Wednesday, 7 December 2011

British Museum (大英博物館)のジュエリー -4-

今回は、前回のカメオの標本箱に入れるつもりが・・・、ちょっと時間切れで入れられなかった、インタリオのジュエリーなど。
カメオの一部としてとらえられることもあれば、インタリオとして、カメオとは別扱いにされることもある。
ようは、カメオとは反対に、へっこんだ様に彫る表現のレリーフ。
そもそも、印章として作られたのが起源で、つまり、陰彫りに紋章を粘土板に押すと、レリーフ模様が浮き上がる・・・ということ。
こんな風に・・・
なので、紀元前3世紀のギリシャに端を発するカメオより、歴史的起源はずっと古くて、紀元前14世紀頃のインダス文明や、メソポタミア文明にまでさかのぼってしまう。
ローマ時代以降は、「粘土板」を記録に使うということは、もはやないのだが、今度は封蝋に押す印として使われるようになる。
こういった、「実用」のためのインタリオの他に、もちろん純粋に「装飾」として使われるものの方が大半なのだけれど・・・。

Emma, Lady hamilton - cast glass intagrio, after a gem by Rega, English, late-18c
イギリス製、18世後半、キャスト・ガラス・インタリオ。
これは、型流しガラスのものなので、けして高価なものではないのだが、
当時人気のあった、エマ・ハミルトンの肖像を描いたものなので、多分、量産されたものなのだと思う。
レディ・ハミルトンこと、エマ・ハミルトンは、トラファルガー海戦でナポレオン艦隊を撃退した、
イギリスのヒーロー、ネルソン提督の愛人として、有名だった女性。
イタリアのメダル製作者Filippo Regaの描いたプローファイルから採られたイメージ。
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Intaglio seal
イギリス製、1771-1780頃のカーネリアン・インタリオ。
フォブ・セッティングは19-20世紀のもの。
フォブ(Fob)というのは、懐中時計のチェーンの先につけた飾り(チェーン自体をさすこともある)。
モチーフはヘラクレスと死にゆくヒッポリュテー。
(アマゾン族の女王で、ヘラクレスとの戦いに敗れた)
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Intaglio-set jewels, Italian, about 1870
おそらくイタリア製、1860-1870年ごろのジャスパー・インタリオ。
ジュエリーセッティングは、イギリス製。
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Seated Hercules - citrine intaglio, befor 1771
イギリス製、1771年以前。ジュエリーセッティングは19~20世紀。
モチーフは、座るヘラクレス。
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Necklace
おそらくイタリア製、18世紀後半のカメオとインタリオ。
ジュエリーセッティングはおそらくイギリス製で、1905年ごろ。
サードニックス、ジャスパーやカーネリアン。
これまた、古い荒れた画像で失礼・・・(小さくしてしまった)。
センターピースのみがカメオで、後の6つはインタリオ。
たぶん・・・このデータベース画像の方がましかも・・?<このページ
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Jewels set with 'sulphides' - Medusa-, English, mid-19c
イギリス製 1840年ごろ。ガラス・サルファイド(Sulphides)・カメオ。

これは、一見したところ、ガラスの裏から彫りこんであるように見えるが、そうではなくてサルファイドと呼ばれる技法。
彫り込む代わりに、微粒白陶土と炭酸カリウムケイ酸塩を混ぜて作られた、
小さなレリーフを、ガラス成型の段階で、ガラスの裏に挿入する。
クリスタロ・セラミ(crystallo ceramie)とも呼ばれる。
18世紀にボヘミアで発明された技法だが、フランスに伝わり、1819年にロンドンのガラス製造業者
Apsley Pellatt(アプスレー・ぺラート)が、パテントをと取ってから、イギリスで普及するようになった。
フランスでは、同様の技法をバカラ(Baccarat)が取り入れている。

このモチーフはメデューサ。ガラス裏からパープルのシルク生地が貼り付けられている。
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Jewels set with 'sulphides', English, mid-19c
イギリス製、1840年ごろ。ガラス・サルファイド・カメオ。
これも前述と同じ、サルファイド。
モチーフはキューピッドと蝶(プシケー)を教えるアポロだそうで、18世紀のインタリオから採られている。
このように、サルファイドは「廉価版」インタリオだったのではないかな・・・と思うのだが。
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Jewels set with 'sulphides', English, mid-19c
イギリス製、19世紀中頃、ガラス・サルファイド・カメオ。
これもサルファイド。データベース上に出てこなかったので、
モチーフなどのディティールは、よくわからないのだけれど・・・。
18世紀風のコスチュームの男性が、紋章を示している・・・ように見える。

すべて、British Museum (大英博物館)Room 47 収蔵。


British Museumのジュエリーの話は、まだまだあるのだけれど、また、折をみて・・・ということで、次回はKotomiジュエリー最近の作品のご紹介・・・というか、12月1週~2週目までに納品!!という、取引先の皆様の激しいご要望を、なんとか達成した成果の数々、Phew...。

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