Osterley House(オスタリー・ハウス)-1-
また今週も、ロンドンは熱波まっただ中。
日本からの友人と一緒になっての、観光三昧が終ったにもかかわらず・・・、雑用やら撮影仕事で、なかなかヴェニス旅行の写真のポスト・プロセスが進まなくって、これはもう来月のノルマンディー滞在の時にでも取りかかるしかないかー、という状態。
ひとまず今回からは、今年の5月後半に訪れたロンドン郊外のナショナル・トラストの屋敷、Osterley House(オスタリー・ハウス)のイメージを。
この屋敷は、元々は財政家Sir Thomas Gresham(サー・トーマス・グレシャム)(←「悪貨は良貨を駆逐する」の「グレシャムの法則」をエリザベス1世に提言した人)が、16世紀に建てたテューダー様式の屋敷だった。
200年後に荒廃した屋敷を、債務不履行の差し押さえで、銀行家Francis Child(フランシス・チャイルド)が入手し、その孫にあたるフランシスとロバートが、18世紀中頃のネオ・クラシカル様式で、売り出した建築家Robert Adam(ロバート・アダム)に発注して、当時の最もトレンディな様式に大改装されたもの。
一番便利なアクセスは、地下鉄ピカデリー線のOsterley(オスタリー)駅。
そこからだと、この入口ゲートまで徒歩7分。
私達はセントラル ロンドンからではないので、
鉄道Isleworth(アイルワース)からここまで、徒歩20分のコースで行ってみた。
入り口ゲートから入ると、まだ並木道が続き、
敷地内を屋敷まであと800m(12分ぐらい)歩く。
左に牧草地が広がり、牛がのんびり草を食べている。
ここはロンドン?とカントリーサイドにワープしたような気分になる。
その先にやがて池が見えて、そのまた先に屋敷が姿をあらわす。
このあたりは、ナショナルトラストの会員でなくても、
入場料を払わなくても、誰でも入ってくることができる。
チケット/会員カードが必要なのは、屋敷の見学と、
屋敷の裏側の、ナショナルトラストの庭に入りたい時だけ。
なので、ローカルの人達の公園としても機能している。
池には鴨とヒナ達。
遅咲きの桜。
そのお屋敷を真正面から。
16世紀に元々建てられたときは、典型的なテューダー様式の、
コの字型のレイアウトだった。
ロバート・アダムは、そのコの字型の開口部分に、
Palladian(パラディオ)様式のPortico(ポーティコ)をおっ建てて、
ネオ・クラシカル様式の屋敷にすり替えてしまった。
さすがアダム先生、見事なお手並み・・・。
そのポーティコの内側、つまり中庭側からのヴュー。
ポーティコの天井部分の、スタッコ(漆喰装飾)。
教科書に出てきそうな、ネオクラシカル。
端正なエントランスホール。
この装飾パネルのパターンは、アダムがグランドツアー
(ヨーロッパ大陸見学旅行)の際に、ローマの屋敷で記録してきた
モチーフから採られているそう。
と、いうような解説が、この後の部屋で展示されている。
同じ部屋に展示されている、アダムのオスタリー・ハウスのプラン。
ほぼ現在の形に近いもの。
屋根に彫像が建つ代わりに、ファサードのペディメント(破風)に
装飾レリーフが入った様子。
なかなか面白かった、解説室。
意外とシンプルな主階段、
だけど、豪華な天井画入り。
その次の部屋。
表面保護のためかなり薄暗い部屋で、撮影苦戦中。
スタッコ装飾パネル+装飾画の組み合わせが続く。
天井装飾。
ドアノブを始めとして、いたるところに菊の紋章・・・
じゃなくて、マリーゴールド(キンセンカ)のモチーフが使われている。
これは、アダムに建築デザインを発注した施主の、
チャイルド家の紋章(というか、商標)だったからだそう。
このチャイルド家は、金細工業で成功し、後に金融業に転化していったが、
Child & Co.(チャイルド&Co.)銀行となってからも、
ちなみに現在も、Royal Bank of Scotland Group
プライベート・バンク(富裕層の資産運用を主とする銀行)として存在している。
ロング・ホールというか、ギャラリー。
ちょうどエントランスホールの裏面にあたる。
ここを訪れるちょうど2ヶ月前に立っていた、
ヴェニスのPalazzo Ducale(ドゥカーレ宮殿)のコートヤードを描いた絵画。
「実際より奥行きが誇張されているような・・・」とか言いながら見ていた。
次の部屋は、こういうのもアダムだったんだーと思わせる、
意外なコテコテぶり。
カーペットもオリジナル(のリプロだったかな・・・)で、
中央の楕円にキンセンカのモチーフが、天井と対応している。
その天井。キンセンカづくし。
このあたりの天井のパターンの「濃さ」も、イタリア的といえるかも。
マーケトリーのキャビネット。
と、いうところで、次回(ちょっといつになるやら・・・だけど)に続きます。
次回はお屋敷の続きと、庭やカフェのエリアを。
Osterley House(オスタリー・ハウス)
地図:
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