Monday 30 March 2015

Pottery Painting (ポタリー・ペインティング)

去年の11月頃から、もう一人、内なるシュヴァル氏がいて・・・、こっちの方はポタリー・ペインティングに毎週のように行きたがる。
このポタリー・ペインティング、東京の友人に話したら「日本でもあるよー。」と言っていた。
Netでざっと見た感じでは、どうやら日本には「上絵付け」と「下絵付け」のスタジオ、というか、「お教室」がある様子。(「上絵付け」と「下絵付け」の違いは<このブログ>に簡潔明瞭に解説されていた。)
UKにも一般的に、Pottery Painting(ポタリー・ペインティング)とかCeramic Painting(セラミック・ペインティング)と呼ばれているスタジオを、時折見かける。
UKの場合、大半が「下絵付け」の方式じゃないかと思う。現代のホビー・クラフト最先端国USAの会社から、素材を仕入れていることも多いらしいので、USAでも同じような「下絵付け」のフランチャイズ・スタジオが普及してるんじゃないかな、と、これは想像。
私が頻繁に行ってるのは、ウチから歩いて10分程度のところにある「The Crafty Cafe」。 ここも「下絵付け」の方式。
勝手に何でもやるのが好きな英人の場合、「お教室」方式ではなくて、「スタジオ」方式。毎回スタジオ料(ここの場合£5)を払って、好きなビスク(ビスケット)生地を買ってペイントする。(「お教室」にした方が、確実に安定収入を見越せるわけで、日本の方が商売が上手い・・・ともいえる・・・笑。)
ビスク(ビスケット)生地の価格は、サイズ・デザインにもよるけれど、以下で私が使っているようなシンプルな皿・マグ・ボウルの場合1個£10-£15、大型のもので£40ぐらいが上限かと。
このビスク生地代の中に、ペイント代・焼成代も含まれているので、これ以外にコストはかからない。 ここの場合「Cafe」ということで、お茶やパック入りクッキーが販売されていて、それらは別料金。

事のきっかけは、私がマグを探していたこと。
大きなサイズのマグで、ウチが最近はまっているプロヴァンス風のもの、あるいはスタジオ・ポタリーのもの、を探していたのだけれど、気に入ったものがまったく見つからない。
このスタジオがあることは、以前通りがかって知っていたので、だったら、自分で作ってしまえばどうか・・・、と、思い立ったのだった。


Greek(?) pitcher as reference, and the mug which I painted
で、この右側のマグが、初めてペイントしに行った時のもの。
左は、参考にしたギリシャ土産(かな?多分)風の、ピッチャー。
かなり、荒っぽく手早い筆のタッチを真似て、ラフに描いてみた。

ではその、「プロヴァンス風」とは、つまりどんなふうなものか、というと、

References - mostly...Provence ceramics
こんなもの。
基本的に低温焼きのアースン・ウエアで、
茶色いビスケット地に釉薬をかけて、
全体にクリーム、イエロー系のもっちゃりした色合い。
これは、プロヴァンスで買ってきたものやら、
パリのお気に入りのカントリー陶器屋、La Tuile à Loupで買ってきたもの。

Reference, apparently Portuguese vintage bowl
これも参考にした大型のボウルで、
20世紀初頭のポルトガル製カントリー・ウエア、という話。
つまり・・・、地中海系カントリー・スタイルが好きかも、な、我家。


これらに共通しているのは、クリーム色のバック・グラウンド。
一方、ポタリー・ペインティングのスタジオで扱われているのは、真っ白なビスク生地。なので、まず最初に全体(マグの中も、皿の裏も、すべて)を、クリーム/ベージュにペイントする。
この時にスポンジにペイントをたっぷり付けて、押し付けていくと、一回塗りでOK。筆でペイントした場合は、3回塗りにしないと筆のタッチが出る。逆にタッチを出したい場合に、1-2回塗りですます、というのもあり。
なにしろ、生地はビスケットの状態なので、ペイントを吸う吸う、最初びっくりした。その分、乾燥はとても早い、そして、ムラになりがち。
その上の絵付けも同様で、くっきりしたカラーを出したかったら、2-3回ペイントすることになる。
また、暗い色の上にのせた淡い色は発色しないので(それを発色させるためには、7度塗りすることになる)、最初に色を決めて、淡い色から順番に塗っていく。 この手順を考えるのと、ペイントを微妙に半透明に保って、伝統的な釉薬のタッチに近づける(というか、似せる)のとが、最初ちょっと難しかったところ。
(いや、普通皆さんは「伝統的な釉薬のタッチに近づけ」ようなんて考えもしなくて、くっきりポップなコンテンポラリー調にすることしか考えないので、あんまり難しいことにはならないのだけど。)


Painted mugs
ともあれ、シュヴァルというもの、やりだしたらとまらないので・・・、

Painted mugs
シュヴァル呼ばわりされる。

あ、この下地の色の中にポツポツ茶色い点々が飛んでいるのは、
こんな粉末釉薬の混ぜられた、ペイントを使っている。

Painted 20cm plates
これは、20cmの中皿。
これ以上の大皿はすでに、UKの作家物の
カントリー風の皿をいくつか持っているので、自重。

16cm plates compleated
これは16cmの小皿。

16cm plates compleated
これも16cmの小皿で、トータル8枚作った。


小皿はなにかと便利なのに、ヨーロッパではあまり使わない、なので、売られていない。
スタジオの在庫にもこのサイズのものがなくて、カタログで探して取り寄せてもらった。
ミニマム・ロットが12枚入箱なので、太っ腹に全部買い取った。
ウチ用には8枚で、残りの4枚は、ちょっとした「企画」のために使用。 この話は、次回の標本箱で。
プロヴァンス風・・・とか言いながら、上の写真右上のチュ-リップ3本パターンは、典型的なダッチ(オランダ)デルフトのパターンだろうがー、と、独りツッコミ。 アムスから帰ってきたら、こんなことになってしまった。


