところにあるこのお屋敷も、アムステルダムでもほぼ同じエリアで、ここが18-19世紀の富裕層のお屋敷街だったことが想像できる。
この建物自体は1685年頃に、アムステルダム市長 Jacob Hopのために建造されたもので、1739年に当時ファッショナブルであった、現在のルイ14世様式のファサードに改修されたそう。
ここの最後の個人オーナー、ルイザ・ウィレット・ホルトハイセン夫人が1895年に亡くなった時にここを、博物館としてアムステルダム市に寄贈したため、この名でよばれていて、それ以降博物館となっている。
ここの博物館は、夫、Abraham Willet (アブラハム・ウィレット)とルイザ夫人が暮らした19世紀の富裕ディレッタント(趣味人)の生活ぶりを再現している。
Abraham は裕福な趣味人の医者の子息で、法学を学ぶが、結果的には遺産で、アート・コレクターとして暮らしている。ウィレット・ホルトハイセン夫人こと、Louisa Holthuysen(ルイザ・ホルトハイセン)も裕福な石炭・ガラス業者の一人娘として、やはり、文化的な環境で育つ。1855年に彼女の父親がこの屋敷を購入して、その後両親が亡くなるので、彼女がここを相続し、アブラハムと結婚する。
夫妻は、屋敷を流行のフランス様式に改装し、アートやアンティークの収集、旅行、観劇やオペラ等々、当時の「Good life」を満喫している。
実際には、ここの内装は20世紀後半の博物館時代に、その当時の「モダンな展示」な概念に沿って全面的にシンプルに改装されてしまっていた。なので、完璧には夫妻の暮らした状態が保存されているのではないそう。現在は、より本来あった状態に戻すべく、調査・改修が続けられているのだとか。
Men's Parlour(紳士方の応接室)と呼ばれる部屋。
Parlour(パーラー)というのは、正式にお客さんを迎える部屋。
前回の標本箱で出てきたDrawing room(ドローイングルーム)は、
もっとくだけた「居間」という感じ。
ここで、アブラハムがコレクター仲間にレクチャーを催したり、
新たにコレクションに加えられた作品を展覧する部屋として使われていた。
現在展示の絵画の一部は、実際に夫妻のコレクションだったものだが、
インテリアは当時のイメージで仮に、コーディネートされたものなのだとか。
当時、この部屋はグリーンに彩られていたことが記録されており、
調査を待って、その状態に順次再び修復される予定。
ここの絵画コレクションには犬・猫のペットを描いたものも多い。
ルイザ夫人が一人っ子だったため、幼いときから犬が友達だったそうで、
旅行の際にも犬達も同伴だった。
この博物館、夫妻がアートコレクターだった背景を踏襲して、現在でも現代アーティストの作品を折々コレクションに加えていっているそう。件のPおじさんにも、90年代にこの博物館から、この屋敷の一部屋をテーマにして、箱アートを制作する依頼が入った。
当時、もっとシンプルな18世紀風パネリングで覆われていたこの部屋をモデルにして制作に取り掛かったら、この部屋自体が重い19世紀様式の青壁紙と金フレームの部屋に改装されてしまった。
このコテコテ19世紀様式は、Pおじの美意識にとても反する(私は19世紀コテコテ好きだけど・・・笑)、で、どうしても製作中の箱を改装に合わせて変更する気になれない。
そこで、ひりだしたPおじらしいひねくれた解決策が、作品の部屋のシンプルなパネリングの角が一部はがされて、この濃い青の壁紙が下から見えている、そこに、ミニチュアのスカフォルディング(足場)も付け足されて、「ウィレット・ホルトハイセン博物館の改装中の部屋」ということにしたのだとか。
現在もこの博物館のどこかに、Pおじの作品も保管されいて、なにかテーマが合えば、展示されている可能性もアリ、なのだとか。
この部屋自体、上にも書いたように、夫妻の生活していた時には「緑の部屋」だったという記録が出てきたようで、この部屋も再び改装を待っている状態。
それにしても・・・オランダの博物館(ここは現在アムステルダム博物館の傘下に併合されたとか)予算持ってるのだなぁ・・・と、ちょっと感心。
ダイニング・ルームは小物が多いので、中には入れず、ガラス越しに拝見。
この部屋、他の部屋に比べて天井が低いのだが、それは、
この部屋の天井と上階の間に倉庫スペースが採られていて、
余分のダイニングセットや、陶磁器のコレクションが収納されていたからだそう。
24人用全275ピースのマイセン焼テーブルセットから、
6人用のセッティングで展示されている。
壁際のディティール。
話は、下階に飛んで、そのダイニングルームを支えるキッチンの様子。
これはキャビネットの中で、使用人チーム用(?)をイメージした、
カジュアルなカントリー・スタイルのセットが収められている。
この日スーパーワイド・レンズを持ってなくて、キッチン撮りそこなった。
なので、以下の全体像は博物館のサイトから借り物。
photo by Museum Willet-Holthuysen
キッチンは使用人チームの仕事場であり、生活の場。
この屋敷に、結婚するまで同居していたルイザ夫人の友人女性の他に、
夫人付きメイド、その他全般用メイド、コック(彼はとりわけ地位・給与が高い)、
フットマン(従僕)、コーチマン(車夫)など、
