Thursday, 21 February 2013

Van Loon Museum(ファン・ローン博物館)

今回はまともに写真中心でVan Loonミュージアム(あぁ、またこれを「ファン・ローン」と読んでカナ表記することはググってみて、初めて知った。「ヴァン・ルーン」と英語読みで一生押し通すところだった・・・。)

ここは、1672年に建造されたこの邸宅は最初、レンブラントの弟子の画家、Ferdinand Bolの家だった。
博物館名のファン・ローンは、ここを1884年以降所有していたファン・ローン家に由来する。
この一族は17世紀のオランダ東インド会社設立メンバーの、Willem van Loon(ウィレム・ファン・ローン)の子孫の富裕市民で、19世紀には貴族階級に列して、この屋敷に住んだThora van Loon-Egidiusは、19世紀末から20世紀中までオランダ女王として君臨した、Wilhelmina(ウィルヘルミナ)女王付きの女官を務めていた。そのような由来から、17世紀のオランダ黄金時代の肖像画も多数所有されている。
インテリア自体は、18世紀の改装の状態が保たれていて、基本的にロココ様式。

イギリスだとこういうタイプのお屋敷は「ナショナル・トラスト」の傘下に吸収されることが多いけれど、ナショナル・トラストのないアムステルダムでは、この規模の「小さな博物館」がいくつか存在している。
その中でも、この博物館は「開放度」が高くて、いくつかの部屋は、中を自由に歩き回って見てまわれる。椅子にはロープが張ってあって、座るな、ということなんだけれど、それ以外はまるで知人の家の「お宅拝見」状態。オランダのミュージアム全体に「常設展はストロボなしの撮影OK」のポリシーといい、このごちゃごちゃいわないオープンさが、私のオランダ贔屓の所以かもしれない。(隣なのに、全然キャラが違うのが、ベルギー。Bruges/ブリュージュの街は二度と行かん・・・笑)。
閑話休題、イメージ行きます。


Museum Van Loon
Blue Drawing Room(青のドローイングルーム=居間)
Drawing room の語源はWithdrawing room(引きあげる部屋)で、
17世紀上流階級で、食後「引き上げる」部屋という意味合いで使われ始めた言葉。
ダイニングルームやパーラーが正式の「社交の場」だとしたら、
食後家族と親しい友人などで「まったり」するのがドローイングルーム。
転じて、現在の「居間」のようなもの、となった。

Museum Van Loon
この部屋でお見事なのが、ドアの上のスタッコ(漆喰)レリーフ。
ロココ様式の、愛らしい天使。

Museum Van Loon
階段ホールを挟んで向こうは、ダイニングルーム。

Museum Van Loon
ダイニングルームは全体に、黄色でコーディネートされている。

Museum Van Loon
木製地のままのシャンデリア。
現代人の目には、このままでステキ度高いのだけれど、
19世紀には金箔貼りだったのではないのかな・・・と、これは想像。

Museum Van Loon
ダイニング入り口側のキャビネットの中に収まってていた、
マイセン焼のおボンボン達のパーティー。

Museum Van Loon
階段ホール。

Museum Van Loon
下の地階には、キッチン。

Museum Van Loon
19世紀には最新ハイテクだっただろう、大型の石炭オーヴン。
で、オランダのキッチンではおなじみの、デルフト焼タイル。

Museum Van Loon
この日はいいお天気で、日差しが眩しい。

Museum Van Loon
グランドフロアの入り口階段ホール奥の、ガーデン・ルーム。

Museum Van Loon
ここの、甘い爽やかな色合いは、いかにもロココ様式。

Museum Van Loon
ヘッジで区画したフランス式(幾何学式)の庭。
その奥に見えるネオ・クラシカル様式の建物はコーチ・ハウス(馬車庫)で、
裏の通りに面している。
地階のキッチン横のクローク・ルームの出入り口から、庭に出ることができる。
数年前ここに来た時には、ここで飼われている(?)愛想ものの猫がいて、
肩から頭によじ登って降りてくれなかったことがあった。
いまだに庭の出入り口には「猫を中に入れないで。」の注意書きああるけど、
今回はこの雪のせいか、お目にかからなかった。

Museum Van Loon
日本語式の2階にあたる、赤のドローイングルーム。

Museum Van Loon
の、見事なシャンデリア。

Museum Van Loon
ガラスキャビネットの中の、ミニチュア・ポートレート。

Museum Van Loon
同じ2階のフロアのDrakensteyn Room(ダラケンスティン・ルーム)。

Museum Van Loon
この部屋の「見物」は、この手描き装飾パネルで、Jurriaan Andriessen (1742-1819)の作。
オランダ18世紀には部屋のパネリングに、風景画を描かせることがとても「トレンディ」だった。
このパネルを描いたAndriessenは中でも、人気の画家。
これらのパネルは、もともとこの部屋にあったものではなくて、
ウィルヘルミナ女王が戴冠前に住んでいたダラケンスティン城から、
Thoraと女王との関連性から、1970年代に博物館兼住居としてこの屋敷の一部を公開していた、
ファン・ローン家の当代Maurits van Loon博士が取得したもの。
Drakensteyn Roomと呼ばれるのも、このパネルに由来してのこと。
2009年に修復されて、現在に至る。
(この辺の話は<このページ>に英文で。)

Museum Van Loon
その先のベッドルーム。

Museum Van Loon
この「コテコテ」エキゾティックなChintz(チンツ)プリントと、
重厚なチーク系の家具は、19世紀のテイストが多分に入っているような。

Museum Van Loon
マスター・ベッドルームはキャノピー(天蓋)付きで迫力。

Museum Van Loon
その隣のこれは、子供部屋。

Museum Van Loon
最上階の階段部。
手すりの見事なbalustrade(バラストレード、又はバラスター)が、
アールヌーヴォー期のもののようだけれど・・・ウラはとってない。

Museum Van Loon
階段を降りて、入り口ホール側をみたところ。
ここにも17世紀のご先祖の肖像が。

Museum Van Loon
入り口ホールのロココ様式のミラーに映りこむのは、
17世紀のWillem van Loonの肖像(その横は奥さん・・・かな?)
その下には家系図が。

Museum Van Loon
博物館正面。


Van Loon Museum(ファン・ローン博物館)
Keizersgracht 672, 1017 ET Amsterdam, Netherlands

開館:火曜日以外毎日11:00am~5:00pm
他、女王(国王)誕生日:4月30日(2013年)、4月27日(2014年以降)
(今年の4月で現ベアトリクス女王の引退が決定したので、来年から
新ウィレム=アレクサンダー国王の誕生日を新祭日とすることになった様。)
クリスマス:12月25日、新年:1月1日も閉館。

大人€8、学生€6、10人以上のグループ各人€6 6-18歳€4、6歳以下無料 
Museumkaart, Stadspas, IAmsterdam City Card, ICOM 無料
特別展会期中は、€2追加料金。

地図:

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