Thursday, 27 March 2014

Museum Speelklok (シュピールクロク博物館)、ユトレヒト -1-


標本箱はまたまた、オランダ・ユトレヒトに戻ってきて、今回はユトレヒトを訪れるきっかけになった博物館の一つ、Museum Speelklok (シュピールクロク博物館)のイメージを、2回にわたってご紹介することに。

博物館の名前Speelklok (シュピールクロク)というのは、英語に直訳するとPlay clock、意訳するとMusical clockwork、日本語でいうと「機械仕掛け音楽演奏機」、つまり、広い意味でのオルゴールのような自動演奏機械、という意味。
1956年にユトレヒトで催された、ストリート・オルガン展が人気を博したために、ユトレヒトに常設の博物館として展示されることになった、というのが、ここの始まり。
ストリート・オルガン(手回しオルガン)以外にも、機械仕掛けのチャイム付時計、オルゴール、シート式オルゴールなどなど、さまざまな自動演奏機械が収蔵されている。
1984年には、旧Buurkerk(市民教会)に博物館は、拡大・移動されて再オープン、現在に至る。

そもそもは、教会の時報として開発された機械仕掛けのチャイムが、やがて富裕市民のコレクション趣味用のチャイム付時計となり、その後複雑化・大型化したストリート・オルガン(手回しオルガン)に発展していって、19世紀後半から20世紀初頭にかけては、大衆文化の一環となった。
しかし、19世紀末にグラモフォン・レコード(現在「レコード」と呼ばれるディスク版のもの)が普及し始めて、20世紀に入ってからは、次第にその地位が逆転。
ストリート・オルガンなどの自動演奏機械は、趣味のアンティークと化していくのだった。

この自動演奏機械達の「ファン・フェア(お祭り)」っぽい装飾(メリー・ゴーランドのような)が、なんともいえずレトロないい味を出していて、アンティーク好きとしては、撮影心をそそられるのだった。


Museum Speelklok - Utrechit
その、ファン・フェアっぽい装飾というのは、こんなもの。
どことなく、ジプシー・キャラヴァンを思い起こさせる、
ノスタルジックなキッチュ感を漂わせている。

Museum Speelklok - Utrechit
博物館に入った最初の展示室。
一日に何回か実際にスタッフが、機械を演奏実演している。
右の方で、パパとお嬢ちゃんが見ているのはその実演。

Museum Speelklok - Utrechit
これは女性の服装から、20-30年代かな。
移動遊園地に併設された、フェアグラウンド・オルガン。

Museum Speelklok - Utrechit
後ろから見たらこんな風になっている。
基本的に「移動式」で作られている。
演奏者がこの手回しハンドルを回すと、
空気圧で木管系のリードからメロディーが奏でられる。
大型のオルガンでは、ドラム・ベル等の打楽器も、
複雑に組み合わされているものが多い。

Museum Speelklok - Utrechit
「メリー・ゴーランドのような装飾」というのが、
ご理解いただけるかと。

Museum Speelklok - Utrechit
チョコレートのお菓子箱・・・ともいえる。

Museum Speelklok - Utrechit

Museum Speelklok - Utrechit
最初の展示室には、ストリート・オルガン以外にも、
このようなディスク型オルゴールや、

Museum Speelklok - Utrechit
オルゴール時計、

Museum Speelklok - Utrechit
怪しい謎の中国人(メキシコ人?)がベルを鳴らす、

Museum Speelklok - Utrechit
オルゴールなど、ここのコレクション全般から、
Speelklok (シュピールクロク)のヴァラエティを
見てとれるアイテムを抽出した構成になっている。

Museum Speelklok - Utrechit
その奥の展示室では、もっと大型のオルガンを展示。
20世紀初期のボールルームや、ダンスホール、
フェアグラウンドで使われたもの。

Museum Speelklok - Utrechit
折りたたみカード式やロールシート式の楽譜を換えて、
いくつもの曲が演奏できるようになっている。
のちのジュークボックス、の、ようなもの。

Museum Speelklok - Utrechit
しかし、スケールが大きいので、
その音量はジュークボックスどころではない。
そして、実際に空気圧で
木管楽器を演奏していることになるので、
部屋の中でブラス・バンドが演奏している・・・級の
音の迫力。

Museum Speelklok - Utrechit
演奏は「腹」にこたえるものがある(笑)。

Museum Speelklok - Utrechit
いかにも20世紀初期のダンスホール、な、彫像達。
南ロンドンのミュージックホールや劇場でも、
こういった「大衆の夢」的な装飾様式は、
よく取り入れられていたもの。
元はといえば、Burges(バージェス)あたりに
ルーツはあるものとみている(笑)。

Museum Speelklok - Utrechit
また別の展示室で、自動演奏でヴァイオリン5重奏してしまうというもの。
弦を複雑なチューブ式空気圧で押さえて、
その周りを、リング状の弓が回転して演奏する仕組み。
実にこんな複雑なことを、誰が発明したのか・・・。
その努力の割には、弓のタッチが均一なので、
演奏自体はいまひとつ・・・だるい。
う~ん、弦楽器には自動演奏は向いてないかも・・・だった。

続きの次回は2階部の、細々した展示物を。


Museum Speelklok (シュピールクロク博物館)
Steenweg 6, NL - 3511 JP Utrecht
火~土曜日 10:00am~17:00pm
大人11ユーロ、4~12歳子供6ユーロ。
ミュージアム・パスで無料、他ユトレヒト・カード割引等有。

地図:

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おまけヴィデオ。
ここの自動演奏機の実演いろいろを、Youtubeで見つけた。
やはり聞いてみないことにはね^^。





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