少なくとも5-6人のチームで、夫妻の華やかな生活を支えていた。
photo by Museum Willet-Holthuysen @Flickr
現在のキッチンは、18世紀後半の他のアムステルダムの屋敷から移築されたもの。
この屋敷のオリジナルの部分は、タイルのみだそう。
夫妻の時代には、前回のファン・ローンにあったような、
当時ハイテクの多機能大型オーヴンが導入されていたはず。
壁のタイルの鳥かごが可愛い^^。
キッチンから庭に出る廊下部に掛けられた、夫妻のポートレート。
美しいフランス式庭園の庭にも出れるはずなんだけれど、雪と寒さで断念。
再び借り物写真。
photo by Museum Willet-Holthuysen @Flickr
その庭を見渡すガーデン・ルーム。
この部屋も後年の安易なメンテナンスで白っぽく塗りつぶされてしまっているけれども、
オリジナルの淡いグリーンのフレームワークに、空を描いたトロンプイユ天井画が修復予定。
椅子やカーテンも、オリジナルに近い花と鳥のモチーフに置き換えられる。
椅子のディティール。
ガーデンルームから廊下側を見たところ。
この廊下も真っ白に塗りこめられていたところから、壁画が修復されていった。
Women's Salon(ご婦人方のサロン)と呼ばれるこの部屋は、ホールを隔てて、
最初の青いMen's Parlour(紳士方の応接室)の反対側。
ここはルイザ夫人の応接室的なる部屋。
ファブリックを保護するために遮光されているところに、
冬の曇り日だったので、この部屋とにかく暗い。
手持ち撮影が難しくて(夜景より難しいって・・・どうよ)また借りてきた。
photo by Museum Willet-Holthuysen
夫のアブラハム同様、もしかしたら、それ以上の資産を自由に使える立場のルイザ夫人。
夫と全く対等の関係なのが、彼女自身の応接室を持っていることから推測できる。
これ、女性の理想ですね(笑)。
photo by viewonretail.blogspot.com
ここも、全面的に大修復予定中だそう。
ボールルームのディティール。
1865年に夫妻によって、二部屋続きの大社交室に改装された。
photo by Museum Willet-Holthuysen
実はこの2室でコンテンポラリー・アート(と、思われる)
椅子を使ったインスタレーションが展示中だった。
部屋の写真を撮りたいのに、超迷惑(コンテ大嫌い・・・笑)。
夫妻の寝室。
これももともとは現在コレクション展示室になっている、
隣の部屋にあって、この部屋自体は図書室だった。
ルイ16世様式のベッドも「このようなものだったはず」として、導入されたもの。
4ポスター(4柱式)ベッド・・・、に見えるけれど、実際は6ポスターで、
ベッドはダブルではなく、ツイン。
コレクションルームは、当時は「アンティーク(骨董)室」と呼ばれていて、
アブラハムが、親しいコレクター・鑑定家仲間に、
小型で高価なコレクション類を展覧するための部屋。
この部屋は他の部屋とは全く趣を変えて、
オランダ・ルネッサンス様式にデザインされている。
2012年の秋に修復改装を完成させたばかり。
カーペットと、壁や椅子のファブリックが、19世紀の頃に忠実な物に復旧された。
ステンドグラスと、雪の庭。
この階の階段ランディングの彫像。
博物館コレクションの展示室から、19世紀にKaspar Karsenの描いた、この屋敷の外観。
Le Vesinetの別荘・コレクション室のウィレット氏
Coen Metzelaar 1880年
Cabinet of Curiosities(キャビネット・オブ・キュリオシティーズ)
Johan Georg Hainz 1666年頃。
猫のいる室内 Louise-Eugeen Lambert 19世紀後半。
これはあきらかにルイザ夫人のコレクション^^。
階段の下階。
最後は博物館入り口。
ここのサイトはヴィジュアル・ツアーのページがあって<このページ>、
いながらにしてお屋敷拝見できる。
残念ながら解説やフィルムはオランダ語のみだけれど・・・。
Museum Willet-Holthuysen
(ウィレット・ホルトハイセン博物館)
Herengracht 605
開館:月~金10:00am~5:00pm、週末と祭日11:00am~5:00pm
閉館:女王(国王)誕生日:4月30日(2013年)、4月27日(2014年以降)
(今年の4月で現ベアトリクス女王の引退が決定したので、来年から
新ウィレム=アレクサンダー国王の誕生日を新祭日とすることになった様。)
クリスマス:12月25日、新年:1月1日。
Remembrance Day(終戦記念日)5月4日 2:00pm閉館。
大人€8、6-18歳€4、6歳以下無料。
Stadspas, I amsterdam Card, I amsterdam Congress Card,
Vereniging Rembrandt, ICOM, Museumkaart, holland Pass voucherで、無料。
Holland Pass, CJP, Cultuurkaart, ISIC, ITIC, IYTCで、€6、
オーディオ・ツアー・レンタル €3
地図:
View Larger Map
Labels: 場所
<< Home