Tuesday, 13 September 2011

Box-sculptor, Peter Gabriëlse (箱彫刻家 ペーター・ガブリエルザ)-1-

ノーマンディーから帰ってきました^^。
今回もまた、2000枚越しの写真、その後すぐ撮影の仕事でこれまた1000枚以上撮って、まずは納期のある仕事の方をせっせと仕上げたところ。

ノーマンディーの方は、まずはガブおじさんの作品から、写真は仕上がってきているので、FlickrにUpしたものから、標本箱でも少しずつ展覧予定。

ノーマンディーでは、押しかけフォトグラファーの私と、そのドライバーこと、Danaさんは、ガブおじさんのシャトーのアネックス(敷地内の別家)に滞在させてもらっていた。
毎朝、朝露で靴をぬらしながら、敷地内草地徒歩2分で、本館のシャトーに出勤。
昼間はたいてい私は撮影、Danaさんはトラベルジャーナルに水彩画を描いて、ガブおじさんは庭仕事。
20世紀初頭頃、夏休みに、田舎の親戚のおじさんの屋敷に滞在させてもらっている、カレッジの学生とその友人・・・という錯覚というか幻想に、何度も何度も陥るぐらい、くつろいでしまった。
実は初対面の私たちを、昔からの知人であるかのように、気さくに受け入れてくれた、カブおじさんの大した器量に、ただただ感謝。

我々をノルマンディーまで駆り立てた・・・彼の作品とはこんなもの・・・。

Box sculpture - by Peter Gabriëlse - 23-4
Box sculpture by Peter Gabriëlse

サイズはおよそ50x70cm。
アンティークの扉パネルや戸板をフレームとして使用して、
その中に、やはりアンティークの建築装飾部材・・・などが盛り込まれている。
そして、ふとスポットライトの下に目をやると・・・、
これが小さな暖炉のある、インテリア風景であることに気がつく。

Box sculpture - by Peter Gabriëlse - 24-4
ディティール。

Box sculpture - by Peter Gabriëlse - 26-4
これは、スポットライトをつけていない状態。
どことなくミステリアスな、それでいてユーモラスでもある・・・。


Box sculpture - by Peter Gabriëlse - 74-21
Box sculpture - by Peter Gabriëlse
それぞれ一応タイトルはついている(ものもある)ようなのだが・・・、
彼は、あまりタイトルにはこだわってはいない。
何かを「説明」する必要などなくて、見る者が感じとればいい、と思っているようだ。

Box sculpture - by Peter Gabriëlse - 76-21
スポットライトだけでなく、ドアや戸口が開いている作品が多い。
なので、光によって、その作品の風景は、印象を全く変えてしまう。
フォトグラファーとしては、そこがまた面白いところ・・・。


Box sculpture - by Peter Gabriëlse - 45-13
Box sculpture - by Peter Gabriëlse
この作品では、壁に実際の19世紀の壁紙の断片が貼られている。

Box sculpture - by Peter Gabriëlse - 47-13
そしてまた・・・それは実は小さな小さな、窓辺の風景なのだった。
ボウルなど小物もリアルなのだが、彼の作品のリアルな特徴は「埃」。
はじめて見た作品には、蜘蛛の巣まで入っていた。
これらも作品の一部。「時間」を象徴するペイント材料の一つ、とよんでもいい。


Box sculpture - by Peter Gabriëlse - 70-20
Box sculpture - by Peter Gabriëlse
写真が長いのだが、これは実際にも1m以上ある大きな作品。
タンスの扉板を使用しているもののよう。

Box sculpture - by Peter Gabriëlse - 73-20
誰のために置かれているのか解らない椅子、どこへ続くのか解らない階段、
扉の向こうはどこへ繋がっているのだろうか・・・?
アリスの世界観にも相通ずるような、
これから何か始まるような期待が、いつも彼の作品には、こめられている。
ペーター・ガブリエザ氏はもともとは、ステージセット・デザイナー、アート・ダイレクターとして70年代後半から80年代に、オランダのTVやシアターで活躍していた。
そう聞けば「なるほど・・・ステージセットのモデルだ!!」と、彼の作品のルーツに思いが至る。
ライト使用の効果的なのも、ステージ出身のため。
芝居や番組の「脇役」であるステージセットを、逆説的に「主役」に据えて、本来「主役」であるストーリーを、このステージセットから観客自身が紡ぎだしていく・・・そんな印象を受ける作品群。

Peter Gabriëlse - portrait
ペーターと愛猫プシャー。
90年代初頭に、仕事を引退してからは、「箱彫刻家」としての制作が本業なのだが、現在の18世紀のシャトーに引っ越してからというもの、ここの改装・改築に充てる時間とエネルギーが、箱彫刻制作を上回ってしまったとか。
このシャトー自体が、彼の「大きな方の箱」アート作品なのだが、この様子はまた、作品の後に展覧予定。

「歳だからね」と、コンピューター、Web界とは「無縁」を宣言していたペーター氏だが、時代の波には抗えない。
運命が勝手にお膳立てして、ウェブサイトが立ち上がってしまった。www.petergabrielse.com
私たちが滞在して、作品写真を激写して帰った翌週に、オランダから友人たちが滞在したのだとか。そのうちの一人が、Webデザイナー。
「写真さえあれば、簡単に作れるわよ」ということになって、私がFlickrにアップした写真をダウンロードしてもらい、ヴォアラ!! 2日でできてしまった・・・。 う~ん、世界はガブおじさんのために回っている(笑)。

ちなみに9月27日~10月2日まで、London、Battersea Parkで開催中のThe Decorative Fairに、オランダのディーラーが彼の作品を数点出展予定。(ディーラーの名前はまだ聞いていないが、スタンド・ナンバー19と聞いた。 訂正:80です。)
私も初日に見に行く予定。 もしご興味の方は、ぜひどうぞ^^。


次回はまた、引き続きペーター・ガブおじさんの作品の中からセレクションで。

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