Friday, 17 July 2015

Burleigh Pottery Factory Tour(バーレイ工場見学ツアー)

前回に引き続き、今回も昨年(2014年)のイギリスの「陶器の里」Stoke-on-Trent(ストーク・オン・トレント)の取材から、もう一社奇跡的ともいえる復興を果たした窯元の、工場見学ツアーのイメージを。

商標のBurleigh Pottery(バーレイ陶器)として知られているが、本来の社名はBurgess & Leigh ltd(バージェス&レイ)。創立は1851年で、1862年にWilliam Leigh(ウィリアム・レイ) と Frederick Rathbone Burgess(フレデリック・ラスボーン・バージェス)に買いとられ、Burgess & Leighという社名になった。1930年台にこの二人に名前を組み合わせた、Burleigh(バーレイ)が商標となる。
1889年に、今回訪れたMiddleport(ミドルポート)工場が設立されて、現在にいたるまで操業している。
20世紀前半の最盛期の後は、他のストーク・オン・トレント窯元同様経営難に陥り、1999年に事実上の倒産となるが、同陶器のファンであり販売業者のDorling(ドーリントン)夫妻に買い取られる。そして、2010年には再び Derbyshire(ダービーシャー)のDenby Pottery(デンビー陶器)に買い取られる。しかし、2011年頃には施設の老朽化が進み、修復が資金的に困難な状態に陥ってしまう。一時は工場を取り壊して、敷地を売却する案まで出ていた。

ここで、イギリスの伝統産業や街の存続を支援する、チャールズ皇太子主催のチャリティーThe Prince's Regeneration Trust(プリンスズ・リジェネレーション・トラスト)が£9,000,000の援助に入って、工場施設を修復し、2014年にはビジター・センターとミュージアムがオープン。ウエッジウッドに続いて、観光・教育機関の側面を兼ね備えて再生したのだった。

また、近年のヴィンテージ・ブームに乗って、ノスタルジックなチンツ柄で彩られた、バーレイ陶器は世界各地で、人気が再燃している。その注目のバーレイ陶器、我々が訪れたのはビジター・センターのオープニングの2ヶ月前で、まだミュージアムやカフェは工事中。現在、完全にオープンした状態、ヴィジター情報は、英文で<このページ>に。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
ビジター・センターの入口。
1970年代にすでに、歴史的保存建造物に指定されている。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
レトロな「関係者以外立入禁止」の看板も、そのまま残されている。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
入口を入ってすぐ右側のショップ。
廃番や、軽度のB品を扱うアウトレットショップなので、ディスカウント価格。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
この愛らしいチンツ柄は・・・、

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
この薄紙にプリントされて、それを陶器に貼り込んで作られている。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
そのプロセスを、工場見学する前に、新たに設立(当時は、途中)のミュージアムを見せてもらう。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
2ヶ月後のオープンに向けて、ディスプレイ中・・・のところ。
部屋の作りも、ディスプレイ什器もレトロで、いい味を出しているのがすでに伺われる。
あぁ、完成したところをまた見に行きたいものー。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
入口を入って左側、以前オフィスだった部屋が、ミュージアムに充てられている。
19世紀のステンドグラスのドアも、そのまま残されている。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
最初の建物の奥に工場が続いている。その先には運河。
昔はこの運河から、燃料になる石炭を搬入し、完成品を出荷していた。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
上のミュージアムにある、工場のモデルにあるように、
昔は幾つもの窯が並んでいた。
現在生き延びているのは、この窯だけ。
この窯は、工場建物と壁を共有して建てられているため、
取り壊しを逃れたのだそう。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
この部屋では、陶器の型取り。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
この日はたまたま、型取りの職人さんのホリデー。
型取りを見ることは出来なかった。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
その次のエリアでは、型取りの済んだポットの蓋に、取っ手をつけているところ。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
素焼きの前に半乾きの状態で、エッジをやすったり、修正したり。
この後、最初の焼成にかけられる。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
下焼きの済んだ状態の製品を、検品。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
ここからが、バーレイ陶器のエッセンス、チンツ柄のプリント。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
歴代のパターンはプリント・ドラムとして保存されている。
必要な柄のドラムをプリント機にセットして、ティッシュー紙に薬品でプリントする。
このプリントの色は、焼き上がりとは同じではなくて、
このグレイが最終的に、ブルーに発色するのだそう。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
この部屋では、奥の1段上がったところで、転写プリントして、
洗濯物を干すように、仕事机の間で乾かされている。
この前の机で、皆さん張り込み作業中。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
手早くティシューを、水で貼りこんでいく。
こうやって、器の外にも中にもプリントが施される。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
余分はハサミでサクサク切り落とす。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
水とラバー状のヘラで、エッジをならしている。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
貼りこみの出来たもの。
皆さん慣れたもので、とても手速いのだけれど、
一つ一つが手作業貼りこみというのに驚かされた。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
貼りこみのすんだものは、乾かされて、上釉薬がけされる。
この上釉薬は焼きあがると透明に、下のティッシューは焼き切れて、
プリント剤に入っている薬品が発色する、という仕組み。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
完成品。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
ストック棚と、最終の検品チーム。
ここで、完璧なプロパー品、かすかな不備のアウトレットB品に仕分けされる。
それ以下の品質ものは情け容赦なく、ポリバケツに投げ込んで割られる・・・。

Middleport / Burleigh Pottery Factory Tour
最後にもう一度、ショップのディスプレイ。
一つ一つ手をかけて作る製造工程を見た後は、一段と愛らしく見えるのだった。



Middleport(Burleigh) Pottery
ミドルポート(バーレイ陶器)

Port Street, Burslem, Stoke-on-Trent, ST6 3PE

オープン:
ヴィジターセンター/カフェ: 毎日10am - 4pm
ショップ:月~土曜 9am - 5pm、日曜 10am - 4pm

地図:

ストーク・オン・トレント駅から一駅先の、
Longport(ロングポート)駅から徒歩12分。





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