ブリタニーの町や村-Dinan(ディナン)-1-
家の前の街路樹クラブアップルの葉が、すっかり紅葉して、秋真っ只中。
なのだけど、まだ夏のホリデー話を引っ張ってて、今回はDinan(ディナン)。
今年はノルマンディー旅行のフランス上陸地を、ブリタニーのSt-Malo(サン・マロ)にした。
その後ブリタニーの海岸線によってから、ディナンに入って一泊。
この前のMont-Saint-Michel(モン・サン・ミシェル)はぎりぎりノルマンディー側にあって、モン・サン・ミシェルの横を流れるCouesnon(クエスノン)川から西はブリタニーということになるらしい。
サン・マロも、そこから約20km南に下ったディナンも地域的にはブリタニーということになる。
ブリタニーでは昔はブルトン語(Breton)というケルト語源の、フランス語とは別の言語が話されていたが、現在ではほとんど話されていない。
同じケルト語源の、ウェールズ語がカーディフなどでは英語と並んで公用語になっているのとは大きな違い。
1-2日ドライブで通り過ぎただけでは、一度も意識して耳にしたことはなかった。
(いやまぁ、耳にしたところで、仏語すらまったく解っていないのに、判別できるかどうか怪しいものだが・・・。)
ディナンは中世の面影を残す町として人気の観光地で、ブルトン語どころか、お店やカフェなど、かなり英語で通じ(させ)てしまった。(あ、アメリカ人並みに、無理やり英語で押し通す人です、私・・・笑)
まずは、一番ディナンらしい時計塔のある通り。
高所恐怖症気味なのだけど、普段忘れていてつい高いところに登ってしまう。
ここでもちょっと登ってみたかったが、あいにく到着が午後遅すぎて閉まっていた。
登らないでいい・・・ということか。
ちなみに泊まったホテルはこの角で、
なかなかステキなホテルだったので、次回にフィーチャー予定。
さっきの通りもそうだけれど、「中世の町」が売りのディナンは、
あちこちからバナーが下げられている。
年中そうなのか、夏の間だけなのか、なにかイベントのある時だったのか、詳細は知らない。
確かに古い建造物。17世紀の木造建築(だと思う)が、メインストリートに並んでいる。
この下はクレープ屋さんで、観光客で満員。
これもその斜め向かいのレストラン。
上の写真のハーフティンバー(木造)建造物はイギリスでも時たま見かけるが、
この写真のようにティンバーを、ブルーや赤に(後出)ペイントするのはフランスならでは。
歴史的に色のセンスない・・・というか、「モノトーン」の好きな国なんだな(笑)。
ちなみに・・・ハーフティンバーというのは、すべて木で作られたティンバー(木造)建築
(たとえば、丸太小屋のようなもの)と区別するために使われる用語で、
木造の枠の中にレンガ、土、漆喰など別の素材で壁を埋めた木造建築をこう呼ぶ。
日本の「木造住宅」も言ってみれば大半が「ハーフ・ティンバー」ということになる。
その隣の建物はこんな感じで、18世紀のマンサード屋根。
つぎはぎというか・・・いくら古いもの好きの私でも、
「おいおい・・・これでいいのか?」と思ってしまう。
現在なら絶対認可おりないよな(笑)。
その建物の側壁。
ここでよく解るように、中世ヨーロッパの都市部のハーフ・ティンバー建造物は、
上階が少しずつ下階よりせり出している。
この方式はJetty(ジェティー)と呼ばれ、梁を壁よりせり出させて作る。
なので、上階の方が下階より敷地面積が広くなっていく。
共同防衛のために、城壁内に寄り集まって造られる中世都市空間を、
最大限活用するためのアイディア。
反対から見たところ。
富裕階級はジェティーに彫刻飾りを施す。
ここの彫刻は聖人様だが、キリスト教以前に
「魔よけ」を入り口に付ける伝統が、潜在意識下で連綿と生き続けているかのよう。
そしてこれが赤いハーフティンバー。
300年近くたっているのだろうが、ちゃんと人の暮らす「現役」の建物。
建物を見上げては写真を撮っていたら・・・、
猫に激見されていた。
泊まったホテルのちょうど前に建っているHotel de Keratry(オテル・ド・キラトリ)。
Lanvollon(ロンヴロン)という50kmほど西の町に、16世紀中頃に建造された。
Hotel(オテル)というからには、なにか町役場・集会所的な建物だったのだろう。
1933年の火災後、交通の障害になったために、「資材」としてディナンの町に売却される。
1938-39年に再建されたが、完全には、オリジナルのデザインを復興したものではないのだそう。
飾り彫刻は、ルネッサンス装飾の影響を受けている。
イギリスならさしずめ、地方の田舎風チューダー様式・・・といった感じ。
建築話はほどほどにして・・・もうちょっと引いて、町の様子。
バナーのディスプレイといい、楽しそうな観光客といい・・・、
なんとなく「おめでたい」気分が漂っている、夏のディナン。
海岸から20km内陸部のディナンなのだが、Rance(ランス)川に面したハーバーがある。
ランス川はサン・マロの西で海に繋がっているので、サン・マロからディナンまで、
ボートでさかのぼってくることもできる。
今までの旧市街は、高い橋の上に見える城壁の中。
実は、ディナンを最初に見たのが、このハーバーからのヴュー。
町の北側を走るモーターウェイN176から普通に町にアプローチすると、北側の新市街ど真ん中を突っ切ってくることになる。車でこの混雑した新市街を縦断するのが、どうやら面倒そう。
そして、泊まったホテルが、南側旧市街の端(城壁の上に見えている建物の裏のあたり)だったので、ハーバーの横のローカル道D12側から、アプローチすることにした。
途中少し道を間違えたりしながら、このハーバーが見えて「あぁ、着いた、着いた!!」という気分になった風景。
小さい方の橋の横から、リバー観光ボートが出ている。リバーボート好きの私は乗りたかったのだが、これまた、着くのが遅くて乗り逃してしまった。いろいろ逃しているので、ぜひもう一度ディナンに滞在してみたいもの。
次回は、再びディナンより、ホテルやら教会のイメージ。
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