Saturday 14 May 2016

Plantin-Moretus Museum (プランタン・モレトゥス博物館)-1-

ロンドンは、爽やかな春の日々が続いている。
今年に入ってから、立て続けにいろいろ起きていた、仕事+雑務の方もようやく落ち着いて、溜め込んでいた写真のポストプロセスも、ようやくベルンの旅行のあたりにたどり着いた。
そうしたら、突然、件のPおじさんから電話で、「ロンドンから電話しとるぞー」って、何ごと・・・。 突然昨日、ケンジントンのドールハウス・フェスに、リサーチと材料仕入れにやってきたそう。 で、明日は「Kenwood House(ケンウッド・ハウス)へ行きたいから案内せよ」とのお達し。 了解、了解、自称トラベル・プランナーにお任せくだされ。 ついでに帰りに、Fenton House(フェントン・ハウス)もルートに入れて、Hampstead(ハムステッド)高級住宅街散策コースをプランニング中。 明日もいいお天気だといいな。(あ"~、うちの鉄道ラインがメンテナンス工事で、昼過ぎまで止まっている日曜に、代替バスに乗って出かけるですよ・・・。通常ターミナルのWaterlooまで16-20分のところを、1時間10分かけて行きまする・・・汗。)

一方、標本箱は再びAntwerp(アントワープ)の街を漂っていて、今回はPlantin-Moretus Museumプランタン・モレトゥス博物館)のイメージを。

ここは16世紀に出版(当時で言えば、最新テクノロジー)業者、クリストフ・プランタンの印刷工房に端を発して、その屋敷、図書室など、印刷出版関連の機関オフィシーナ・プランティニアが、現在まで完全に保存されている、貴重な例。 2005年7月にユネスコの世界遺産にも登録されている。
現在、少しずつ修復工事が進行中で、私の訪れた3月の段階では、寝室などの私室が公開されていなかった(2016年5月30日~9月29日まで、修改装工事のため全面的に閉館)。 それでも、内容の濃さに圧倒された博物館。 あまりに熱中して写真撮りすぎ・・・なので、3回に分けてエントリー予定。
まず今回は、ルートの最初の、応接室のあたりから話を始めることに。

Plantin-Moretus Museum
まずは、エントランス。
この前の広場で、カーブーツ的セコハン物をわざわざ競りで売る、
430年の歴史(!!)「アントワープ金曜市」が立っていた。
(その話は<このページ>)

Plantin-Moretus Museum
上階は図書館・写本コレクションに充てられている。
そのイメージはまた後ほど。

Plantin-Moretus Museum
最初のSmall Drawing Room (小客間)には、タペストリーが張り詰められていて、
その保全のために、極端に照度が落とされている。
暖炉の上の絵画は、ルーベンスの「ライオン狩り」(原画は在ミュンヘン)の、
同時代の模写。

Plantin-Moretus Museum
ダッチ(オランダ)式のシャンデリア。

Plantin-Moretus Museum
次の部屋はGreat Drawing Room(大客間)。

Plantin-Moretus Museum
歴代の当主の肖像画。

Plantin-Moretus Museum
当時の富裕文化人宅になくてはならない、お宝キャビネット。
左右の肖像画は、左:創始者クリストフ・プランタン、
右:妻、ジャンヌ・リヴィエール、どちらもルーベンスによるもの。
ちなみに、クリストフ・プランタンの孫で3代目の、
バルタザール・モレトゥスとルーベンスは学友だったそうで、
この一族の肖像画を、何枚も描いているのだそう。

Plantin-Moretus Museum
Beam(梁)受けの部分に、黄金のコンパスが描かれている。
これがクリストフ・プランタンの紋章で、
彼のモットー動=「精勤」と不動=「継続」を象徴している。
(ラテン語で「Labore et Constantia」と表記されている。)

Plantin-Moretus Museum
この星の紋章は、事業を継いだクリストフ・プランタンの嫁婿、
Jan Moretus(ヤン・モレトゥス)の息子で、
当主を引き継いだBalthasar I (バルタザール1世)のもの。
Stella duce 「星に導かれる」のモットーで、
Balthasar MoretusのイニシャルB.M.が刻まれている。
これは、キリスト礼拝に、三博士が星に導かれた伝説に由来している。

Plantin-Moretus Museum
その次の部屋はManuscripts Room(写本室)と呼ばれている。
この一族のコレクションに638点の写本が含まれている。
その中でも、重要なものを厳選して、この部屋に展示されているのだそう。
当初は、写本原本を入手して、それを出版にかけるための「素材」として、
ビジネス目的で写本が収集された。
(当時、コピーライトの概念がなくてよかったね・・・笑、
あ、今でも、70年経ってたらいいのか?)

Plantin-Moretus Museum
同室を反対側から。

Plantin-Moretus Museum
15世紀初頭の聖書写本。
プラハにて、ボヘミア王ウィンセスラス4世のために制作されたもの。
後半が未完だそうで、その部分から、制作プロセスが研究できるため、
完成されたものより、一段と貴重な資料なのだそう。

Plantin-Moretus Museum
ディティール。

Plantin-Moretus Museum


Plantin-Moretus Museum
このあたりが未完の部分なのかな。
装飾部分にブルーの下描きだけが残っている。

Plantin-Moretus Museum
これもまた、Dの頭文字に濃厚な装飾が付くはず・・・だったもの。

Plantin-Moretus Museum
オウムを狙う、ネズミ色した猫のディティール。

Plantin-Moretus Museum
これはイリュミネート写本じゃないけれど、手書きの書籍。

Plantin-Moretus Museum
暖炉のタイルは建物シリーズ。

ここから順路は中庭へ続く。

Plantin-Moretus Museum
写本室のドアから出たところ。

Plantin-Moretus Museum
反対側から見たところ。
中庭を取り囲む建物は、元々建っていたものを購入して、
敷地を拡大していった場合もあり、
それぞれの階段やらドアやら複雑につながっている。
アーケードはその奥の建物の、細々した様式を隠すために、
2階の増築時に付け足されたものだとか。

Plantin-Moretus Museum
中庭にもあちこちに、歴代当主のバストがはめ込まれている。

Plantin-Moretus Museum
これは星を紋章にした、バルタザール・モレトゥス。

Plantin-Moretus Museum
これは初代の、クリストフ・プランタン。
コンパス・マークのモットーが下に付いている。

Plantin-Moretus Museum
アーケードの部分。
この階段はこの時は、上階が閉められていたのだけれど、
ここから寝室のエリアに上がっていく。
改装の終わっている、来年もまた行ってみようかな。

Plantin-Moretus Museum
手すりの装飾のライオン。

Plantin-Moretus Museum
アーケードの角。
別の建物の、小さな中庭だった様子がうかがえる。

Plantin-Moretus Museum
その隣の部屋は、キッチン。

Plantin-Moretus Museum


Plantin-Moretus Museum
そのドア。

ここから次に、仕事場の方に続いていく・・・、
というところで、続きは次回に。




Plantin-Moretus Museum
(プランタン・モレトゥス博物館)

Vrijdagmarkt 22-23, 2000 Antwerpen, Belgium

開館情報など英文で<このページ

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