Monday 13 July 2015

Wedgwood Factory tour (ウエッジウッド工場見学ツアー)

今回からは、昨年(2014年)の5月に、これまた某サイトの取材で訪れた、中部イングランドの陶器の街Stoke-on-Trent(ストーク・オン・トレント)のイメージを。

17世紀以来、ロイヤルドルトン、スポード、ウェッジウッド、ミントンの所在する陶器・窯業の街として、世界的に知れわたってきた街なのだけれど、UKの製造業衰退に伴って、次々に窯元が消えていったり、海外に製造を移したり、他資本に買収されたりと、斜陽化の一途をたどってしまった。
その最大のブローが、2008年の世界金融危機の煽りを受けて、2009年1月にウェッジウッド社が事実上の倒産(法定管財人管理申請)となったこと。しかし幸いにも、3ヶ月後にはUSAの、KPS キャピタルパートナーズ社傘下の新会社WWRD Holdings Limitedによって、救済買収される。
この前後の時期が、この街の「どん底」期で、イギリス中~北部というと、陰気なやるせない感がつきまとっていた。
そのストーク・オン・トレントが、近年「どん底」から立ち上がって、とりわけUSAからの資本流入や、UKでの歴史遺産保存運動の支援を受けて、再生しつつあると聞いた。それを実際に目で見て、肌で感じるべく、の、ストーク・オン・トレント取材だった。

まず最初は、そのウェッジウッド社のヴィジター・センターの取材。

wedgwood-visitor-centre
inage source: http://www.artfund.org
外観はいきなり借り物写真。
今月(2015年7月)17日に、ミュージアム部がリニューアルオープンする。
(その関連記事は英文で<このページ>)

ここの、広大な敷地の中に、歴史的製品を展示する博物館、
直売ショップ、ファクトリー・アウトレット・ショップ(廃番品・B品の販売)、
ティールーム、工場が収まっている。

Wedgewood Factory Tour
これはミュージアム部。
(一般ヴィジターの撮影は禁止されていたと思う・・・。)
リニューアルされたそうなので、展示は現在は変わっていることと。

Wedgewood Factory Tour
初代ジョサイア・ウェッジウッドの時代から、現代に至るまで、
時代別に代表的な製品が、展示されている。

さて、ここからが工場見学のツアー。
(同社サイトでの英文案内は<このページ>)

Wedgewood Factory Tour
生地モールド型のいろいろ。

Wedgewood Factory Tour
生地モールド型は、こんな風な箱形にきっちり、上下が合わさる。

Wedgewood Factory Tour
この釜で、生地を最初のビスケット焼きする・・・だったと思うけれど、
ちょっとこの辺りのディティールは、私の記憶が怪しい・・・。

Wedgewood Factory Tour
次のエリアでは、焼成と下釉薬がけのすんだ製品に、
プリント柄を入れる過程の解説。

Wedgewood Factory Tour
黄色いフィルムにプリントされたシートを、水で貼り付ける。
これをもう一度焼成にかけると、シートは焼き切れて、
パターンが製品に、融着する。

Wedgewood Factory Tour
次のエリアでは、ウエッジウッドの代表的な製品、
ジャスパーウェアの装飾工程が見学できる。

Wedgewood Factory Tour
ここでは、装飾用のレリーフを、石膏モールドからおこしている。

Wedgewood Factory Tour
粘土の装飾用のレリーフが、乾いてしまわないように、
湿らせた台の上に並べられる。

Wedgewood Factory Tour
ここでは、大型の装飾レリーフを修正して、完璧な形に。

Wedgewood Factory Tour
スポンジと水で、装飾レリーフを生地に貼り付けている。

Wedgewood Factory Tour
これはまた別のセクションで、ここでは、金彩を手描きで施している。

Wedgewood Factory Tour
こ・・・細かい。

Wedgewood Factory Tour
工場見学の次は、職人芸を身近に見学できるブースや、
別途料金で、ヴィジターも制作できるコーナーのあるスタジオへ。

Wedgewood Factory Tour
このデスクでは、ヴィジターがいろいろなウエッジウッド・オリジナルの
プリントパターンを、貼り付けて、独自のデザインを作ることができる。

Wedgewood Factory Tour
出来上がると、こんな風になる。
「重ねて貼り付けちゃだめなの?」と、
つい、余計なアイディアを聞いてみるが、
「上のシートがうまく融着できないので、ダメ」とのことだった。
焼付けされて出来上がったものは、送付してもらえる。

Wedgewood Factory Tour
これはエナメル彩を入れる実演で、まずエナメルになるガラス粉を練っているところ。

Wedgewood Factory Tour
筆にたっぷり盛って、描くというよりは乗せこんでいく。
この時に色々マニアな質問をしていたら、
大学で漆工芸をやっていたことがバレて・・・、
「じゃあ」というので、特別実地体験させてもらうことに。
これが、通常の着彩と違うテクニークで、なかなか面白かった。
結果、チーフ職人のおばさまに「スジがいいから、いつでも丁稚にいらっしゃい。」
と、オスミツキをいただく。
しかし、正規の職人に合格するためには、キレイに描けるだけでなくて、
例えばこの皿なら、コンスタントに20分で完成させるノルマがあるそう。
完成度とスピードと持続力が揃っていないと、勤まらない仕事だと痛感。

Wedgewood Factory Tour
最後は、ティールームでアフタヌーンティーの取材。
器はもちろん、すべてウエッジウッド製品。

従業員の皆さんが、気持よく、楽しげに働いている雰囲気がとても印象的で、
「いやぁ、ストーク・オン・トレント明るいよねぇ」と、
隊長ともども感銘を受けたのだった。



Wedgwood Visitors Centre - The World of Wedgwood
(ウエッジウッド・ヴィジター・センター -
ワールド・オブ・ウエッジウッド)

Wedgwood Drive, Barlaston, Stoke-on-Trent
Staffordshire, ST12 9ER

公共交通は1時間に1本のバスがある・・・らしいが、
鉄道ストーク・オン・トレント駅からは、タクシーがおすすめ。
タクシーで15分、片道£10-12。

ヴィジター情報は英文で<このページ
博物館の入場料:大人 £10

地図:




Labels: