Wedgwood Factory tour (ウエッジウッド工場見学ツアー)
今回からは、昨年(2014年)の5月に、これまた某サイトの取材で訪れた、中部イングランドの陶器の街Stoke-on-Trent(ストーク・オン・トレント)のイメージを。
17世紀以来、ロイヤルドルトン、スポード、ウェッジウッド、ミントンの所在する陶器・窯業の街として、世界的に知れわたってきた街なのだけれど、UKの製造業衰退に伴って、次々に窯元が消えていったり、海外に製造を移したり、他資本に買収されたりと、斜陽化の一途をたどってしまった。
その最大のブローが、2008年の世界金融危機の煽りを受けて、2009年1月にウェッジウッド社が事実上の倒産(法定管財人管理申請)となったこと。しかし幸いにも、3ヶ月後にはUSAの、KPS キャピタルパートナーズ社傘下の新会社WWRD Holdings Limitedによって、救済買収される。
この前後の時期が、この街の「どん底」期で、イギリス中~北部というと、陰気なやるせない感がつきまとっていた。
そのストーク・オン・トレントが、近年「どん底」から立ち上がって、とりわけUSAからの資本流入や、UKでの歴史遺産保存運動の支援を受けて、再生しつつあると聞いた。それを実際に目で見て、肌で感じるべく、の、ストーク・オン・トレント取材だった。
まず最初は、そのウェッジウッド社のヴィジター・センターの取材。
inage source: http://www.artfund.org
外観はいきなり借り物写真。
今月(2015年7月)17日に、ミュージアム部がリニューアルオープンする。
(その関連記事は英文で<このページ>)
ここの、広大な敷地の中に、歴史的製品を展示する博物館、
直売ショップ、ファクトリー・アウトレット・ショップ(廃番品・B品の販売)、
ティールーム、工場が収まっている。
これはミュージアム部。
(一般ヴィジターの撮影は禁止されていたと思う・・・。)
リニューアルされたそうなので、展示は現在は変わっていることと。
初代ジョサイア・ウェッジウッドの時代から、現代に至るまで、
時代別に代表的な製品が、展示されている。
さて、ここからが工場見学のツアー。
(同社サイトでの英文案内は<このページ>)
生地モールド型のいろいろ。
生地モールド型は、こんな風な箱形にきっちり、上下が合わさる。
この釜で、生地を最初のビスケット焼きする・・・だったと思うけれど、
ちょっとこの辺りのディティールは、私の記憶が怪しい・・・。
次のエリアでは、焼成と下釉薬がけのすんだ製品に、
プリント柄を入れる過程の解説。
黄色いフィルムにプリントされたシートを、水で貼り付ける。
これをもう一度焼成にかけると、シートは焼き切れて、
パターンが製品に、融着する。
次のエリアでは、ウエッジウッドの代表的な製品、
ジャスパーウェアの装飾工程が見学できる。
ここでは、装飾用のレリーフを、石膏モールドからおこしている。
粘土の装飾用のレリーフが、乾いてしまわないように、
湿らせた台の上に並べられる。
ここでは、大型の装飾レリーフを修正して、完璧な形に。
スポンジと水で、装飾レリーフを生地に貼り付けている。
これはまた別のセクションで、ここでは、金彩を手描きで施している。
こ・・・細かい。
工場見学の次は、職人芸を身近に見学できるブースや、
別途料金で、ヴィジターも制作できるコーナーのあるスタジオへ。
このデスクでは、ヴィジターがいろいろなウエッジウッド・オリジナルの
プリントパターンを、貼り付けて、独自のデザインを作ることができる。
出来上がると、こんな風になる。
「重ねて貼り付けちゃだめなの?」と、
つい、余計なアイディアを聞いてみるが、
「上のシートがうまく融着できないので、ダメ」とのことだった。
焼付けされて出来上がったものは、送付してもらえる。
これはエナメル彩を入れる実演で、まずエナメルになるガラス粉を練っているところ。
筆にたっぷり盛って、描くというよりは乗せこんでいく。
この時に色々マニアな質問をしていたら、
大学で漆工芸をやっていたことがバレて・・・、
「じゃあ」というので、特別実地体験させてもらうことに。
これが、通常の着彩と違うテクニークで、なかなか面白かった。
結果、チーフ職人のおばさまに「スジがいいから、いつでも丁稚にいらっしゃい。」
と、オスミツキをいただく。
しかし、正規の職人に合格するためには、キレイに描けるだけでなくて、
例えばこの皿なら、コンスタントに20分で完成させるノルマがあるそう。
完成度とスピードと持続力が揃っていないと、勤まらない仕事だと痛感。
最後は、ティールームでアフタヌーンティーの取材。
器はもちろん、すべてウエッジウッド製品。
従業員の皆さんが、気持よく、楽しげに働いている雰囲気がとても印象的で、
「いやぁ、ストーク・オン・トレント明るいよねぇ」と、
隊長ともども感銘を受けたのだった。
Wedgwood Visitors Centre - The World of Wedgwood
(ウエッジウッド・ヴィジター・センター -
ワールド・オブ・ウエッジウッド)
Wedgwood Drive, Barlaston, Stoke-on-Trent
Staffordshire, ST12 9ER
公共交通は1時間に1本のバスがある・・・らしいが、
鉄道ストーク・オン・トレント駅からは、タクシーがおすすめ。
タクシーで15分、片道£10-12。
ヴィジター情報は英文で<このページ>
博物館の入場料:大人 £10
地図:
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