Painted bowls
ボウルも欲しかったので、手を出した。
直径18cm x 高さ8cmのサイズしかなくて、やむなくこれ。
本当はもう少し小さいものを探していたが、
カタログでも廃盤になっていて入手できず。
内も外もペイントしたくなるので、皿の倍時間がかかる。
4個でもうやめておく・・・。

Bowls - side
ラインを引くのも立体的なボウルは難しい、疲れ気味でブレてる(笑)。
伝統的な釉薬での絵付けの場合、
こういうラインはロクロに乗せて、器自体を回して、
筆は動かさずに描いていると思う。
このポタリー・ペインティングの場合、吸い込みが激しすぎて、
ロクロでの回し描きは無理なのだそう。
やむなく・・・フリーハンド。

ここからは、そのThe Crafty Cafeのイメージ。

The Crafty Cafe - Surbiton
ポップな外観のスタジオ。
お客さんのターゲットはファミリーで、
ホリデー、土日は幼稚園状態になることも多いのだとか。

The Crafty Cafe - Surbiton
私はいつも、すいている平日の昼間に行くので、こんな感じ。
ゆっくり作業できる。

The Crafty Cafe - Surbiton
壁の棚に並ぶビスク生地から好きなものを選んで、
好きなところに座って作業開始。
初回はスタッフが、簡単にコツを説明してくれる。

The Crafty Cafe - Surbiton
この時は、前回描き終わらなかった皿の続きから、作業開始。
あ、次回の話題がここでネタバレしている・・・って
いわなきゃわからないか・・・。


テーブルの上には、子供たちの好きそうなヴィヴィッドな色合いのペイントが、回転トレイに乗っている。
各席にあてがわれた白タイルを、パレットとして使い、ここにペイントを出して、筆やスポンジで描く。
水は色を変えるときに筆を洗うためで、ペイント自体は薄める必要はない、というか、薄めないほうがいいと言われる。
ペイントは基本的に混ぜない方がいい。普通の顔料のペイントと違って釉薬なので、ペイントに付けられている色が、実際の発色の色ではない、つまり、ペイントを混色して色をつくろうとしても、どんな色になるか解りにくいので、そう言われるのだと解釈している。
しかし、どうしても使いたい色がない場合、私は2色を混色したりしているし、水で薄めたりもしている。これは、内緒で・・・、自己責任で(笑)。
焼き上がり後の発色は、壁にサンプルが並べられているので・・・、

The Crafty Cafe - Surbiton
これを参照しながら、同じナンバーのボトルのペイントを使う。
この一角は、テーブルの上に出ている、「キッズ・カラー」。

The Crafty Cafe - Surbiton
ビスク生地棚の間の壁にかかっているのが、もう少し渋めの「大人色」。
ここのカラーは、各テーブルにはなくて、
この色見本の下の回転トレイにかためられている。
ここから選んで、テーブルに持って行って使う。

The Crafty Cafe - Surbiton


この一角には、「大人専用」という表記の、何やら奇妙なツールやら、セーブル筆等もある。(ちなみに私は自分のセーブル筆を持参。)
左のメタリックのペン立てにあるのが、ジェル・ペン。 これは、下書き用。
このポタリー・ペインティングのシステムだと、鉛筆を下描きに使うと、鉛筆は、カーボンが焼成後も残ってしまうので使えない(ま、それもデザインの内なら、ともかく)。ジェル・ペンの顔料は焼き切れてしまって、のこらないので、これを下描きに使う。 同様に普通のカーボン紙を使って、紙に書いた下絵をトレースすることも出来ない。この場合、専用のカーボン・フリーの転写紙があるので、それをわけてもらって使う。
私はその存在を知らず、下絵のアウトラインに目打ちで穴を点々と開けて、ジェル・ペンで点を打って、それをつなぐという作業をしていたら、スタッフが驚愕して、専用転写紙を教えてくれた(笑)。
完成させたら、スタッフに預けて料金を支払い、受け取りレシートをもらう。
この後、スタッフが全体にクリアで焼きあがる釉薬をかけて乾燥させ、週に2回窯入れ焼成する。受け取りレシートに、受取日が指定されるので、その日の2時以降受け取り可能。
上からクリアの釉薬が全体にかかっているので、丈夫な仕上がりで、食器洗い機を使うこともできる。


The Crafty Cafe - Surbiton
ここのスタジオの平均的お客さんは、このようなものを作りに来る。
新生児の足型をプリントして、名前を入れて、
多分、おばあちゃん、おじいちゃんにプレゼントしたりするんだろうな。

The Crafty Cafe - Surbiton
あと、子供のなぐり描きでも、焼きあげたら、かなり、アーティーになる。
これが人気のポイント。

The Crafty Cafe - Surbiton
これはスタジオの表の、子供たちの手描きタイル。

と、まぁ、こういった需要の中で、
独りアンティークなことをやらかし続けるのだった。
次回は、「或る企画」にどんどん凝り始めてしまった顛末を。


The Crafty Cafe
120 Ewell Road, Surbiton, Surrey, KT6 6HA
オープン時間は、<このページ

マップを貼ろうとしたら、なぜだかGoogle mapのエンベッドが機能しなくなったので、
地図のリンクは<ここ



















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