Museum Het Grachtenhuis (カナル・ハウス博物館)- アムステルダム
今回のアムステルダム滞在では、大物・国立博物館で最終日を費やして、初日はフライトをKLMからBritish Airwaysに変えたので、フライト・スケジュール上到着が2時間、前回・前々回より遅くて、あまり時間がなかった。
なので、このMuseum Het Grachtenhuis (カナル・ハウス博物館)が、唯一訪れた「マイナー」博物館。
ここは「カナル」の歴史というよりか、カナル沿いに17世紀に開発された「カナル・ハウス」がどういうものなのか・・・という解説の方が多いような気がするけれど・・・、ま、ちょっと異色の博物館。
2011年の4月に最初にオープンして、数カ月後にまた改装のために閉館、2012年3月に再オープンした、という話なので、まだ新しい。
いろいろ模型やら、オランダのミュージアムお得意の、ミニチュアの中のPepper's Ghost(ペッパーズ・ゴースト)映像とか、テクを駆使した展示・演出がなかなかおもしろい。 なんだけれど、解説ヴィデオを順番に同時に観てもらう必要から、最初の3部屋だけが15分単位の、時間ぎめツアー方式。これがちょっと不便というか不器用な感じ。
音声は最初に何語か尋ねられて、ヘッドフォン・デヴァイスを渡される。これで、各言語に対応している。
最初の部屋では、ミニチュアの背景にイメージ映像が流れて、
北フランスや現在のベルギーから、16-17世紀の新教徒弾圧の結果、
「新教徒移民」がオランダの各都市、とりわけアムステルダムに流入した・・・
ということを解説している。
次の部屋では、そんなわけでアムステルダムは住宅不足。
街を拡大する計画が建てられる、その推移を音声とスライドで解説している。
こんなプラン、あんなプラン・・・と、討議する話に合わせて、
スライドの地図が卓上にぱっと出てくる。
私的には後ろの古地図(の、リプロ)を、もう少ししげしげ見てみたかったのだけれど、
「次の部屋に移ってください。」って押し出されて、ちょっと不満。
次の部屋では、その「新開地」に住居を建造していく様子が解説されている。
ここも本来は映像と音声で解説・・・?の様なんだけれど、
もうしっかり故障していて、博物館スタッフのお姉さんが解説にあたる。
私は3人のオランダ人女性のグループと一緒のツアーだったので、
まずオランダ語、その後英語と、お姉さん熱演。
で、もし、私が「日本語」とか言ったら、
どうするつもりだったんだろうか?(笑)
(私は英語で聞いてたけど、音声ディヴァイスには日本語選択もあったはず。)
このミニチュアで見せているように、アムステルダムの街は、
まず10m(だったかな・・・?)の木の杭を湿地帯に打ち込んで基盤が造られている。
この「木の杭」なんて痛みそうなものなのだけれど、水分の中に浸かっている限り木は腐らないのだそう。水分を含んだ木が大気に触れることで腐敗が起きる。
そういえば、16世紀中頃にソレントの海戦で撃沈された、ヘンリー8世建造のMary Rose号は、海の下で形を留めていて、1982年に引き上げられて、ポーツマスのPortsmouth Historic Dockyard (ポーツマス・ドックヤード歴史博物館)で展示されているが、ここでも、木の構造にコンスタントに水を噴霧して、水浸し状態にしていたことを思い出した。
ここで、前回書いた「家のファサードを前のめりに建てる」の話や、
「住居として設計されていても、ホイストが軒に付いている」の話を聞いた。
この部屋を最後に、「ツアー」からは開放されて、
後は自分のペースで見て回ることができる。
その次の部屋は、ここのイチオシ展示。
ミニチュアのカナルハウスの各部屋が、
17世紀から21世紀までの内装に設えられていて、
その中に、ペッパーズ・ゴースト映像が組み込まれている。
それぞれの部屋の窓の外に番号がついていて、
音声ディヴァイスに番号を入れると、サウンドが流れる仕組み。
ドールハウスやミニチュアの撮影なら任せなさい(笑)。
これは、17世紀の部屋で、画家が肖像画を描いているシーン。
地下の部屋は、17世紀のキッチン。
下働きの少年がチキンの羽をむしり、
前では野菜の準備をしたり、ローストにしたり。
時代は18世紀後半に移って、ここの屋敷は
銀行家Jan Willink(ヤン・ウィリンク)の住居だった背景から、
「大出資」のシーン。
彼はアダム・スミスの投資依頼に答えて、
アメリカ独立戦争を資金援助(投資)したのだとか。
これはその、18世紀のキッチン・・・だと思う。
時代は少し下がって、19世紀中頃・・・かな。
ダンスパーティーのシーン。
これは、20世紀前半のクチュリエのサロン。
で・・、現代の部屋はスルー(笑)。
壁に白く描かれた街並みの建物の所々に覗き穴があって、
その中には歴代のカナルハウスのインテリア画像が仕込まれている。
これは撮影、ほとんど不可能・・・。
次の部屋では、その「新開地」の壮大な模型。
背景には20世紀のカナルのニュースが流れ、
それがどこのエリアであって出来事か、が、
スポットライトで、ライトアップされる仕組み。
庭がみえるものの、真冬の庭は楽しくなかろう・・・、
というので、出てはいない。
これで、ここのハイテク展示は終わって、
下の階の修復された、18世紀後半~19世紀初頭の部屋を見て回る。
壁のパネルに田園風景を描くのは、18世紀の定番。
大屋敷といっても、建て込んだ街の中。
せめて壁にはトロンプ・ルイユで、
田園風景を偲んでいたのかもしれない。
隣の部屋では、写真の企画展が催されていた。
最後に建物の正面を。
Museum Het Grachtenhuis (カナル・ハウス博物館)
Herengracht 386, 1016 CJ Amsterdam
開館:火~日10:00am-17:00pm
月曜・4月27日・クリスマス閉館。
チケット価格は<このページ>で、スクロール・ダウン。
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