Monday 22 August 2011

Geffrye Museum (ジェフリー博物館)-1-

今回はまたロンドンのちょっとマイナーな博物館、Geffrye Museum (ジェフリー博物館)をフィーチャー。

家具とインテリア様式を時代ごとにサンプリング展示したこの博物館は、東ロンドンのHoxtonにあって、以前はなかなかアクセスしにくい立地だった。昨年東ロンドンを南北に繋ぐOver ground lineが開通して、このミュージアムのちょうど真裏がHoxton駅。断然アクセスしやすくなった。
インテリア・オタクのこととて、ずいぶん昔に見に来たことがあるのだが、久しぶりにまた訪れてみた。
Geffrye museum
ミュージアムの正面。
この建物はもともと鍛冶屋の協会長でロンドン市長も勤めた、
Sir Robert Geffrye(サー・ロバート・ジェフリー)が1714年に建造したalmshouse(アームスハウス)。


Geffrye museum
正面チャペル入り口の上に立つ、サー・ロバート・ジェフリーの彫像

アームスハウスというのは「貧救院」などと訳されているが、主にコミュニティーの高齢で貧しい人々を収容するための住宅。
写真正面の部分が付属チャぺルで、両サイドに棟割長屋状態に住居がつながっていたのが、現在は廊下で繋がれて、一つのミュージアムとなっている。
2002年に当時のアームスハウスの一室が再現されて、期間限定で公開されている。<案内はこのページ> 私が訪れた時は、残念ながら公開日ではなかった。

ここのミュージアムでは1600年から現在に至るまで、各時代の典型的な「中産階級」のインテリア・家具を部屋割りで展示している。
イギリスの中産階級が出現し始めたのが、この1600年ごろからで、いわゆる「市民階級」というのと同じような意味合い。
なにしろ、ドラスティカルな革命がなかったので、階級制度が明確に最近まで(いまでもかなり)残っているイギリスは、趣味やテイストも階級ごとに大きな違いがある。(階級に「上下」の意識はいまやなくて、並列する「趣味・価値観の違い」というニュアンス)
なので、典型的な時代の様式が一番解りやすいのが、「中産階級」ということになるのだろう。

Chairs
入り口を入ってすぐの部屋に、各時代の典型的な椅子が比較展示されている。

London House 1630
最初の17世紀部屋の展示の前に、イラストパネルで、家全体の様子が解説されている。
この解説パネルを、各時代ごとに見比べていくのも、なかなか面白い。

Hall, 1630
その、1630年の部屋で、Hall(ホール)と呼ばれるダイニングルーム兼応接室兼居間。

V&Aのブリティシュ・ギャラリーにもこの時代のとてもリアルな室内展示がある。
それやナショナルトラストなどの現実の「お屋敷」に比べると、壁の板張りパネルなど、新っぽい感じで重みがないのだけれど、実際当時の「新築」の頃は、こんな感じだったのだろうと想像。 サンプルとしては、とても解りやすい。
上のイラストでは、日本式で言うところの2階に位置することが多い。 17世紀から台頭してきた「中産市民階級」は、主に商人、製造業者なので、一階は商店であることが多い。
壁面パネル、家具ともにオーク材。イギリスで木材といえば、まずこのオーク材。ハード・ウッドで古くなると、石かと思うぐらいどんどん硬くなる。
この部屋の360℃ヴュー

London House 1695
これのイラストパネルは、17世紀末、1695年。
ここでは商店ではなくて、住居専用。使用人の人々の空間は地下、
主人一家の空間は上階というような区分が明確になる。
窓も大きくなり、部屋全体が明るくペイントされるようになる。

Parlour, 1695
その、インテリア。ダイニング兼居間で、Parlour(パーラー)と呼ばれるようになった部屋。
この部屋の360℃ヴュー

Detail - Parlour, 1695
ラヴェンダーポット。 こういう小物を撮るのが好き^^。



Parlour, 1745
このパーラーはもう、18世紀の1745年。
部屋はあまり変わりはないけれど、椅子などの家具が曲線を帯びた、ソフトなデザインに変わっていっている。
フランスだとロココ様式の時代。イギリスではジョージアン・スタイルと称される。
ロイヤルな宮殿などは、こてこてのロココスタイルだった頃。
この部屋の360℃ヴュー

Detail - Parlour, 1745
この頃には「お茶」を飲む習慣が、中産階級の人々にも広まってきた。

Ceramic figures
ロココ期のセラミックの置物。


次の18世紀末の部屋に移る前に、ちょうど最初の写真の正面に映っていた、チャペル部分を通り過ぎる。

Chapel

Chapel
18世紀建造の様式を保っている。

Sun room
ちょうどチャペルのあたりの裏側に、細長い廊下のようなサンルームがある。ほっこりする空間。


今回はここでちょっと一息。次回は続きの18世紀後半の部屋から。

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Geffrye Museum (ジェフリー博物館)

Kingsland Road, London, E2 8EA Tel: 020 7739 9893

開館: 火曜~土曜 10:00AM~5:00PM、  日曜・バンクホリディ 12:00~5:00PM
休館: 月曜(バンクホリディ以外)、グッドフライディ、クリスマス・ボクシングディ、ニューイヤーズディ
入場料: 大人 5ポンド、 16歳以下無料 (2011Aug現在)


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