Skanzen(シュコンゼン)屋外博物館 -6-
Skanzen(シュコンゼン)屋外博物館の最終回(ようやく・・・)は、南トランスダニュビア(Southern Transdanubia)地域。
ハンガリーの南東に位置するこの地域は、セルビア系、ドイツ系、ハンガリー系、クロアチア系など多数の民族が入り混じっているうえに、またその中に正教、カトリック、新教と宗教も入り混じっている。16世紀には、オスマン・トルコの占領下に入り、人口が流出したり、歴史的には実に複雑なエリア。私などは全く理解に及んでいない・・・。
いずれにせよ、大陸ヨーロッパは、呑気な島国・イギリスとは違って地続き、国のボーダーなどあって無きがごときで、「国」という概念より「民族」という概念の方が濃厚なのだな、ということがひしひしと感じられる。
そんなわけで、一概にこの地域を一括りにできる文化傾向はなくて、「多様性」ということのようだ。
前回も書いたが、このエリアで我々は時間切れ・・・。閉館間近のところを、館内鉄道に拾ってもらって、メイン・ゲートまで戻った。なので、のぞいてみることができたのは、その「多様性」の中から、ほんの3例。
Fadd(フォッド)から移築された住宅。
長く続く回廊テラスに惹かれて、覗き込んだ家。
中の庭から見たところ。回廊式テラスはいかにも、夏の暑い地域という感じがする。
この一家は8ヘクタールの農地で、ワインとタバコを栽培していたそうだ。
一部屋には織機があって、織物のみならず、ペイントされた家具も美しい。
ウェストコート(ベスト)の刺繍も見事・・・。
キッチンには例の、ハンガリー的なるディヴァン(長椅子)。
飾り皿に、刺繍や織模様の入ったタオルを掛けて飾るのがハンガリー・スタイルのよう。
いかにも素朴で家庭的な感じがして、ほほえましい。
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こちらは、Drávacsehi(ドラヴァチェヒ)から移築された住宅。
外観は、上記のFaddからの住宅に似た、回廊テラスが庭に面して続き、その後ろに各部屋が続いている構成。
この住宅には、若夫婦とその母、祖母が住んでいたそうで、この部屋は若夫婦の寝室。
19世紀中頃の、裕福な若い世代らしく、
トラディショナルなペイント家具ではなく、レリーフパネルの入ったキャビネット。
このローライトが、フォトジェニック^^。
こちらはおばあちゃまの部屋で、家具も昔かたぎ。
で、これはお母様の部屋・・・だったのかな(想像)。
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Őcsény(ウーチニィ)から移築された住宅。
裕福な農家の住居で、L字型に住居と納屋で中庭を囲んでいる。
この地域では19世紀中頃の新教の農家の間では「一人っ子政策」がとられていた。
豊かな資産を兄弟間で分断しないように、という発想だが、おのずと人口減少を招いて、
地域は衰退してしまったのだそうだ。
やっと写真に収めることのできたタイル製のストーヴ。
古いタイプの家ではストーブがたいていドアの横に設定されているので、ドアのところから覗き込む
ここの博物館の展示システムでは、この典型的なハンガリーのストーヴが上手く写真に納まらない・・・。
このタイプのストーブは、ロシアの絵画でも見かけるので、東ヨーロッパの様式なのだろう。
で、同じ部屋の奥のベッド。
見事なペイントベッドと、その上の刺繍クッション。
そしてそのまた隣の、ペイントされた棚・・・。
素晴らしい、美しい・・・なのにちゃんと撮れないのが、もどかしい(笑)。
この装飾的な方のベッドは、寝るためのものではなくて、純粋に装飾的なもの・・・のように思うのだが、
ほんとのところは知らない。
キャビネットとその中の装飾クロス。
飾りベッドに上手くズームが入った。
同じ住宅から、別の部屋。この部屋は、実際に「寝室」という感じがする。
ここでも、奥のペイントされたチェストが気になる・・・。
食器棚。食器の方は、意外と素朴。
ながながと、引っ張ったSkanzen野外博物館のシリーズも、これで最後。
この野外博物館の情報は、Skanzen(シュコンゼン)屋外博物館初回の標本箱の最後を参照<このページ>。
このあと、民芸続きで、ハンガリー民族地誌博物館のイメージで、ブダペスト旅行記を締めくくろうと思っているのだが、その前に次回は、ちょっとアトリエから新作のお披露目いきます^^。
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