Thursday 7 March 2013

Our Lord in the Attic(屋根裏教会)博物館

オランダ語だとOns'Lieve Heer op Solder(カナ表記はあきらめた・・・)、英語にするとOur Lord in the Atticで、直訳すると「屋根裏におわす我らが主」の教会・・・ということになる。
Museum Amstelkring(アムステルリンク博物館=アムステル環状運河博物館)という呼び方もされている。
アムステルダム旧市街のOude Kerk(Old Church)から1ブロック先の、運河沿いのごく普通の家の上階を3軒分ぶち抜いて、17世紀に作られた教会が、現在は博物館として公開されている。

屋根裏に秘密のチャペル・・・というと、なにやら件の「Pおじ」のシャトーみたいで、イメージを検索してみたら、これがなかなかフォトジェニック。そこで、行ってみることにした。

Museum Ons' Lieve Heer op SolderMuseum Ons' Lieve Heer op Solder
入り口を入るとまずはこんな風な、シンプルな階段を上がる。
どんどん上がる。


Museum Ons' Lieve Heer op Solder
で、先にネタ明かしをしてしまうと、こんなチャペルがその上階に現れる。

そこで、ここの建造された背景の話を。
この建物自体が建造されたのは、1630年でその段階では、ごく普通のタウンハウス(町屋)だった。
当時はオランダは、カトリックを押し付けていた、宗主国スペイン・ハプスバーグ家の支配に対抗して、1568年から1648年にかけての八十年戦争の最中で、プロテスタント富裕市民階級が中心となるオランダ諸都市は、次々にプロテスタント外禁止条例を施行していた。
アムステルダムでは、1578年に施行されて、本来カトリック主教会だったOude Kerk(Old Church)も、プロテスタントの教会に転用される。
しかし、融通の利くオランダ人キャラはこの頃から健在で、禁止条例といっても、裕福な市民は「非公式」に礼拝儀式を執り行う特権を「買う」ことができるという、かなり裏も表もある条例だったそう。(この話はWiki-Dutch Golden AgeのReligionのセクションより)
建物の話に戻って、カトリックの富裕貿易商Jan Hartman(ヤン・ハルトマン)が、1661年に運河沿いのこの建物と、裏に続く2軒の家を購入。倉庫兼商店兼応接室を下の階に設けて、上3階は壁をぶち抜いてこのチャペルを建造。カトリック信徒が、礼拝儀式を執り行えるスペースを提供した。
その後の歴史はもう大混乱で・・・私の理解の域を完全に超えているけれど、とにかく・・・1795年にフランス革命軍がオランダを占領し、バタヴィア共和国が成立した段階で、このプロテスタント外禁止条例は無効となった。19世紀後半の、1887年にはアムス中央駅前のChurch of St Nicholas(聖ニコラス教会)が、カトリック主教会として建造されたので、この屋根裏教会の役目は終わった。
一時は取り壊しも検討されたそうだが、カトリック信者のグループが建物を買い取り、1888年の4月に博物館としてオープンした。アムステルダム最古の博物館だそう。

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
最初の2枚の写真の階段を上がると、教会の一番下の階に出てくる。

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
この階からAlter(主祭壇)を見たところ。
上階のギャラリー部の間に突っ張り棒が入っているのは、
この教会が建造された時からのもので、大きな吹き抜けに対して
強度をもたせるため。

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
Alter側からのヴュー。
大きく取られている窓が、カナルに面した正面側。
もうひとつ上階にパイプオルガンが設置されている。

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
パイプオルガン下の装飾彫刻。

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
間近に見るAlterは、 Dutch classicist style(オランダ古典様式)と、よばれるもの。


Museum Ons' Lieve Heer op Solder
上の階に上がった時に、そのピラー(柱)装飾をしげしげ観察。
あ、レンブラント・ハウスの一階Anteroom(控え室)の暖炉と同じ、
木彫にトロンプイユで描かれた、フェイク大理石なことを発見。
この上階に本物の大理石でこれを作ったら・・・床抜けるわな・・・。

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
Alterpiece(主祭壇画)は「キリストの洗礼」Jacob de Wit 1716年。
と、いうことで年代は50年ぐらい後。
すると、この祭壇自体は1663年の教会オープン時には、
この形で設置されていなかったのかも知れないな。

Museum Ons' Lieve Heer op SolderMuseum Ons' Lieve Heer op Solder
天使達。

Museum Ons' Lieve Heer op SolderMuseum Ons' Lieve Heer op Solder
階段とパイプオルガン。

Museum Ons' Lieve Heer op SolderMuseum Ons' Lieve Heer op Solder
vestment(法衣)の収納スペース。

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
Lady Chapelというのは、聖母マリアに捧げられたチャペル、

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
その聖母子像。

Museum Ons' Lieve Heer op SolderMuseum Ons' Lieve Heer op Solder
1740年頃に設置された、Confessional(告解室)と、そのライト。

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
ここから階段は、一番奥の方の家側に降りていく。

Museum Ons' Lieve Heer op SolderMuseum Ons' Lieve Heer op Solder
どんどん降りていく。

Museum Ons' Lieve Heer op SolderMuseum Ons' Lieve Heer op Solder
すると、裏のほうの出入り口に出る。
しかし、もともとは、ここが唯一のの教会への出入り口。
カナルに面した表通りでの、信者の出入りは禁じられていたので、この一番奥のドアが使われた。
それでもグループで歩いてはいけない、
持参の祈祷書・ロザリオは人目に付いてはいけない・・・等々、
いろいろと細かく制約は課されていたそう。
その後18世紀に、最初に上ってきた階段が導入され、真ん中の家のドアも使われるようになった。
それでも、まだ表通りからのドアは使うことができなかった。


Museum Ons' Lieve Heer op Solder
この家の一階は1952年まで、博物館関係者が住んでいた。
その後、この17世紀様式のキッチンに改装されたのだそう。

Museum Ons' Lieve Heer op Solder
奥の部屋の小さな押入れは、実はトイレ。

Museum Ons' Lieve Heer op SolderMuseum Ons' Lieve Heer op Solder
タイルのパターンとそのコラージュ。


このミュージアム現在も延々改装中で、
Hartman(ハルトマン)家の応接室とchaplain(チャペル付き牧師)の部屋は、
公開されていなかったのが、ちょっと残念。

建築に興味のある人には面白い博物館かもしれない。


Our Lord in the Attic(屋根裏教会)博物館
Oude Zijde Voorburgwal 40, Amsterdam, Netherlands

開館:月~土10.00 - 17.00 、日・祭日13.00 - 17.00
女王(国王)誕生日:4月30日(2013年)、4月27日(2014年以降)と、
新年:1月1日は休館。

入場料:大人€8 子供€4
その他細かいディスカウント等は英文で<このページ

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