Sunday 12 September 2010

次のシーズンに向けての準備

ウェールズ旅行の写真の真っ只中、今日は先日訪れたInternational Jewellery London(ロンドン国際ジュエリー・ショウ)などで仕入れた石の話。
そう、このブログは・・・建築・歴史好きの「ジュエリー・デザイナー」のブログなのであって、建築家のブログではないということを知らしめておこう(笑)。

正直なところ、近頃はあまりジュエリーの仕事をしていない。もっぱら趣味の写真(と、このブログ)で遊んでいる。毎年のことだが、8月ごろまでに秋冬物を仕上げると、後は取引先に持ち込んだり、送りをしたりという程度であまり忙しくはない。いわば、ハタカイキ(という言葉があったと思うのだけれど、相変わらずキー変換で出てこない漢字は想像もつかない・・・)。
この後12月に入ってから、また次の春夏物の製作が始まる。2月頃がたいてい忙しいピーク。ペンダントヘッドを仕上げて、チェーン部分のサンプル組みをして、下請けのFrancisに持ち込み、仕上がったものを引き上げ、写真取りして、台帳を作って、値付けをする。これを3月目標に済ませる。これとて、近頃のイギリスの不景気で、以前のようにマシンのように作り続ける・・・ことはしなくても済みそう。売れないというのも困りものだが、気分的に半分隠居な私としては、「ぼちぼち」程度がちょうどいい。

遊んでいるとはいうものの、「仕入れ」は「製作」とは別口の仕事。常に材料のストックには気を配っておく必要がある。今のシーズンは、次の春夏物の仕入れを考え始める時期。
日本で商業ベースの企画デザインを生業としていた頃は、プランニングだのトレンドだのマーケティングだのコンセプトだの、「デザイン・仕入れ」に先立ち、やたらと続くプロセスの歯車の中で回っていたが、今はまるで逆。美しく表現すると「素材との出会いのなかで、作品が形作られていく」、ぶっちゃけた言い方だと「行き当たりばったり」(笑)。商業ベースで、一型一色何百本ロットの生産をするわけではないので、「こんなものを探している」といって発注するわけではない。ただ目に付いたものを、そして気に入ったものを少しずつ分けてもらう・・・そんな感じの「仕入れ」。

9月にはいって下請けで糸通しをしてくれているFrancisが、中国の仕入れから帰ってきた。彼は石やビーズの材料の販売もしている。中国から船便で入ってくる荷物は、まだ3週間程度かかるが、手持ちで持ち帰ってきたものを見せてもらった。

New stones from Francis
中国でも品質のいいクリスタル石が生産されるようになってきた。
天下のスワロフスキー様には及ばないのは当然だが、チェコ産の型流しクリスタルよりも
この中国産マシン・カットクリスタルの方がエッジがきいていて、品質がいい。
それと、クォーツとスモーキー・クォーツのやや大きい目の、きれいなチップ。
どんなデザインにも使えるので、いつでも在庫で持っておくようにしている。

New stones from Francis
ディティール


そして、9月の初めは年に一度のIJLこと、International Jewellery London(ロンドン国際ジュエリー・ショウ)がロンドンの見本市会場ともいえる、Earl's Court(アールズ・コート)の2番館で開催される。
東京・晴海のショウやパリのジュエリー・ショウに比べると、とても小さくて(430ブース程度)、こじんまりしたショウ。イギリスではロンドンのショウよりも、2月のBirmingham(バーミンガム)のショウの方が大きい(私は一度行ったが、やはり遠いのと、イギリス名物の列車遅れで懲りた・・・)とはいえ、西ロンドンのアールズ・コートは、ほとんどご近所、毎年見に行っている。

完成品のジュエリーやアクセサリーが80%を占める。残りの20%は材料・工具・パッケージの業者。その材料屋が私の目当て。いつも仕入れている、イスラエルの業者から今年も仕入れた。昨年・一昨年と手ごろな値段で、あまり見かけない天然石ビーズを持ってきていた、インドの業者が今年は来ていないようで、ちょっとショック・・・。Never mind...

Stones from International Jewellery London
ネット上で登録すれば入場無料。適当にフォームにティックしていけば登録できる、特に業者である証明も要らない。

New stones
ニュートラルなクォーツはいつでも大歓迎。

New stones
アマゾナイト、カヤナイト、ダイ・アゲート、アメジスト。
今回はこのブルー系になにか「引っかかった」。
ターコイズ・ブルーでもなく、モンタナ(紺系の深青)・ブルーでもない不思議な青。
海と大地が入り混じったような色。とても・・・「地球」な色をしている。

New stones
そしてもっと青い石達。深い深い海のような・・・。


春物というよりは、夏物っぽいカラー展開になっている。これからまだ、ローカルな天然石フェアや、業者を訪ねては少しずつ仕入れは続く。さて、来年この子達がどんな作品になっていくのだろうか、私にもまだ解らないのだけれど・・・。

さて、明日からはCardiff(カーディフ)の歴史博物館に、話は戻る。建築話(?)にお付き合いのほど・・・。

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