British Museum (大英博物館)のジュエリー -1-
標本箱ブログが、晩夏のノルマンディーから帰ってきたら、実はもうすぐ12月。
ロンドンは日増しに日差しが短くなっていって・・・、暗い・・・あまりに暗い。自然光写真家としては、この時期写真家引退しようかと思っている(ウソ、ウソ・・・笑)。
次は何を書こうかな・・・と、考えていて、Brits Musこと、大英博物館のジュエリーの話を、まだ書いていなかったことに思い至る・・・。
ロンドンでヨーロッパの歴史的なジュエリーを、手っ取り早く見て回るということなら、まずはV&Aのジュエリー室をおすすめしている。
展示量・質ともに、ヨーロッパのミュージアムでトップクラスだと思う。しかし、残念なことは、改装Openして以来写真撮影禁止。
そのかわり、詳細な画像入りデータベースが用意されている。<このページでサーチにキーワードを入れてみて>
サイトに登録すれば、画像をダウンロードすることもできる。
(無料だけれど、一度に30イメージ(画像)までしか、ダウンロードできない。何度にも分けての、ダウンロードは可能。)
では、博物館ジュエリーを自分で撮影して、研究、あるいは、楽しみたい・・・という場合、この場合は、大英博物館がおすすめ。
大英博物館といえばミイラ・・・、エジプトやローマの発掘品の博物館の印象。なので、ここにちょっと地味ながら、かなりの物量のジュエリー展示があることは、あまり知られていない。
このジュエリーを何回かに分けて、展覧してみよう。 まず今回は、ロマンティックな・・・19世紀の自然をモチーフにしたジュエリーを中心に。
ここでの私の一番のお気に入りは、これ。
19世紀フランス製ダイヤモンドとゴールドの、羽飾り型ジュエリー。
Tremblerと呼ばれるのだが、花がスプリング状のワイヤーに付けられていて、
微妙に振動するようにできている。
第二帝政崩壊後、イギリスに亡命したナポレオン3世皇后ウジェニーが売却したもの、といわれている。
<英文データベースはこのページ>
オークの葉を型どった、ダイアモンド使いのティアラ。イギリス、ロンドン、Hunt&Roskell製造 1855年ごろ。
これもTremblerで、キラキラ動くようにできている。
3つに分かれて、ブローチと櫛飾りとして使うこともできる。
<分解されたところのイメージ>
いかな、ヴィクトリアンの時代の貴婦人たちでも、ティアラはそれほど頻繁に身につける機会はなかったためか、
こんな風に、ブローチや髪飾りに分解して使えるようになっているデザインが多い。
<英文データベースはこのページ>
野バラの花束を型どった、クリソベリル使いのブローチ。フランス製1890年ごろ。
これも、一番大きなバラの花が、揺れるデザイン。
19世紀中頃、自然をモチーフにした、宝石使いのブローチが流行した。
<英文データベースはこのページ>
スミレを型どった、シトリンとアメジスト使いのブローチ。フランス製1890年ごろ。
これも上の野バラと同じ頃に作られた、自然モチーフのジュエリー。
データベースは上記と同じ。
プラタナスの実と葉を型どった、アメジスト使いのブローチ。1850年ごろイギリス製。
葉や枝の表現がとても巧みで、リアル・・・。
<英文データベースはこのページ>
バスケットに入った果物を型どった、パールとゴールドのブローチ。おそらくイギリス製、19世紀。
レッド・カラントの房を型とった、カーネリアンとゴールドのブローチ。おそらくオーストリー製1840年ごろ。
本当にみずみずしくって・・・レッドカラントにそっくり!!
<英文データベースはこのページ>
ブドウをついばむ鳥、アメジストとゴールドのブローチ。おそらくイギリス製1840年ごろ。
花束や、果物と並んでよくモチーフに取り上げられたのが、鳥のイメージ。
<英文データベースはこのページ>
1826~1875年ころ、おそらくフランス製。
鳥のイメージといえば、このブローチ。
ゴールド製ではなく金張りで、宝石ではなく、細かいボヘミアンガラス石が嵌め込まれている。
高価なものではないのだろうけれど、デザインがとてもかわいい。
<英文データベースはこのページ>
イギリス製、1850-80年ごろ。
そしてこの、ターコイズと鳥の組み合わせのシリーズは、とても流行したようで、いくつも収蔵されている。
鳥がくわえている花は、Forget-me-not(わすれなぐさ)。ターコイズの石の色も、この花を象徴する。
「忘れないよ>いつも心に留めているからね」という、ヴィクトリアン期の、ロマンティックかつ、
センチメンタルなメッセージが込められた、ジュエリー。
いっぱいありすぎて・・・データベースがどれだか確定できなかった・・・Phew・・・。
ヴィネグレット・ブローチ、イギリス製、1820-40年頃。ターコイズとルビー使いシルバーとゴールド製
センチメンタルの続きで、これも「忘れないで」のメッセージジュエリー。
ヴィネグレットというのは、小さな容器(手とカフスのモチーフ下のに隠されている)のことで、
香りを付けたヴィネガーや塩が入れられた。
イギリスのまずい食事を、どうこうしようというのではなくて、
当時コルセットで不健康なほど、体を締め上げているご婦人方は、すぐに気分が悪くなったり、気を失ったりしがち。
そんなときにこれを嗅がせる、一種の「気付け薬」なのだそう。
<英文データベースはこのページ>
わすれなぐさとブドウの葉を型どった、ターコイズとゴールドのジュエリーセット。イギリス製、1837-46年ごろ。
ブドウは、キリスト教信仰の象徴。
ネックレス、ブレスレット、ブローチ、イヤリングのセット。
ネックレスに、ブレスレットを足すことによって、長いネックレスとしても使える・・・、
のではないかな、と、これは私の想像。
<英文データベースはこのページ>
麦の穂とすずらんを型どった、パールとエメラルド使いのゴールド・ブローチ。
イギリス、ポーツマス、H.M. EMANUEL & SONS製造、1850年ごろ。
麦の穂は祝福や豊穣の象徴で、すずらんは聖母マリアの流した涙が、この花になったという伝説がある他に、
謙譲を象徴している。
<英文データベースはこのページ>
カメリアを型どった、染色アイボリーとゴールドのブローチ。イギリス製、1860年ごろ。
繊細な花びらはお見事・・・そして香りが漂ってきそうなほどリアル。
<英文データベースはこのページ>
イギリス製、1826-75年。
このぽってりしたバラの花は、アイボリーではなくて、シェル。
バラ、わすれなぐさに小鳥・・・で、ロマンティック満載のブローチ。
<英文データベースはこのページ>
スミレを型どった、染色アイボリーとゴールドのブローチとイヤリングセット。
イギリス、チェルトナム、Martin, Baskett & Martin製造、1850年ごろ。
スミレは「謙譲」を象徴するモチーフ。
<英文データベースはこのページ>
エナメル彩のストロベリー・モチーフを、カルセドニー・ベースにとめつけたブローチ。イギリス製、1830年ごろ。
ストロベリーというのは、モチーフとしては、珍しい方。あまり見かけない。
<英文データベースはこのページ>
この部屋は、ミュージアムの2階部にあって、2階部のフロア・マップは<このページ>。右下の方にRoom 47が見える。
次回も、British Museumのジュエリーより。
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