Watts Gallery (ワッツ美術館)
先月のTate Britain(テート・ブリテン美術館)の標本箱<ここ>で、G.F.Watts(ジョージ・フレデリック・ワッツ)の作品を展覧したことがある。その時にWatts Gallery(ウォッツ美術館)に少しふれて、「2011年春まで、大改装工事のため閉館しているが、以前訪れた時に撮った写真があるので、またいつか標本箱に詰め込んでみよう。」などと書いていたことを思い出した。
なので今回は、そのWatts Galleryのイメージ。撮影は2008年の初夏で、まだコンパクトカメラの頃なので、映像がいまひとつなのはご容赦・・・。
ギャラリー全景。
ワッツが後年に移り住んだSurrey(サリー)州、Compton(コンプトン)村の住居の近くに建設されたもの。
1904年4月1日にオープンされたが、ちょうど3ヵ月後の7月1日にウォッツは亡くなっている。
撮影:Jon's pics @Flickr
ギャラリー内のイメージ。
Paola and Francesca パオラとフランチェスカ 1872-5
ダンテの「神曲」地獄編に登場するフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタ。
悲恋の主人公達は永遠に地獄の激風に漂い続ける運命。ロマン派の絵画や音楽に好まれたテーマ。
うーん、果たしてそれは地獄なのだろうか?
Endymion エンディミオン
ギリシャの女神セレーネー(ディアナともいわれている)に愛されたエンディミオン。
老いることを許されず、眠りにつかされる。
女神はまるで繭のように、エンディミオンを包み込んでいる・・・。
Time, Death and Judgement 時間と死と審判
壁画のための習作かもしれない・・・。
Love and Triumphant 愛と勝利。
死をも超越する愛の象徴。
Oil study for Love and Life 「愛と生」のための油画習作。
愛は、頼りなげな生を導く守護天使の姿で描かれている。
Alfred Lord Tennyson アルフレッド・テニソン卿
同時代の国民的詩人テニソンの像。ウォッツは彫刻家としても有名。
撮影:Martin Beek @Flickr
ブロンズの完成作はLincoln Cathedral(リンカーン大聖堂)敷地内に建っている。
彫刻室の一角。さまざまな参考資料の彫刻が無造作に一角にかためられている。
彫刻室の飾り棚のをのぞく。
このイメージも彫刻室より。
その20年後、69歳で再婚したのが画家のMary Seton Fraser-Tytler(メアリー・シートン・フレイザー=タイトラー、結婚後、メアリー・シートン・ワッツ)でこのときも30歳以上年下の奥様。
しかし、精神的に成熟した、自身もアーティストであるメアリーとは、お互いに尊重しあうよい関係が保たれていた。このメアリーの作品も多数美術館に残されている。
彼女のケルト美術とアールヌーヴォーから影響をうけた、レリーフ、工芸作品がとりわけ印象に残る・・・。
この「チャペル」というのは、このギャラリーからギャラリーの面するDown Laneを300mほど南西に下ったところに建つWatts Chapelのこと。19世紀の労働者や低所得階級の人々にアートや手仕事の技術を伝えることで、彼らの生活水準を精神的に、そして物質的に高めるという、社会主義的芸術論に協調した、ウォッツ夫妻のプロジェクトとして建てられた地区教会。
次回は、ここのイメージを展覧してみよう。
--------------------------------------------------------------------------------
最後にギャラリーへの行き方を簡単に日本語で解説(英語版はこのページ):セントラル・ロンドンからだと、Waterloo(ウォータールー)駅からGuildford(ギルフォード)へ。毎時4本、35分程度。
Guildfordの駅から5分程度歩いて(タウンセンターという表示に従って、橋を渡り信号を渡りショッピングセンターの中へ。バスターミナルの表示に従ってバスターミナルへ)の、Friary Shopping Centre(フライアリー・ショッピング・センター)裏のフライアリー・バスターミナルへ。(駅からの地図はここ)
5番スタンドから、9時から5時まで、毎時5分過ぎに発車(1時間に一本)の46番バスがギャラリーの入り口に泊まる。(ドライバーに「ウォッツギャラリー」と知らせておくと、きっと教えてくれる。)
帰りは、ギャラリー前の(向かい側の)バス停から、毎時50分過ぎに通るバスに乗って、Guildfordへ。
バスのタイムテーブル(pdfフォーム)は<ここ>
イギリスの田舎にありがちなことなのだが・・・日曜日はバスの便が走っていないのでご注意。
気候のいい頃なら、Guildford駅からハイキングという方法もある。<地図はここ>
この地図の、緑丸+破線がハイキング道。ここを実際に歩いた経験上からいうと、片道3km以上あって、道が明確にはわかり難いので、イギリスの田舎のパブリック・フットパスを散策した経験のある方でないと、あまりお勧めはできないかな・・・。
TaxiはGuildford駅に常駐していて、10分程度の乗車でギャラリーに着く。2011年現在で、片道10ポンドから15ポンド程度かと(これは想像・・・。)
もう後数ヶ月で大改装オープンの予定なので、その折には再び「リニューアル・オープン」の様子を見に行きたいと思っている。そのときにはもう少し美しい画像でお届けできることかと・・・・。
Labels: 場所
<< Home