Sunday, 4 December 2011

British Museum (大英博物館)のジュエリー -3-

あぁ、そういえばクリスマスも近いんだ・・・というのは、普段は納期は適当な取引先から、「12月の最悪でも、2週目までに、XXXとXXX納品して欲しい!!」という、デッドライン付きオーダーが複数入り始めることで気づく。
たいていは、よりによって手元にストックのないものが、ご希望のアイテム。解りました、即作れってーことなんですよね・・・というので、毎年ちょっとパニクる。
しかし、これだけは全く予想できないので、改善の仕様がない。なので、更新遅れてます・・・という、実はいいわけでした(笑)。

標本箱の方は、引き続きBritish Museum(大英博物館)のRoom47より、今回はカメオのジュエリー。

Helmeted warrior, Onyx cameo brooch, Rome about 1860
おそらくイタリア製、1826-1875年。オニキスに彫りを施したストーン・カメオ。
クレストの羽や、髪の毛のデリケートな表現と、立体的な彫りのコントラストが美しい。
19世紀カメオで最も評価の高いのは、下記のサウリーニ親子の作品なのだが、
私的には、流麗で装飾的なこの作品が、ここのカメオコレクションの中でも、一番のお気に入り。
<英文データベースはこのページ>

Cameo
イタリア、ローマ、Tommaso Saulini(トマソ・サウリーニ)工房、1860年ごろ製作と考えれれるシェル・カメオ。
ジュエリーセッティングは、ロンドン製で、1862年。
トマソ(父)、ルイジ(Luigi、息子)サウリーニ製作のカメオは、格調高いネオクラシック様式で高い評価を受けている。
ローマを、ミネルヴァ女神の姿になぞらえた、モチーフ。
正面に見える、ヘルメットの側面に、伝説のローマ創設者ロムルスとレムスが、
雌狼に養われるシーンが描かれている。
<英文データベースはこのページ>

Head of Antinous Vertumnus, onyx, about 1850
19世紀、イタリア、ジロメティ工房製作と思われる、オニキス・カメオ。
モチーフは、ハドリアヌス帝の愛人アントニウーを、バッカスになぞらえたもの。
1735年に、ローマ郊外のハドリアヌス帝のヴィラより出土した、レリーフから採られている。
<英文データベースはこのページ>

Head of Hercules, onyx cameo, Italian, late 18- early 19th
イタリア、Giuseppe Girometti(ジュゼッペ・ギロメティ)1780-1850年ごろ製作の、オニキス・カメオ。
ジュエリーセッティングは、イギリス製、1864年。
モチーフはヘラクレスのプロフィール。
カメオとパールのコンビネーションでも、甘さのない、かっちりしたネオクラシカル様式。
<英文データベースはこのページ>

Bust of a Red Indian girl with a diamond-set feather and necklace, onyx cameo encrusted with gems, Rome, about 1870
フランス製、1850年ごろ製作、オニキスカメオ。
通常のカメオとは逆に、黒い部分で、アメリカンインディアンの少女を描いている。
habillé(ハビエ: 仏語で「着ける、着せる」の意)と呼ばれる技法で、
少女の上に、ダイヤモンドの羽飾りと、ネックレスが装着されている。
<英文データベースはこのページ>


Onyx cameo, bust of Dante, about 1865, Italy
イタリア、ローマ、サウリーニ工房、1865年ごろ製作。
モチーフは、「神曲」を書いたダンテ・アリギエーリ。
1865年の、ダンテ生誕600年記念にあわせて作られたものと考えられている。
当時イタリアで著名なジュエリー・メーカー、カスティリアーニも、
国家統一に苦闘する祖国イタリアを、苦悩するダンテになぞらえて描いている。
<英文データベースはこのページ>

Cameo bracelet, Medusa, signed by T.Saulini, with Venus and Cupid, Rome, about 1860
イタリア、ローマ、トマソ・サウリーニ製作、1850年ごろ。オニキスカメオのブレスレット。
中央に描かれているのはメデューサ、左はヴィーナスで、右はハイメン。
このような古代遺跡の発掘物をイメージしたジュエリーのデザインは、
archaeological style(考古学的スタイル)とも呼ばれる。
19世紀頃から、本格的に古代ローマ、エジプト、ペルシャ等の発掘が進展し、
さまざまな古代のジュエリーがヨーロッパに紹介される。
ジュエリー・メーカー達もこの影響をうけて、「古代風」のデザインを製作し始めたのだ。
<英文データベースはこのページ>

Set of gold labradorite cameo jewellery, London, 1869-79
イギリス、ロンドン、Borgen & Co製作、1869-1879年ごろ。ラブラドライト石のカメオ。
これも上と同様の、アーキオロジカル・スタイルのジュエリーで、
このスタイルに特化していたBorgen & Coの製作。
このメーカーはもともと、コペンハーゲンのメーカーなのだが、
デンマーク出身のアレクサンドラ皇太子妃のバックアップで、ロンドン、ボンドストリートに進出していた。
ラブラドライトのカメオというのはとても珍しい例で、
オパール・カメオなどの珍しい石のカメオ加工で知られている、
ドイツ出身でロンドンで活動していた、Wilhelm Schmidtの作に記されている。
<英文データベースはこのページ>

Part of six cameo heads, Diana, Bacchus, Pollux
イタリア、19世紀製作の、シェルカメオ。
全体では6つ(正面に5つ、後ろのクラスプに1つ)のカメオが使われているネックレスの、正面3つ。
左から、ダイアナ、バッカス、ポルックス
(ゼウスが白鳥に化けて誘惑したレダから生まれた双子の片方、
双子の兄弟はカストルで、双子座はこの二人を徴している。)
<英文データベースはこのページ>

Detail - Festoon necklace with Wedgwood or Meissen  cameo, German, early mid 19th
ドイツ、または、スエーデン、または、フランス製、19世紀。
カメオ・・・というか、カメオ風のウエッジウッド陶器は著名なことと。
これは、そのまたコピーで、ウエッジウッド「風」セラミック・カメオを使ったジュエリー。
天使達が目隠しごっこをして遊んでいる。
<英文データベースはこのページ>

Festoon necklace with Wedgwood or Meissen  cameo, German, early mid 19th
その全体イメージ。

Part of Iron and steel necklace, German or French, 1820-30
おそらくフランス製、1820年ごろ。
これもまた「もどき」カメオで、鉄鋳物製。周りの繊細な唐草模様はスティール製。
19世紀初期に、工業生産品の一環として、鋳鉄に黒塗装加工したジュエリーが流行した時期がある。
ドイツのベルリンが中心だったため、Berlin Iron Jewellery(ベルリン・アイアン・ジュエリー)と呼ばれる。
これは、このカメオ風センターピースにそっくりなものが、
フランスのVeverの19世紀ジュエリー・リストに記載されているため、フランス製と製と考えられている。
<英文データベースはこのページ>

Iron and steel necklace, German or French, 1820-30
その全体イメージ。
次回は・・・今回一緒に入れてしまおうと思ったけれど、手に負えなくなってしまった、インタリオのジュエリー。
つまり、カメオが出っ張りレリーフだとしたら、へっこみレリーフ、のもの。

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