Tuesday, 14 June 2011

ハンガリー民族誌博物館 (Museum of Ethnography)-2-

ハンガリー民族誌博物館 (Museum of Ethnography)から2回目で、今回は民芸工芸品のイメージ。
Best room from the Sárköz region, second half of 19th century
Sárköz(シャルカズ)地域の「ベスト・ルーム」19世紀後半。
博物館のガイドブックをちゃんと読んでみたら、この装飾的なインテリアの背景が少しずつ解ってきた。シュコンゼン博物館の最終回でもほぼ、同様の地区だと思うのだが、やはり見事なハンドクラフトを詰め込んだ、インテリアがあった。<このページの下の方・・・>
そのときに思ったのだが、やはりこういった「飾りベッド」は実用ではなくて、あくまでも「飾るため、見せるため」のもの。
暖房・調理用のオーヴンと一緒に暮らしていた、農家のレイアウトから、オーヴンが隣の部屋に移動して、そこから家全体を暖めるシステムに移行していった。なので、このオーヴンのない部屋は、煙から開放される。
そこに、19世紀になってからの治水政策の進展とともに、洪水からも開放されたこの地域は、豊かな装飾にあふれた家具・調度品で、この「クリーン・ルーム」とか「ベスト・ルーム」と呼ばれる、家で一番いい部屋を飾り立てるようになる。
ハンドペイントの家具は、ドイツ系の家具職人の手になるものだが、織や刺繍は一家の女性達が手ずから作り上げていったもの。その技術と趣味を、この「ベスト・ルーム」に注ぎ込んだ、ということなのだ。
Wall cupbosrd - Sárköz region, second half of 19th century
Nagykend(ナギュケンド)からの、壁掛け戸棚 1822年。
木材はソフト・ウッドが使われている。ハード・ウッドのオーク材を多用した、イギリス民芸家具の場合「彫り物」が発達するのだが、加工は容易だが強度がないため、複雑な彫り物にはあまり適していないソフト・ウッドなので、このようにペイント装飾が発達したのではないかな・・・と思う。

Chest  - Sárköz region, second half of 19th century
Sárköz(シャルカズ)地域からのチェスト。19世紀後半。
チェスとの下の波板型の多板の下に、どんぐり風ドロップが下がっているのが可愛らしい。
ベッドの波板飾りに、こんな風にベルを提げた例を、シュコンゼン博物館でも見たことがある。

Chest
シンプルな小型のチェスト。これ・・・うちに欲しい^^。

Shelf - Sárköz region, second half of 19th century
Sárköz(シャルカズ)地域からの飾り棚。19世紀後半。ここにもどんぐり。
家具のペインティングと同様に、陶器の絵付けも、素朴ながら流麗な手業。

Sárköz region, second half of 19th century
同地区の飾り棚、

Sárköz region, second half of 19th century
を・・・また正面から・・・。

Ceramics - Sárköz region, second half of 19th century
同地区の陶芸。
煙のあふれるキッチンには、陶器が装飾の役目を果たす。

Ceramics - Sárköz region, second half of 19th century
陶器は、土地の土と釉薬によって表情が変わるわけだが、
なんともいえず温かみのある味わいを出しているこの地域の陶器達。
特に、オレンジ釉が印象的。

Folk ceramic

Folk ceramic
いたるところに、チューリップと思しきパターンがよく見かけられる。
トルコのイズニック焼や、中近東の焼き物の、チューリップパターンの影響なのかもしれない。

Enbroidery
刺繍でも、たいていは花・鳥のパターンか・・・、

Enbroidery
幾何学模様。

Embroidery pattern
愛らしい刺繍用の図案。
「図案師」の女性に、刺繍図案を描いてもらうのだそう。

Detail - Trousseau fromKalotaszentkirály
当時の女性の人生の中で、最大のイベント、結婚式にはさまざまな調度品が持参される。
もちろん、刺繍はすべて花嫁さん自身の力作。

Marriage in a church of Kalotaszeg
これは、Kalotaszeg(カロタセグ)地方での結婚式の様子。
教会のパネル等の調度品も、家庭用の家具を作る職人の手になるもの。
同様に逐一装飾が施されている。

Ceiling panel of the church
カロタセグ地方、教会天井パネル。

Ceiling panel of the church
同じく、カロタセグ地方、教会天井パネル。

Painted panel
これも教会パネルなのだが、地域はどこの物か控えてきていないので、不明。
これは、カーネーションに、チューリップで、とてもイズニック焼風のパターン。

Painted panel
これも・・・流麗。

Doll house
最後に、ミニチュア「おままごとキット」か「人形の家」、ハンガリー版^^。


この、ハンガリー民族誌博物館の情報は、前回の標本箱の最後を参照。<このページ

長々お付き合いしてもらった、我々のブダペスト旅行のイメージもこれが最終回。次回はロンドンに戻って、イギリスのイメージをストック写真からスライドショーで。

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