Amusterdam Museum (アムステルダム博物館)
今回はAmusterdam Museum(アムステルダム博物館)のイメージ。
ここは、アムステルダムの街の歴史・文化を総合的に展示する博物館で、2011年までAmsterdam Historic Museum(アムステルダム歴史博物館)と呼ばれていた。
賑やかなショッピング街のKalverstraat(カルファーストラート)と、トラムの走るNieuwezijds Voorburgwal通りの両方に面している。もともと博物館としては Nieuwmarkt square(ニューマークト・スクエア)にあるWaag(計量所)内に1926年にOpenしたもので、1975年に現在の建物に移行された。
現在の建物自体は、元修道院の土地に、1580年に孤児院として建造され、1960年まで実際に孤児院として使用されていたのだとか。
この後Haarlem(ハールレム)で訪れたFrans Hals Museumは旧養老院の建物だったし、歴史的に福祉システムの整った地域だったのだと、聞いたことがある。オランダは都市国家だったので、小回りが利いたのかも・・・的な歴史は、この博物館をじっくり見て周ると、理解できるのだろう。
けれど・・・、一日3件ミュージアムのハシゴで撮影の最後だったので、目に留まったものをチラチラ見るだけ、ざーっと流し見した状態。毎度のことながら、あまり説明文は読んでいないし、ましてやオーディオ・ガイドなんて集中力不可能。ヴィジュアル専門です(笑)。
ショッピング街Kalverstraat(カルファーストラート)側からだと、
このパッセージを抜け、中庭に面した回廊を抜けたところが入り口。
入り口の上には、アムステルダム市の紋章と、
その下には、この孤児院のプラーク(飾りパネル)。
プラークのクローズアップ。
左が赤、右が黒のジャケットが制服だった。このデザイン、とてもルネッサンス的なる大胆さ・・・。
Photo by FaceMePLS@Flickr
入り口の右側もパッセージがあって、ここは一応博物館の「内部」なんだけれど、
公共のパッセージでもあって、博物館の開館時間中は(入場料を払っていなくても)
通り抜けることができる。
両サイドの建物は博物館で、壁に窓が切られていて、そこから上階部の絵画を
正面から見ることができるようになっている(解説も、そこに付いている)。
オランダの博物館、こういった構成・デザインが絶妙に上手い。
Photo by tiexano@Flickr
またもや全体像無視の人なので、借り物写真で、博物館の入り口はこんな風。
デザイン上手い。しかし、収蔵物の内容の質とバラェティーはいまひとつ。
歴史資料としての絵画が案外と面白かったので、絵画を中心に撮っていた。
工芸品の中で、目に付いたのはこれ。
17世紀初頭のグラス・ホルダー。実用ではなくて、儀式・装飾用のもの。
乗っているグラスは、Rummer(ラマー又は、Roemer=ロェマー)と呼ばれるタイプのワイングラスで、
ドイツやオランダで15~17世紀中心に作られ、ヨーロッパ中に輸出されていた。
リ・エンアクトメントのテーブルでも時々見かけるし、ウチにもリプロがある。
なので、(当時はもちろん高価なものだったのだろうけれど)なんとなく親しみ易いデザイン。
それがいきなりこのゴージャスな、銀製金張りのホールダーに乗っかっていて、
そのギャップが可笑しい。
聖書・・・なのかな?
旧約聖書に出てくるかなり荒唐無稽なソロモンの宮殿を、
あたかも見てきたかのように図解している・・・。
生贄を捧げている・・・のが、どう見ても「バーベキュー焦げてるよー!!」。
De Dam(ダム), Jacob van der Ulft1653年
この絵では実際にはこんな風に建てられることのなかった、
Nieuwe Kerk(新教会)の尖塔が描かれている。
17世紀には握手の習慣はないので、帽子を取って挨拶。
photo by Amsterdam Museum Collection
Dam Square with the New Town Hall under Construction(ダム広場と建造中の新タウンホール)
Johannes Lingelbach 1656年 <拡大図>
これは上の絵画よりもっと大きくて面白い。
ボタンを押すと色々解説が出てくる仕組みで展示されていたので、人だかりが絶えず、撮影はできずじまい。でもちゃんと、資料が出てきた。
この絵画から様々な、当時の様子を「読み解く」ことができる。たとえば・・・、
真ん中の赤いマントの男性は、乗馬ブーツを緩めたところで、馬での長旅の後ここに着いたことがわかる。そして、後ろで運ばせているのは彼の荷物なのだろう。
その右側、ブルーのドレスの女性の家族。ここで、「握手の代わりに帽子を取って挨拶」の、話が出てきた。(外国人)フランス人の家族(だったと思う)。
そのまた右側には、国際都市アムステルダムらしく、トルコ商人達の姿が見える。
中心の赤マントの男性の左側でも、帽子を取って、思い切り腰を下げて挨拶している。
画面左下の赤い上着の女性は、典型的な当時の田舎の女性のスタイルで、コイフ(被り物)を被っている。
その女性のちょうど右上を歩いているのは、ここの孤児院の男の子。ただし、画家は赤黒の左右を間違えて描いているが・・・。
