リフレクション・イメージ
この前、フォト・コラージュをまとめて標本箱に詰め込んだのだけれど、<このページ>今回は、似て非なるもの、リフレクション・イメージ。
これは全然ポスト・プロセスのレイヤーとは関係なく、単にガラスや鏡に写りこんだイメージの写真。
ショウ・ウィンドウの中のものなどを撮りたくて、でも、外の天気がよくて、映り込みが激しく、何がなんだかわからなくなってしまうことがある。
フォトグラファーとしては、ポラライザー・フィルターをつけたりして、なんとか映りこみを防ぐ努力をするはめになる。
ところが、ときどき自分の中の天邪鬼が、この映り込みを使って、レイヤーイメージにしてやろうではないか、と、思い立つ。
ただの「映り込みが激しくなってしまった写真」と、「映りこみを利用した写真」の差は、ひとえにその被写体と構成による・・・と、感じている。
以下は、なんとか「映りこみ」を利用できたかな・・・という例。
自分的に一番のお気に入り。
Bedfordの町の、教会の向かいのカフェの中から撮影。
冬だったので、外はすでに薄暗い。カフェの中は暖房がきいていて、ウィンドウがスチームで曇っている。
カフェのライトが、外の薄暗さとはコントラストのきいたオレンジ系。
この、コントラストが、一枚のイメージにすりあわされていく・・・
というのが、リフレクション・イメージの面白さではないか・・などと。
Tate Britain所蔵、Alfred Gilbert作、Icarus(イカルス)の彫像。
博物館で、作品を撮りたいのに、ライティングが激しく写りこむこと多し。
このときは、映り込みを避けると、作品の構図が面白くなくなって、実に撮りにくい状態。
やけになって、わざと映りこみのアングルを、激しくいれてやった。
説明カットとしては、全然使い物にならないけど・・・(笑)。
これは、カーディフ国立博物館所蔵の、セラミックを撮っていて、
採光用のドーム屋根が、きれいに写りこんでいることに気がついた。
ポロックおもちゃ博物館にて。
アングルを調整して、照明のリフレクションと、小さな人形の目線を合わせる。
ブダペストの街のショウウィンドウ。
写りこむ街の建物が、特徴的だと、リフレクション・イメージに効果的。
ノルマンディーのトゥルーヴィルの町のショウ・ウィンドウ。
町並みと、「レトロな洋服やさん」のイメージを両方撮り込みたかったけど、
町並みの方が、少し強く出すぎてしまった・・・。
これも同じトゥルーヴィルの町、ブロカンテ屋のウィンドウ。
中外のイメージのバランスがちょうどいい。
Clapham Janction近くのNorthcote Roadにあるパブ。
パブの名前が浮き出した、すりガラスが窓に使われている。
すりガラス越しに、中の照明が赤く透けていて、
クラッパムの古い町並みが映りこんで・・・3重のイメージ。
Bow Laneのパブ。
パブは照明がオールドファッションドなことが多いので、被写体に使いやすい。
前の建物も雰囲気があれば、映りこみ写真に最適。
もう一度博物館に戻って、パリ工芸技術博物館の、エントランス階段に展示された機械。
デコラティヴな手すり部分と窓を、機械のイメージの中に映りこませる。
同じくパリ工芸技術博物館より。
展示室のキャビネットが古めかしくて、手流しガラス板独特の、うなうなしたテクスチャーが面白かったので、
その「うなうな」感がよく出る角度で撮影。
新しい機械生産のガラスだって、何枚も並んだところを、角度をつけてみると、かなり「うなうな」している。
モダンなガラス張りのビルに、古い建造物を映し出す・・・というコントラストは、
リフレクション・イメージの定石。モダン嫌いの私はあまりやらないけど(笑)。
ブダペストの街にて。このガラスも古そう、そして、二重窓。
全体のセピア調のトーンの中に、淡い水色ブルーの映り込みをアクセントに使う。
これもブダペストの街。
窓ガラスが二重窓だと、リフレクションが複雑化して面白い効果が出る。
二重窓多用の、ブダペストならでは・・・。
取引先Bardoe&Appelのお店より。
リフレクションの最たるものといえば、鏡。
鏡の場合、フレームがあるので、このフレームを画面の構成に活用する。
これもミラーを使って。ジェフェリー博物館のインテリアの展示室。
凸面鏡なので、ミラー自体のディティールのイメージに対して、うまくコントラストする、
室内全体のイメージが捉えられる。
カーディフの街のアーケード。
ミラーの区切りで、イメージがモザイク状になるのと、
合わせ鏡状態で、ランタンが無限に続く・・・ように見える位置を上手く探し出す。
ペーターおじさんのアネックスの窓。
・・・の、横には幅の狭い長いミラーがかかっている。
ミラーにインテリアの中心を映しこんで、外の田園風景とコントラストさせる。
ペーターおじさんのシャトーの屋根裏。
フレームとして使う以外に、古いミラーなら、ガラス同様テクスチャーが生きる。
ペーターおじさんのシャトーの書斎。
おじさんの家は、古いミラー素材に事欠かない・・・。
これも、ペーターおじさんのシャトーの正面門と、その横の堀割り池。
あと、リフレクションといえば、水面。
ここでは、浮き球が漂っているので、門柱のデコレーションとうまくコントラストになった。
友人の家のコンサーヴァトリーにて。
水面と同様の効果を出せる、ガラスのテーブル。
ちょうど明るい日で、光がきれいに出た。
このリフレクションイメージ、フォトグラファーの「定石」でもあるので、いろいろ上手く捉えたイメージが、フォトシェア・サイトFlickrでも見つけられる。
次回は、私の見つけたナイスなリフレクション・イメージ、借り物写真で構成の予定。
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