Hever Castle(ヒーヴァー・カースル)-1-
コロナ騒動で、今年は10年近く夏恒例になっていた、ノルマンディーホリデーも、ほぼキャンセル確定。
フランスとの行き来で、2週間の自主隔離の制約がなくなったら、もしかすると遅い夏か秋に「知り合いの『老人』のお手伝いに行く必要がある」ということで、ペーターおじさんの様子を見に行くことはあるかもしれないけど。
ちなみに、おじさんは相変わらず元気。フランスの方が制約もすでにゆるくなってきているので、お友達の家の庭で5-6人集まってランチパーティーしている写真が、そのお友達から送られてきた。
いいなぁ、UKはまだ2m離れてないといかんのですよ(フランスは1m)。それにしても、あんまり2mに根拠は感じられないのだが。
で、UKもようやく6月15日から、公共交通に乗る時はフェイス・カヴァーが強制になる予定。(普通に暮らしている分には、UKはフェイスカヴァーを推奨していない。)
私は、マスクしない派だけれど、こんな事もあろうかと、自分でデザインしてプリントしてもらったフェイス・カヴァーを作っておいたので、それらがやっと日の目を見る日も来るかも・・・(笑)。

ふふふ・・・こんなゴスなやつね。
コロナより、現在絶賛全開中の芝花粉対策に最適かも。
閑話休題で、本題へ・・・・。
今回からは、昨年の9月に訪れた、ロンドンから50kmほど南東に出たケント州にあるお城、Hever Castle(ヒーヴァー・カースル)のイメージを。(現在は、ロックダウンで閉館中。6月1日からガーデンのみが再オープンしているそう。)
13世紀に由来するこの城は、16世紀にはヘンリー8世の2番めの妃だった、(Anne Boleyn)アン・ブーリンの一家の居城だった後、そのヘンリー8世の所有となり、ヘンリー8世の4番目の妃Anne of Cleves(アン・オヴ・クリーヴス)に、離婚の際の離婚手当の一部として授与される。なので、ヘンリー8世とはなにかと、ゆかりのあるお城。
その後何人ものオーナーの手を経て、維持が困難になり荒廃していたところを、20世紀初頭にアメリカのアスター財閥の一人である、William Waldorf Astor(ウィリアム・アスター )のイギリスの居城として買い取られて、壮大なイタリア式庭園が付け加えられて、復興された。
現在は、アトラクション・マネージメントの企業の所有で、ツーリスト・アトラクションとして城と庭が公開されている他に、ホテル・式場・スパ・ゴルフクラブなどがあわせて運営されている。

こういうお城は車がないといけないところが多いのだけれど、
ここの場合、もよりの鉄道駅、Hever(ヒーヴァー)がある。
この駅を降りると、馬君のいる草地や、コテージの間を抜けて、
カントリーレーンを20分強歩く。
(カントリーレーンとはいうものの、
お城に向かう車の量も多い道なので、
ちょっと忙しないけれど。)

キング・ヘンリー8世というパブが見えてきたら、
お城はすぐその先。

このゲートが敷地へのエントランス。
入ってすぐの小屋で、入場料を払う。

ゲートのエントランスから、お城までまた200mほど。
その間にショップやら、カフェもある。

外堀の橋をこえて、

まずはお城へ。

その左側に、テューダー・スタイルの建物が並んでいる。
これが現在は、ホテルや式場として使われている。
テューダー・スタイルだけれど、実際に建てられたのは、
20世紀に入って、ウィリアム・アスターの改修時で、
屋敷を維持するスタッフ(使用人)の住居に充てられていた。

Portcullis(落とし格子)も嵌められて、
本格的に中世の状態が再現されている。

中庭部分。
右に見切れているけれど、
ヴァインに取り巻かれたところが、エントランス。

目が慣れるまでは、暗い印象のホール。
この左手部分が・・・、

Inner Hall (内ホール)と呼ばれる部屋。
テューダー時代にはキッチンとして
使われていた部分だそう。
当時使われていた巨大なキッチン暖炉は、
19世紀の荒廃していた時期に
崩れ落ちてしまったので、
現在には片鱗を残していない。

上の写真の柱や、この華麗なパネリングは、
ルネッサンス風に見えるけれど、
20世紀初頭の修復時に導入されたもの。


この部屋に掛かるアン・ブーリンの肖像画。
Holbein(ホルバイン)の肖像画の、後年の模写。

その横に連なる部屋は、ドローイングルーム。
20世紀の改装時のもの。
もともとは、キッチンに連なる
食品倉庫として使われていた。

改装後は、アスター一家の居間となった。

このインレイのパネリングは、
Frank Loughborough Pearsonのてになるもので、
ゴシック・リヴァイヴァルの建築家、
John Loughborough Pearsonの息子なのだそう。

その次の部屋は、Dining Hall(ダイニング・ホール)。
テューダー期には、この部屋がグレート・ホール(大広間)
として使われていたのだそう。

この、リネン・フォルド(布を折りたたんだパターン)のパネルや、
重厚な暖炉の粧飾はいかにもテューダー?と思わせて・・・、
しかし、これらもやはり、20世紀初頭のものだそう。
暖炉にはブーリン家の紋章まで入っているのだけれど。
その左、窓の下にある地味な棚が、16世紀以来のもの。
ここにピューターの食器などを飾った。

その、リネン・フォルドのパネル。
よく見ると、明らかに16世紀のものではなくて、
19世紀のもの。華やかすぎるのだった。
ちなみに、16-17世紀本物のパネリングは
Ightham Mote (アイタム・モート)で見ることができる。
(標本箱は<このページ>。)

このキャビネットも、多分リヴァイヴァル。

部屋の外のホールの、教会のクアイヤ席風のベンチ。

リヴァイヴァルだけれど、
ルネッサンス・スタイルのレリーフ装飾がとても華麗。
Follow up: いやいや、これはリヴァイヴァルではなかった・・・。
後で調べているうちに、これは次回に出てくる、
16世紀由来の「エントランス・ホール」に置かれていたもので、
15世紀のイタリア製のまさしくクアイヤ席だと判明。

順路の次の部屋は、ライブラリー。

暖炉の上の肖像画が、18世紀の・・・、
イギリス人ではなくて、
やはりJohn Jacob Astor、
アスター財閥の礎を築いたご先祖様だった。


その次の部屋はMorning Room(朝の部屋)と呼ばれていて、
テューダー期には、家族の居間として使われていた。
最初からずっと、これはリヴァイヴァル、
20世紀初頭の復興時のもの・・・と、
ばっかり書いているけれど、
じゃあ、本当に16-17世紀ってどんなものか、
というと、それがこの部屋に残っている。
この部屋の暖炉とパネリングが17世紀。

19世紀よりも、ずっと素朴、無骨で、
そこに、強さと深い味わいがある。
この部屋展示されているのは、
Tudor turner's chair(テューダー・ターナーズ・チェアー)
のコレクション。
テューダー期のスタイルらしいけれど、
どうもウェールズの椅子から、採られているらしい。
この辺の変遷は、
あまりまだ詳しくないのだけれど。

パネリングをクローズアップで。


その窓辺。
次回も引き続き、このお城から。
Hever Castle(ヒーヴァー・カースル)
開館情報は英文で<このページに>
(2020年6月4日現在は、
コロナ拡散防止のロックダウンで、
庭園のみオープン。)
Map:
*************************
by KotomiCreations
KotomiCreations - Contrado shop item detail
(デジタル・プリント雑貨 - コントラド・アイテム詳細)
Page1, Page2
Labels: 場所
<< Home