画面の左端で子供を抱いて歩いている一家は、アムステルダム新興ブルジョア層の典型。
等々・・・これは解説のほんの一部。私がかろうじてボタンにたどりついて押してみることができた分。
The courtyard of the Stock Exchange(証券取引所の中庭), Job Adriaensz. Berckheyde, 1670年
黒ずくめに白襟が当時の証券マンのコスチューム。
ここでも、中庭の真ん中にトルコのディーラー、右端にロシアのディーラーがいる。
Lambert Twent, postmaster of Delft, and his sons,
(デルフトのランバート・トウェントと息子たち) Martin de la Court 1695年
これはポスト・マスター(郵便屋さん)の親子。
当時郵便は認可制私営で、地位も収益もいい職業だったのだとか。
Jacob Bierens with his family(ヤコブ・ビエレンスと家族), Hendrick Sorgh 1663年
17世紀の中庭に続くキッチンのインテリアに興味。
野菜や魚は実際の状況というよりは、「信仰」や「豊かさ」の象徴で、
いきなり息子がキッチンで、チェロを練習している(?)のも「文化的家族」の象徴だそう。
The World Stage (after Jan Steen)(世界情勢・ヤン・スティーンからの模写)
Charles van Beveren, 19世紀
いろいろなことが、ごちゃごちゃおきている飲み屋の一角・・・なのだけど、
撮りたかったのは、このディティール・・・。
うふふ。
Portrait of Simon van Alteren, Dirck Dircksz. Santvoort1641年頃
なんだか強そうな女の子だな・・・と思ったら、男の子。
そうだった、ヨーロッパでは20世紀に入るまで、男の子も4-8歳になって、
ジョッパーズやズボンを穿くようになるまで、
女の子と同じスタイルのドレスを着せられていたのだった。
オムツを替えやすい、トイレの世話がしやすいから、というのが理由のよう。
ポートレートでは持っているおもちゃで、女の子か男の子か識別される。
もっと、イカツイ子もいた(笑)。この絵の詳細は不明。
Post office on the harbour - Paalhuis, Jan Beerstraaten 1665年頃。
あ、やっぱりオランダは寒いんだ、と実感するのは、冬景色の絵の多いこと。これもそのひとつ。
郵便局・・・なんだけど、そもそもは通関所というか、港の係船料支払所。
表のボードに船から届いた手紙のリストや、定期船のスケージュールが貼りだされる。
送り出す手紙もここに託される。
The Paalhuis and the Nieuwe Brug in winter, Jan Abrahamsz Beerstraten 1663年
これも冬の港郵便局。
運河が凍ったら、交通の便はよさそうだけど・・・(笑)。
オランダの古地図と、ダッチ・ゲイブルのファサード。
孤児院関係者の部屋が保存されている。
Felix Mertis Buildingの音楽室、のディティール。
半立体のミニチュアが面白かったので。全体像は以下に。
photo by Amsterdam Museum Collection
18世紀末のコンサート・ホールの様子。
時代はいきなり19世紀後半から20世紀に飛ぶのだけれど、
当時の低所得者用に建造された住宅、いわば、公営住宅。
ロンドンだとPeabody Trustのようなもの。
Peabodyもそうだけれど、今となっては歴史建造物で、価値が出ている。
Cafe 't Mandje(カフェ・トゥマンチ)
1927年にOpenしたカフェ(ってのは、バー/パブなんだけど)のレプリカが保存されている。
これはBet van Beeren(ベット・ファン・ビーレン)というゲイの女性
(ってことはレズビアンなんだけど)がオーナーで、史上初のゲイ・カフェ。
そのウインドウ。
1967年にベットが亡くなってからも、妹が1982年まで経営を続け、2007年のにその妹も亡くなるが、
2008年以降姪のDiana(ダイアナ)が再開させ、現在も経営中だそう。<Webはこのページ>
アムステルダムならではの歴史的価値。
もし、ロンドンにあったなら・・・ナショナル・トラストに入れてくれるだろうか?
イギリスのことだから、きっと入れてくれるか・・・(笑)。
最後のおまけ。
トイレの鏡。
アムステルダムって・・・はい、コンテンポラリー・デザインが優れてるんですよね、はいはい。
といわせたくてたまらんような、これ見よがしなデザイン多し。
(ロンドンもあんまりよそのこといえないけど。)
トイレも、スリークな合わせ鏡。
Amusterdam Museum (アムステルダム博物館)
入り口:Kalverstraat 92 と Sint Luciënsteeg 27
開館:毎日10:00am~5:00pm
閉館:女王(国王)誕生日:4月30日(2013年)、4月27日(2014年以降)と、クリスマス:12月25日
12月5日、24日、31日は4時閉館。
大人€10、5-18歳€5、5歳以下無料。
その他のディスカウント詳細は英文で<このページ>
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