ノルマンディーの町や村 -Bayeux (バイユー)と大聖堂 -1-
ペーターおじさんのシャトーに、5日間滞在したあと、Danaさんと私は、Bayeux(バイユー)の町に向かった。
バイユーとカタカナ表記では呼び習わされているが、バイヨーと、ヨーにアクセントを置いて発音するもののよう。
仏語の得意な配偶者氏に、しつこく訂正されたので、多分それであっているのだろう・・・。
ともあれ・・・、この町は歴史の授業で習ったかと思うが、「バイユーのタペストリー」で有名。
私たちの第一目的も、このタペストリーの現物を見ること。(上記Wikiリンクに、全編のイメージが載っている。)
私は11-12世紀のイギリス、プランタジュネット王朝(ノルマン王朝)の歴史好きで、イラストの得意なDanaさんは、ちょっとコミカルでもあるこのタペストリーの図案を「研究」するため。
朝早くに出発して、バイユーに着いたのは10時前。それでも、小さな駐車場は観光客の車で、すでに満杯。
シャトーで、時空を超越したような呑気な暮らし、つまり、敷地内すべてが駐車場状態---を楽しんだ後で、現世の駐車場取りあいに直面して、少しめげそうになる。
しかしまあ、もともとコサカシイことも苦手でない私たちとて、なんとか本当は駐車スペースでないかも・・・?なところに、無理やりパーキングしてよしとする。 このあたりですでに「田舎が恋しいよぅ」な気分になっている・・・。
そのパーキングスペースの横に小川が流れていて、水車が保存されている。
これがその、バイユー・タペストリー博物館の入り口。
こんな様な船で海峡を越えてきたらしい。
馬や戦闘装備を積んできているので、もう少し大型の船もあったのだろうけど。
この博物館は、首から提げた音声ガイドキットの説明にしたがって、展覧していく今時の展示方法。
音声を聞きながらでは、物がちゃんと見ることができない私は、キットを借りずに自分たちのスピードで見て回ることにした。
(それに、大体のストーリーは知っているし・・・。)
その上、不愉快なことに「写真禁止」。まあ、Wikiに載っているからいいのだが・・・。
Photo by Glenister 1936 @Flickr
ミュージアムが新装オープンする前は撮影可だったそうで、1996年撮影のタペストリーをFlickrで見つけた。
こんな感じで、なぜだか人を描くより馬を描く方が上手だったりする。
先の尖った、鼻プロテクターの下がったヘルメット、
逆しずく型の盾など、ノルマン特有のスタイルがよく表現されている。
上の裸の連中は何? こんな奇妙な人物・動物もフレームの上下にたくさん登場。
ほんとうは血なまぐさい戦闘シーンなのに、妙にコミカルですっとぼけた味わいになってしまうのが・・・
このタペストリーの特徴。
撮影・イラスト:noriko.stardust@Flickr
これはDanaさんヴァージョンの、愉快なタペストリー。
音声ガイドで見て回るのの、約2-3倍の時間をかけて、ゆっくりタペストリーを観察した後は、博物館を出てバイユー大聖堂を見る前に、早いお昼ご飯を食べる予定だった。
(この日のうちに次の海岸の町Trouvilleを見て、その隣町Deauvilleのホテルに泊まる予定なのだ。)
しかし、12時にならないとレストランはオープンしないという、またもや現世的問題に直面して・・・「あぁ、いつでもキッチンに行けば、何か食べるもののあったシャトーが恋しいよぅ」(笑)。
とにかく、選択の余地なしで、開いていた観光ガレット屋に入って、ノルマンディー名物ガレットを注文。
ガレットというのは、そば粉でできたクレープ。
クレープといえば、甘いものを想像しがちだが、
ガレットはセイヴリー(おかずもの)のメニューの方が多いように思う。
これは、りんごと、名前は忘れたが・・・なにやら臓物系のものを、
クリームで煮込んだ・・・ノルマンディー特産メニュー。
食べたら、意外と香ばしくて美味しかった。
大聖堂に向かう途中で見つけた看板。大工さんかな?
大聖堂の前を走る観光用の馬車。
裏手から見た大聖堂。
これも裏手から見たところ。13世紀ノルマン・初期ゴシック様式。
これが、正面。 建築の大半は、1220-40年の建造。
もともと12世紀に建造されたノルマン・ロマネスク様式の塔の上に、
13世紀にゴシック様式の尖塔と、一部装飾アーチを付け足したものだそう。
ロマネスク様式の丸いアーチと、ゴシック様式の尖ったアーチが入り混じっているのが解る。
これは入り口から見た、全体像。
ここでも、1階部の丸いノルマンアーチ、とその上の尖ったゴシックアーチが入り混じっている。
これが100年を隔てた、建築様式の違い。
最初に目に付くこのパルピットは、もっともっと後に付け足されたもの。
典型的なバロック様式(16世紀末~17世紀の様式)だけれども、
実際に作られたのは1786年で、地元の彫刻家Jean-Louise Manginによるもの。
その後ろのアーチのある壁面は、最初のロマネスク様式の部分で、
12世紀の石彫で飾られている。
同じく12世紀のコーナー・ピースと呼ばれる壁面彫刻で、
「バイユーの恋人たち」と呼ばれているもの。素朴で愛らしい。
これは、建物の側面に当たる部分に設けられる、チャペルのひとつに納めれれている、
Retable(リテーブル=祭壇の後ろに飾られるフレーム)。
17世紀初期のバロック様式。
詳細は知らないが、絵解きパズルなのだとか。
前回のSaires-la-Varrerie村の教会でも見かけた、子煩悩なSt Anthony of Padua。
いつでも、美青年に描かれている聖人さん。
この、素朴だけれど、エレガントな聖母子像は・・・13世紀?
と、思うのだけれど、詳細はガイドブックにも出ていなかった。
この日はいい天気で、見事に大聖堂に日差しが差し込んでいる。
この大聖堂、壁画などまだまだ見どころあり。写真もたっぷり残っているので、次回も続編。
とは、いうものの・・・日本の旅行雑誌の撮影仕事が数日入っていて、ちょっとタイトなスケジュールなので、多分更新は10日ごろの予定です。
Have lovely autumn days!!
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