Saturday, 30 March 2013

St. Dunstan-in-the-West(聖ダンスタン)教会-London

今回は、昨年撮ったイメージで、ロンドンの法曹街Fleet Street(フリート・ストリート)にある聖ダンスタン教会。
正式には、The Guild Church of St Dunstan-in-the-West(組合教会、西の聖ダンスタン)ということになる。
このGuild Church(組合教会)という意味はよく知らないが、20世紀中ごろの信徒住民の減少で、信仰の場としてだけでは機能が成り立たなくなった教会に、コミュニティー・センターやら、コンサートホールやら、多機能を付け加えて、存続していけるようにした・・・その教会のこと、とかいう話。(特にGuild Churchと呼ばれていなくても、現在生き残っている教会は、すべてそうだと思うんだけれどな・・・・。)
これと関連しているのかどうかは定かでないけれど、ここの教会が「異色」なのは、アングリカン(英国教会)の教会と、ルーマニア・オーソドックス(正教)の教会を兼ねていること。
火曜日のランチタイムが、アングリカンの礼拝で、週末はルーマニア・コミュニティーのための、オーソドックス礼拝が執り行われている。
教会としての歴史は10世紀にもさかのぼり、現在の建物は19世紀に再建されたものだけれど、16-17世紀の彫像が残っていたりして、ロンドンど真ん中の少し不思議な歴史スポット。まずは、イメージで。

St. Dunstan-in-the-West
まずは外観。前は車通りの激しいフリート・ストリート。
現在の建物は19世紀にJohn Shaw卿の設計で再建築された。
オリジナルは、現在の車道のあたりに建っていたそうだが、
19世紀にフリート・ストリートの交通渋滞を緩和するべく、
車道が拡張された折に、取り壊されてしまった。
前に見えている時計が、17世紀のロンドン最古の公共の場の時計だとか。
この話は、また後ほど。

St. Dunstan-in-the-West
中に入ると、正面の比較的シンプルな祭壇がアングリカン用。
そう、アングリカンは一応プロテスタント(新教)なので、カトリックに比べると装飾は控えめ。
(つまらない、ともいう・・・笑)。
その、向かって左手にあるのが、ルーマニア・オーソドックスの祭壇。
オーソドックスは、カトリック以上にビザンティン様式が残っていて、
私的にはなんともいえず、懐かしい感じがするのだった。

St. Dunstan-in-the-West
で、つい撮影にチカラが入る。

St. Dunstan-in-the-West
オーソドックスの教会にはどこでも、
びっしり聖人さん達で埋め尽くされたパネリング(イコノスタシス)がある。
ロシア正教の場合、それがすなわちアイコンであったりして、実に美しい。
ここの場合、木彫装飾がとても美しい。
本家ルーマニア、ブカレストで制作で、Antim(アンティム)修道院から招聘されたものなのだとか。

St. Dunstan-in-the-West
しつこく、アップで。

St. Dunstan-in-the-West
壁には墓標が並ぶ。これは(誰だか知らないけど・・・)18世紀のもの。

St. Dunstan-in-the-West
これも、いかにも18世紀の天使。

St. Dunstan-in-the-West
Pulpit(講壇)のパネリング。17世紀フレミッシュのもの。

St. Dunstan-in-the-West
これも墓標で、18世紀後半にテムズ川で溺死した学生・・・か何かそんな背景だったと思う。
去年読んだので詳しくは覚えていないけれど、
とてもデリーケートにリアルな彫像で、本当にただ眠っているだけのよう。

15-175 copy
教会の外にでて、ここの教会で一番知られているのがこの時計。
1671年に旧教会に設置されたもの。
教会が1666年のロンドン大火から逃れたことを記念して、設置されたものと考えられている。

Chiming clock, with figures of giants -St. Dunstan-in-the-West
実はこの時計、チャイミング(時報を知らせる)時計で、
奥に建っている巨人2人が棍棒で鐘を殴る・・・という代物。
この巨人はGog(ゴグ)と Magog(マゴグ)と呼ばれ、旧約聖書やコーランにも現れる巨人族。
聖書では悪役なのだけれど、ロンドン市、ロンドン市長の守護神的にみなされてもいて、
なので、ここにも現れている。

Queen Elizabeth I statue -St. Dunstan-in-the-West
その時計の右側、少し入りこんだ敷地に中に、エリザベス1世の彫像が立っている。
もともとは、この土地に建っていたLudgate
(ラドゲート=ローマ時代以来18世紀まで残されていた、
London Wall=ロンドン壁の7つの門のひとつ)
に設置されていたもの。
1586年制作で、エリザベス1世生存中に制作された彫像で、唯一現存するもの。

Queen Elizabeth I statue -St. Dunstan-in-the-West
アップで。

King Lud and his two sons -St. Dunstan-in-the-West
その彫刻のちょうど下のあたり、薄暗く入り組んだところに建つラド王と2人の王子の像。
その後の汚染から、不気味・汚なっこいことになっているけれど、
これもエリザベス1世像と同時期、16世紀のものと考えられている。
Ludgate(ラドゲート)の語源は、このローマン・ブリテン以前の伝説上のブリタニア王、
ラドに由来するものなのだとか。


image by Wikipedia
最後に、1842年に描かれた、聖ダンスタン教会。
遠くに、クリストファー・レンのTemple Barが見える。

The Guild Church of St Dunstan-in-the-West
186a Fleet Street, London EC4A 2HR

地図:

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