Monday, 31 July 2017

Cricket - Test Match at Oval(クリケット、テストマッチ観戦)

Etsyショップ:夏休みのお知らせ。
8月1日(火)~8月22日(火)の間、
Etsyショップは夏休みで、クローズになります。
よろしく、ご了承ください。


明日からのノルマンディーに滞在を前に、標本箱は春のホリデー話も、1/4しか進んでいないのを、もう放置して、また後日・・・ということで、次回はノルマンディー速報になる予定です。
それでもって今回は、これまた速報的に、この前の土曜日のOval(オーヴァル)での、クリケット、テスト・マッチ観戦のイメージを。

スポーツ観戦など生涯したことのない自分が、クリケット・ファンの配偶者氏が誕生日プレゼントでもらったペア・チケットに便乗して、オーヴァルにテストマッチを観に行く事になったのは、前回も書いた通り。
このクリケット<日本語Wiki>英連邦諸国でしか普及していないので、日本人やアメリカ人から見ると、「野球の原型みたいなものだろう」と思われがち。
しかし、(諸説あるけれども)野球はRounders(ラウンダース)という、英人の認識からいうと「女子供のゲーム」から発展・転化していったものなので、クリケットとは随分かけ離れたゲーム。
ボウラーの投げたボールを、バッツマンが打つのは基本同じだけれど、バッツマンは向かい合わせに2人、一方のチームから出ていて、打った後その2人がピッチの間を走って行き来してスコア(走った数なのでRun=ランと呼ばれる)を加算するシステム。
バッツマンがアウトになるのは、打ったボールをバウンドなしでキャッチされた場合や、ウィケット(3本並んだ棒=スタンプと、その上に乗っかった2つの木片=ベイル)にボールが当たって、ベイルが落とされた場合・・・などなど。
転じて、アウトになること全体をさして、「ウィケットを取る/失う」と、表現される。
そうして、2イニングス(テストマッチの場合)が終わったところでのランの合計で、勝敗が決る。しかし、規定の5日以内に2イニングスを終えられなかった場合は、ランの合計関係なく引き分けになるんだそう(この辺が、私にはよくわからない。)
私がUKに来た早々、あまり仕事もせずに今よりもっと呑気にしていた頃、時々テレビで配偶者氏とテスト・マッチを見ていて、解説(講義)されたので、おぼろげにルールは解るけれど、そうでない限り、英連邦外の人間にはまるで意味不明のゲーム。

クリケットの試合の中でも、このテストマッチが、一番盛り上がる国際試合。これ以外の国際試合に、ワンデイマッチ(一日で終わるように設定された競技方法)などもあるけれど、2イニングス合計4-5日かけて試合するテストマッチの方が伝統的で、正統派の競技方法。 ユニフォームも、テストマッチは伝統的な白いクラッシックなスタイル、ワンデイマッチはカラーのユニフォームで、これではちょっと野球っぽく見える。

