Wednesday, 8 June 2011

Skanzen(シュコンゼン)屋外博物館 -6-

Skanzen(シュコンゼン)屋外博物館の最終回(ようやく・・・)は、南トランスダニュビア(Southern Transdanubia)地域。
ハンガリーの南東に位置するこの地域は、セルビア系、ドイツ系、ハンガリー系、クロアチア系など多数の民族が入り混じっているうえに、またその中に正教、カトリック、新教と宗教も入り混じっている。16世紀には、オスマン・トルコの占領下に入り、人口が流出したり、歴史的には実に複雑なエリア。私などは全く理解に及んでいない・・・。
いずれにせよ、大陸ヨーロッパは、呑気な島国・イギリスとは違って地続き、国のボーダーなどあって無きがごときで、「国」という概念より「民族」という概念の方が濃厚なのだな、ということがひしひしと感じられる。
そんなわけで、一概にこの地域を一括りにできる文化傾向はなくて、「多様性」ということのようだ。
前回も書いたが、このエリアで我々は時間切れ・・・。閉館間近のところを、館内鉄道に拾ってもらって、メイン・ゲートまで戻った。なので、のぞいてみることができたのは、その「多様性」の中から、ほんの3例。
House from Fadd
Fadd(フォッド)から移築された住宅。
長く続く回廊テラスに惹かれて、覗き込んだ家。

House from Fadd
中の庭から見たところ。回廊式テラスはいかにも、夏の暑い地域という感じがする。
この一家は8ヘクタールの農地で、ワインとタバコを栽培していたそうだ。

House from Fadd
一部屋には織機があって、織物のみならず、ペイントされた家具も美しい。

House from Fadd
ウェストコート(ベスト)の刺繍も見事・・・。

House from Fadd
キッチンには例の、ハンガリー的なるディヴァン(長椅子)。
飾り皿に、刺繍や織模様の入ったタオルを掛けて飾るのがハンガリー・スタイルのよう。
いかにも素朴で家庭的な感じがして、ほほえましい。

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House from Drávacsehi
こちらは、Drávacsehi(ドラヴァチェヒ)から移築された住宅。
外観は、上記のFaddからの住宅に似た、回廊テラスが庭に面して続き、その後ろに各部屋が続いている構成。
この住宅には、若夫婦とその母、祖母が住んでいたそうで、この部屋は若夫婦の寝室。
19世紀中頃の、裕福な若い世代らしく、
トラディショナルなペイント家具ではなく、レリーフパネルの入ったキャビネット。

House from Drávacsehi
このローライトが、フォトジェニック^^。

House from Drávacsehi
こちらはおばあちゃまの部屋で、家具も昔かたぎ。

House from Drávacsehi
で、これはお母様の部屋・・・だったのかな(想像)。

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House from Őcsény
Őcsény(ウーチニィ)から移築された住宅。
裕福な農家の住居で、L字型に住居と納屋で中庭を囲んでいる。
この地域では19世紀中頃の新教の農家の間では「一人っ子政策」がとられていた。
豊かな資産を兄弟間で分断しないように、という発想だが、おのずと人口減少を招いて、
地域は衰退してしまったのだそうだ。

House from Őcsény
やっと写真に収めることのできたタイル製のストーヴ。
古いタイプの家ではストーブがたいていドアの横に設定されているので、ドアのところから覗き込む
ここの博物館の展示システムでは、この典型的なハンガリーのストーヴが上手く写真に納まらない・・・。
このタイプのストーブは、ロシアの絵画でも見かけるので、東ヨーロッパの様式なのだろう。

House from Őcsény
で、同じ部屋の奥のベッド。
見事なペイントベッドと、その上の刺繍クッション。

House from Őcsény
そしてそのまた隣の、ペイントされた棚・・・。
素晴らしい、美しい・・・なのにちゃんと撮れないのが、もどかしい(笑)。
この装飾的な方のベッドは、寝るためのものではなくて、純粋に装飾的なもの・・・のように思うのだが、
ほんとのところは知らない。

House from Őcsény
キャビネットとその中の装飾クロス。

House from Őcsény
飾りベッドに上手くズームが入った。

House from Őcsény
同じ住宅から、別の部屋。この部屋は、実際に「寝室」という感じがする。
ここでも、奥のペイントされたチェストが気になる・・・。

House from Őcsény
食器棚。食器の方は、意外と素朴。

ながながと、引っ張ったSkanzen野外博物館のシリーズも、これで最後。

この野外博物館の情報は、Skanzen(シュコンゼン)屋外博物館初回の標本箱の最後を参照<このページ>。

このあと、民芸続きで、ハンガリー民族地誌博物館のイメージで、ブダペスト旅行記を締めくくろうと思っているのだが、その前に次回は、ちょっとアトリエから新作のお披露目いきます^^。

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