ハンガリアン・ジュエリー -17世紀・前編
前回に引き続き、17世紀のハンガリー・ジュエリーを、ブダペストのハンガリー国立博物館(Hungarian National Museum)と、今回はMuseum of Applied Art(日本語訳は工芸博物館・・・だろうか?直訳すると応用芸術、つまり、「使用できる」芸術作品。なので、工芸なんだろうな。)から。
ヨーロッパのジュエリーは、16世紀のルネッサンス期に大型のデザインになっていって、17世紀にはやや小ぶりの繊細なデザインに移行していく場合が多いのだが・・・、ハンガリアン・ジュエリーは、16世紀にもましてボリューム倍増・・・の、パワフルな装飾主義。
Hungary, Museum of Applied Art所蔵
ルビーのエメラルドカットの石、エナメル細工、パール使いは、
ルネッサンス期のジュエリーからそのまま引き継いでいるが、サイズは大型化。
Hungary, Museum of Applied Art所蔵
ざっとJa.wikiを拾い読みしたが、この頃のハンガリー、オスマントルコ、ハプスブルグ家のみならず、このカルヴィニスト(プロテスタント)のトランシルヴァニア公も入り乱れて、複雑な政治状況の模様で・・・私には、ほとんど判読不明・・・。
さらに、不思議に思うのが、そのように政情不安定な状態の中で、装飾芸術は明らかに進展していっているということ。まあ、専門分野でない歴史的背景は置いておいて、ヴィジュアルに専念しよう。
Hungary, Museum of Applied Art所蔵
モチーフになっているのは、ペリカン。
胸を傷つけて、自らの血で雛を育てるという伝説が中世以来あって、キリストの象徴とされている。
ハンガリー国立博物館 所蔵
これもペリカン。
ハンガリー国立博物館 所蔵
この繊細・複雑な曲面を持つ、花びらや葉のモチーフに、パターン入りのエナメル細工が施されている。
高度なエナメルの技術に感嘆・・・。
ハンガリー国立博物館 所蔵
これも、レースのリボンをエナメルで表現している。
ハンガリー国立博物館 所蔵
エナメル、石留め・・・どういう工程で製作するのか、想像も付かない。
ハンガリー国立博物館 所蔵
リボンの裏にもエナメル細工、それも模様入り。
ハンガリー国立博物館 所蔵
エナメル技法の好例。ほとんど立体の所にエナメル。
ハンガリー国立博物館 所蔵
このプツプツした粒々も、エナメルなんだろうな・・・。
多分、先にエナメル細工をかけて、その後石留めするのだろうが、
このまわりの粒々を傷めないように気をつけながら、石留めするわけだ・・・。
ちなみに、エナメルは傷めると修復不可。現在でもアンティーク業者泣かせの素材。
ハンガリー国立博物館 所蔵
これはなんとなく可愛らしかったので・・。
いままで、こんなにエナメルに特化したジュエリー群を見たことがなかった。
もう余計な解説抜きで、どんどんお見せしよう。
ハンガリー国立博物館 所蔵
ハンガリー国立博物館 所蔵
ハンガリー国立博物館 所蔵
ハンガリー国立博物館 所蔵
ハンガリー国立博物館 所蔵
ハンガリー国立博物館 所蔵
ハンガリー国立博物館 所蔵
ハンガリー国立博物館 所蔵
ハンガリー国立博物館 所蔵
ハンガリー国立博物館 所蔵
要は・・・エキゾティックだということ。ビザンティン由来の装飾文化に、トルコ径由でインドやペルシャの宝石、エナメル加工技術が上乗せされた・・・そんな印象を受ける。
次回は、17世紀のハンガリアン・ジュエリーの後編。もっとエキゾティクなものを展覧予定。
ハンガリー国立博物館の情報は、前回の標本箱の最後に。<このページ>
以下は、Museum of Applied Artの情報。
Museum of Applied Art(工芸博物館)
住所:H-1091 Budapest, Üllői út 33-37
開館:10am~6pm (月曜日 閉館)
入場料: 大人 2500HUF (£8.3) 別料金なしで写真撮影可。
View Larger Map
Labels: アート/デザイン
<< Home