これ以上、自分もあまりよくわかっていないことを説明しようとしても、意味なしなので・・・その場の雰囲気ということで、イメージに入りますよ。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
スタジアムはThe Kia Oval(通称オーヴァル)。
Kiaというのは、スポンサーの韓国の自動車会社「起亜」のこと。
聞いたことがなかったので、「Kiaって何?」と配偶者氏に尋ねたら、
Kia-Oraっていう、ドリンクがスポンサーなんかな?」という、まさかなご意見。
Googleに聞いてみたほうが早かった・・・(笑)。
で、これがグラウンド(というか、クラブハウス)の正面。
地下鉄のOval駅から100mほどの距離。
私たちは、サウス・ウエスト・トレインズの鉄道で来るので、
Vaxhall(ヴォクソール)で下車して、10分ほど歩いて、
この入口とは、ほぼ反対側北側のAlec Stewart Gate
(アレック・スチュワート・ゲート)から入った。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
今回のサウス・アフリカVSイングランドが、テストマッチ100回目記念。
ちなみに1回目は1877年3月、
メルボルンでのオーストラリアVSニュージーランドなのだそう。
ここに写っているのは、19世紀のベスト・バッツマン、W. G. Grace(W.G.グレース)。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
このクラブ・グラウンドは1845年設立で、
150周年記念に設置された時計。
野球やフットボールと違って、クリケットは基本が「グラウンド」
そこに、クラブ・ハウスが建っている・・・という様式。
そのせいだか、この規模になっても「グラウンド」と呼ばれて、
なぜだか「スタジアム」とは呼ばない。
この時計の付いている入り口が、クラブ・メンバーの入り口で、
少しイギリスの「ジェントルマン・クラブ」に相通ずる「クラブ」の雰囲気がある。
オーヴァルは今回のような国際試合にも、多数使用されるけれど、
基本的にSurrey County Cricket Club
(サリー州クリケット・クラブ)の、ホームグラウンド。
なので、この巨大な建物も、基本的に「クラブ・ハウス」。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
エントランス近くで、この「4」のりーフレットを貰う。
テストマッチのスポンサーの株屋の広告なんだけれど、
応援チームに「フォー・ラン」(打球がゴロで、バウンダリー=境界線、
を超えた時。走らなくても4ランのスコアがつく。)が出た時に、
これをスタンドで振って喜ぶ・・・という、小物。
裏は「6」が書かれていて、これは「シックス・ラン」
(打球がバウンドなしで、バウンダリーを超えた時。
ホームランみたいなもの。)の時にかざす。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
私達のシートはPeter May Standなので、まだ少し先に向かう。
すべてスタンドやゲートには、
クラブの歴代著名プレーヤーの名前が付けられている。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
で、この方がPeter May(ピーター・メイ)氏。
1950~60年台に活躍したバッツマン。
配偶者氏の時代の人達のヒーロー。
この後ろに写るガスタンクは何か?なんだけれど、
これがオーヴァルと、隣り合わせに建つgasometer
(ガソメター=ガスタンク)。
後で現在の写真が出てくるけれど、オーヴァルといえば
このガソメターがアイコニックな存在。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
スタンドの下を抜けていくと、一帯は屋台通り。
食べ物もだけれど、主にビール、とにかくビール。
屋台の売上を助けるためなのか、
オーヴァルはアルコール類の持ち込みは禁止。
セキュリティ上の理由でもあるだろうけれど、
エントランスで、バッグ・チェックがある。
一方、ロンドンでもう一つのグラウンド、
スイス・コテージのLord(ロード)は持ち込みOKだそう。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
ヴィンテージ・ヴァンの屋台。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
やっとここで、自分たちのシートに上がって来た。
ゲームは11時開始で、1時にランチタイム休憩が40分、
3時からティータイム休憩が20分、大体6時頃に終了する。
これを4日~5日続けるので、
週フルタイム勤務に匹敵するかもというゲーム時間。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
グラウンドの反対側中央に建つのが、件のクラブハウス。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
シートから振り返ってみると、そのガソメター。
オーヴァルより2年遅れて、1847年に設置された。
現在のテクノロジーではガソメターを使って、
ガスを保管する必要はないので、各地で次々に解体されて、
住宅建築などに、置き変えられてきているけれど、
このオーヴァルのガソメターは、
第II保存建造物に指定されているので、今後もここに残されることと。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
これがスコア・ボード。
イングランドが先攻で、最初のイニングに353ランをあげている。
(ボードの一番下に表示)
昨日の2日目から、サウス・アフリカのバッツで、
126ランをあげて、8ウィケット失っている。
(一番上に表示。11人中8人が、「アウト」になっているということ。)
チームは11人だけれど、バッツマンはペアで出るので、
10ウィケット、つまり10人目がアウトになったところで、
そのイニングスは終了。
Morkel(モーケル)と Bavuma(バーヴマ)のバッツで、
今日の3日目が始まる。
ということぐらいで、それ以外の数字はなんだか、私には不明。
ま、とにかく、イングランドが激優勢なことは確か。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
プレーヤー、ウォーミングアップ中。
こちらはサウス・アフリカ・チーム。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
一度選手達は引き上げて、ユニフォームを着替えて、
グラブハウスの階段を降りて、グラウンドに集まったところで、
両チーム入り混じっての記念撮影。
肩と胸にHSBC銀行の赤いマークを付けている方がイングランド。
ユニフォームはやや、クリーム色。
サウス・アフリカのユニフォームは、真っ白。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
ピッチに散らばったところ。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
サウスアフリカのバッツマンが向かい合わせに2人。
ボウラーはファスト・ボウラー(速球)のBroad(ブロード)、
画面左の外側に見切れてしまっている。
右でバッツマン、モーケルがそれに構えている。
バッツマンの横で水色に見えるのがウィケット。


