Monday, 23 May 2011

ハンガリアン・ジュエリー - 19世紀以降

ハンガリアン・ジュエリー・シリーズの最終回は、19世紀のジュエリーを、ブダペストのハンガリー国立博物館(Hungarian National Museum)と、Museum of Applied Art(工芸博物館)から。
19世紀全般は、比較的汎ヨーロッパ的なというか、あまりハンガリーとしては、特徴のないもの。19世紀後半から、ナショナリズムの台頭が背景にあるのだろう、ハンガリー民族主義的なデザインが現れる。イギリスやフランスで言えば「ゴシック・リヴァイヴァル」ということになる。(言い換えれば、ゴシックは・・・、イギリスやフランスの「民族主義」的モチーフ、ということ・・・。)
Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
このタイプのデザインは、これまだ汎ヨーロッパ的。見ただけではどこ製なのか、私には解らない。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
これは19世紀といっても初期で、まだまだ18世紀のスタイルを踏襲しているペンダント。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
全ヨーロッパ的流行の、カット石のコサージュ・デザイン。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
これは、ガーネットだと見て解る・・・、ブレスレット。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
メタルのスタンンピング・パーツのブローチ。
シート状のメタル板を、金型で打ち抜いて、立体成型する。
19世紀から、世界的に機械生産のメタルパーツが使われるようになってくる。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
これは、スタンピングの型抜きリボンを、手加工で曲げている・・・と思う。
そして、エナメル加工、これは、ハンガリー得意技のことと。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
メタルのスタンピング・パーツと、珊瑚彫りの花を組み合わせたブローチ。
ゴールドカラーとターコイズ、ゴールドカラーと珊瑚で花や鳥など、
自然のモチーフを取り入れたデザインは、19世紀中頃の全ヨーロッパ的流行。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
セットのイヤリング。ブローチより小型の、同じデザインのメタルパーツが使われている。
右の珊瑚の花がなくなっているのは別として、少しイヤリングとしては奇妙。
なぜなら「左右対称の反転イメージ」にはなっていないので。
スティール製のスタンピング抜き型は高価なので、左右対称にもう一型作るのは、コストパフォーマンスにあわない。
なので、同じパーツを使って済ます・・・というのは、「量産品」の法則。
私は、量産工場のデザイナー出身なので・・・これぐらい平気ですよ^^。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
その、ターコイズのコサージュ。
それにしても・・・この「細かさ・みっちりさ」は、ハンガリー的・・・かもしれない。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
このカメオはムアニング(追悼)・ジュエリーで、ハンガリーを愛したオーストリア・ハンガリー帝国皇后のエリーザベト
を追悼したブローチ・・・・なのではないかと、これはかなり想像。
閉館が迫っていて、ちゃんとキャプションを見ていない・・・見ても往々にしてハンガリー語、ゆえに、未確認情報。
10ポインテッドではないが、「シッシーの星」もついていることだし・・・?

Hungarian 19th century ceramic  jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
これは20世紀末~20世紀初頭のセラミックのブローチ。
あまり見かけたことがない。アールヌーヴォーからセセッションにかけての雰囲気。
このこってりとした、中東っぽいエキゾティシズムが、ハンガリー的。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
アールヌーヴォー的なデザイン。ハンガリー得意のエナメル。

Hungarian 19th century jewellery
ハンガリー国立博物館 所蔵
アールヌーヴォー期にPlique-a-jour(プリカジュール)という技法のエナメル細工が流行する。
この葉のモチーフの部分に用いられているような、エナメル材で金属ワイヤーを埋めて、繊細なステンドグラス状にする技法。

パリのの、ラリーク(R.J. Lalique)が有名。以下はMuseum of Applied Artで、見つけたラリーク。

Pendant with chain, R.J. Lalique, Paris, around 1900

R.J. Lalique, Paris, around 1900

ハンガリーはエナメル細工に特化していたにもかかわらず、プリカジュール技法は、あまり見かけなかった。
以下は、Oszkár Tarján(1875-1933)というアーティストのエナメル・ペンダント。

Pendant, Oszkár Tarján, Budapest, around 1900
Museum of Applied Art所蔵

Pendant, Oszkar Tarjan, Budapest, around 1904
Museum of Applied Art所蔵
エキゾティクでこってりしたスタイルには、プリカジュールの繊細さは向いていないのかな・・・?

Comb, Oszkar Tarján, Budapest, 1904
Museum of Applied Art所蔵
同じくOszkár Tarjánのセセッションスタイルの髪飾り。

Buckle for a ladies 'mente', Gyula Hary, Budapest around 1904
Museum of Applied Art所蔵
エネメル細工のバックル。1904年Gyula Háry作。

Bracelet, Gyula Háry - Samu Hibján, Budapest, 1899-1900
Museum of Applied Art所蔵
同じくGyula Háry 1899-1900作のブレスレット。
やはり、最もハンガリアン的というと、このエナメル細工にカット石というスタイルになるのだろうな。
ハンガリー国立博物館(Hungarian National Museum)の情報は<このページの最後

Museum of Applied Art(工芸博物館)の情報は<このページの最後

次回は、ブダペスト郊外の街Szentendreのイメージ。

Labels: