Plantin-Moretus Museum (プランタン・モレトゥス博物館)-3-
仕事でインテリア撮影に行ってたり、その先でトライポッド倒してスーパーワイド・レンズ折って、修理屋に駈け込んだり・・・で何かと忙しくしております。
「トライポッド倒してレンズ折る」の話は聞いたことがあるけど、比較的物を落としたり壊したりしない方の自分がやるとはね・・・Alas。
修理屋のお兄さん曰く「たいてい一度はやりますよ。」よくある話だそうで、ガラスレンズ自体は無傷で、新しいのを買うよりは安く修理できそう、なので、入院中。
もう一度同じクライアントさんで、第二弾ののインテリア撮影が来週の予定だったのを、レンズが退院してくる再来週に延期してもらったり・・・ヤレヤレ。
教訓:たとえつかの間でも、トライポッドを半開きで立ててはなりませぬ。
さて、本題はアントワープのPlantin-Moretus Museum (プランタン・モレトゥス博物館)の最終回。まだまだ写真はあるけれど、なんとか今回で話を収めたいかも。
印刷工房はこのように真ん中の通路を挟んで、
印刷機側と、写植文字キャビネット側に分かれている。
作業としては、このキャビネットから文字を組んで、
向かい側の印刷機に回す。
修正が出るとまたこの写植文字エリアに戻される、というもの。
その写植文字。
これつまり、16世紀末~17世紀のもの。
写植文字自体ここのまた別の工房で原型が作られ、
鉛の鋳物で量産された。
その工房も通常は公開されているそうだけれど、
改装の始まった一角で、私が訪れた時にはクローズしていた。
こんな縦に長い楔のような写植文字達が、
木の枠の中にぎっちり並べられる。
組まれた写植文字と、それを印刷したサンプル。
写植文字エリアの窓から覗いた中庭。
工房を出ると、次にルートは図書室に向かう。
18世紀様式のインテリアの部屋。
ここにも写本が展示されている。
小さな書庫が続く。
博物館の中で「The Moretus Room (モレトゥスの部屋)」と呼ばれるこの部屋は、
ちょうど印刷工房の上階にあたる部屋。
1637-39年頃に、この上階が増築された。
当時工房に関連した業務のための部屋として、
増築されたと考えられているが、
具体的にどんな作業が行われた部屋なのかは不明。
現在はここの出版物が展示されている。
天文学書の図解ページ。
創業者プランタンが亡くなる1589年の前、
1585年にアントワープがスペイン領に陥落し、
スペインに陥落したローランド各地同様、景気が破綻する。
2代目ヤン・モレトゥス1世は巧みにスペイン王や、
イエズス会から宗教関連の書籍印刷を受注することで、
この危機を乗り切っていく。
1650年には生産はほぼ100%宗教書で、
創設時のアントワープ黄金時代の人文科学的な出版形態は、
もはや過去のものとなっていったのだそう。
その先に続く部屋は「The Rubens Room(ルーベンスの部屋)」と呼ばれている。
3代目バルタザール・モレトゥスとルーベンスは学友で、
仲が良かったと伝えられている。
ルーベンスがイタリアから帰国した1608年以降、
学友はプロフェッショナル同士の協力関係に発展する。
この頃から、書籍に豪華な挿絵入りのタイトルページが付くようになった。
このタイトルページや、書籍内の挿絵を、ルーベンスが数多く担当し、大成功をおさめる。
ルーベンス的にも、即金キャッシュで報酬が支払われたのみならず、
数々の書籍も譲り受け、素晴らしい蔵書を築くことができたのだそう。
お互いにメリットがあって、ハッピーな協力体制。
この部屋には、そのルーベンスの描いた挿絵が中心に展示されている。
と、言いつつ、インテリアの方に集中していて、
展示物は撮影せずじまい・・・。
そして順路はまた、図書室。
ここに展示されていた、豪華な絵巻物(?)は撮影した。
なんだか詳細は不明なのだけど。
神聖ローマ帝国、ハプスバーグ家に関連しているものかと???
枢機卿達。
その次の部屋が、圧巻の図書室2室。
最初の(これでも)小図書室。
その先に繋がる大図書室。
チャペルとして使用されていた時の名残で、
今でも磔刑画が残されている。
天球儀・地球儀は18世紀中頃のもの。
ここの図書室が最後の見どころなのでした。
このミュージアムのヴィデオをオマケに。
26分と長いのだけれど、今回公開されていなかった部屋や、
16世紀当時どのように使われていたか、とても詳しくてよくわかる。
Plantin-Moretus Museum
(プランタン・モレトゥス博物館)
Vrijdagmarkt 22-23, 2000 Antwerpen, Belgium
開館情報など英文で<このページ>
Map:
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