ここで、ヴィデオ。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
ボウラーの最初の4シーンは、
ゲームの取っ掛かりを押さえ込むための、ファスト(速球)・ボウラー。
なので、とてつもなく長い助走をつける。
こんな長い助走は、ご近所の草クリケットではありえない。
(つまり、そんなすごいファスト・ボウラーはいないということ。)
テレビでしか見たことがないので、
そしてテレビだとボウラー/バッツマンの後ろから撮るので、
どんな距離を走っているのか、実感が全然わかない。
なので、はじめて横から見てたまげた・・・。
この重労働なので、ファスト・ボウラーは、
最初の数オーヴァーを投げるだけで、スピン・ボウラーと入れ替わる。
(6球投げたところで、位置入れ替えて、反対側のボウラーが投げる、
これがオーヴァーと呼ばれる。)
後の2人はスピン・ボウラー。
最後から2人目はAnderson(アンダーソン)で、巧妙なボウルで有名
(だそう、全部聞きかじり)、
今回も出てきてすぐにウィケットを取っていた。
最後のボウラーはAli(アリ)で、助走ほとんどなし、
最初まっすぐに見えて、バッツマンの手前のバウンドで急カーヴする、
Off spin(オフ・スピン)の名手なんだそう。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
などと・・・おしゃべりコメンテーター配偶者氏の話を、
フンフン聞いているうちに、どんどん雲行きがあやしくなる。
ライトも点きはじめた。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
12時45分にドリズル(こぬか雨)がひどくなってきたところで、
ちょうどサウスアフリカのバッツのイニングスが終わり、
40分のランチタイム休憩を、早めてとることに。
私たちは、状況予測済み、傘にレインジャケットで装備なので、
観客席で、傘さしてバーガーを食べる。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
ピッチにカヴァーが引き出され、

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
除水ホースを引きずり回して、ローン上の水分を吸い上げる。
天気予報では3時以降にべったり雨マーク。
1時頃のこぬか雨は、その先駆けだったようで、
ランチタイムの終わる頃には、ちょうど止んできた。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
サウスアフリカのフィールダーズ登場、

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
イングランド側のバッツメンはCook(クック)とJennings(ジェニングス)。
最強打者を最初に持ってくる事が多いのだそうで、
クックは現在の最強打者だそう(配偶者氏談)。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
これは(多分)ジェニングス。
余談だけど、フィールドのローンにハゲ気味のパッチがあって、
多分そこにローンの種が撒かれているんだと思うけれど、
それをついばみに来る鳩たち。
テストマッチなんだから、邪魔しないようにね。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
これはサウスポーなので、きっとクック・・・だそう。
残念ながら、7ランを上げただけで、ウィケットを取られてアウト。
この黒いズボンで立っているのは、アンパイア。
以前は薬屋さんのような、白いコートを着ていたけれど、
近頃はブルゾンになったんだ・・・。

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
2時半を過ぎて、再び雨足が強くなったところで、
アンパイアが試合中断かどうか、相談して・・・、

England v South Africa 3rd Test Day 3 - 2017 @ Oval, London
そのまま中断。
観客は三々五々、下の屋台エリアで飲みはじめて、
下のフロアはもう、大盛り上がりの巨大パブ状態。
私たちはしばらく待ってみたけれど、そもそも天気予報でも
この後夜まで強い雨が続く・・・だったので、
3時過ぎには諦めて、ヴォクソールでお茶をして帰ってきた。

この日の試合は、プロが撮るとこうなる・・・。


その後、昨日の4日目にイングランドが再び313ランを加えて、ティータイムに「declare(デクレアー=申し立て)」をして、イニングスを終わらせる。これは、最初に書いた「時間切れで、10ウィケットが取れずに引き分けになる」ことを回避するために、もう充分ランをリードしたと、キャプテンが判断した場合、イニングス終了を「申し立て」できるというルールに沿っている。
そしてサウスアフリカ・バッツのイニングスに。
この後、5日目にかけて、サウスアフリカのElger(エルガー)が、センチュリー(100ラン)超えの136ランを出したそうで、大いに盛り上がった様子。
ところが、その後が続かず、最後はイングランドのアリが、Hat-trick(ハット・トリック)と呼ばれる、3投連続ウィケッツ(打者アウト)で、史上イングランド14人目のテストマッチ・ハットトリッカーになって、劇的に終了したのだそう。

天気はあいにくだったけれど、はじめてのクリケット観戦は、思ったより楽しかった。
まったりリラックスした感じと、試合の緊張感が両方交互に入り混じっていて、スイッチがオン・オフされる感覚がある。
イギリスならではの「肩の力の抜けた熱中」、まず他にそんなスポーツって、ないんじゃないかな?
いいお天気のイギリスの夏には、クリケットが必須なのもわかる気がする^^.。


それではまた、今度はノルマンディーの田舎より、標本箱発信です。




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