Watts Chapel (ワッツ・チャペル)
前回のWatts Gallery(ウォッツ美術館)の続編でWatts Chapel (ウォッツ・チャペル)。
ここは、19世紀イギリスの象徴主義の画家George Frederic Watts(ジョージ・フレデリック・ワッツ)の晩年に、同様にアーティストの妻メアリーが企画・建造した地区墓地付随のチャペル。
19世紀に進展した社会主義運動の一環として、労働・低所得階級の人々にアートやクラフト技術を伝えることによって、精神的・物質的な豊かさをもたらすためのプロジェクトとして企画された。
1888年ごろからコンプトン村では地区墓地付随のチャペルの必要性が審議されていた。1895年にメアリーが、この地域では珍しいことではないのだが、自宅の敷地から陶芸に適した粘土が採れることを発見して、この土を使ってコンプトン焼を始め、また、それを村の人々に指導・伝授することと、このチャペルの企画を合体させた。
同年後半にに土地も確保されて、プロジェクトが始まった。
お屋敷のレディでも、その使用人の少年でも、熱意のある村人は誰でも彼女の「陶芸クラス」に歓迎して迎えられたという。
建築・装飾ははメアリー自身のデザインで、ロマネスク様式にのっとりながら、ケルト装飾様式とアール・ヌーヴォー様式が濃厚に取り入れられた、独自のデザイン。彼女の神秘的象徴主義が、余すところなく表現されている。
外装は1898年に完成したが、内装のデコレーションにあと6年を要して、最終的に完成したのが1904年。
その同年にワッツ美術館も完成、それらを見届けるかのように、3ヵ月後に敬愛しあう夫ワッツは他界し、このチャペルのある墓地に眠っている。
ワッツ・チャペル外観。
撮影:Eyebrows @Flickr
この方が解りやすいかな? 借り物の正面イメージ。
この高度に装飾的なテラコッタ・パネルがすべて、メアリーのデザイン・指導の下、
コンプトン村有志たちによって製作された。
ケルト組紐文様からイメージが採られている。
ディティール。
この顔がメアリーに似ているように思うのだが・・・(笑)。
入り口のドア。金具も凝った造り。
撮影:Eyebrows @Flickr
入り口を入ると中はがらんとした、円形の空間。
内部もびっしり、着際されたレリーフ彫刻で覆われている。
天井まで続く・・・。
撮影:nick.garrod @Flickr
天井にも・・・、これはもう圧巻。
エネルギーに渦巻かれている感じがする。
愛想もののお嬢さん。
訪れた人がチャペル内のベンチに座るや否や、必ずやってきて膝の上に鎮座。
Flickrの「Watts Chapel」の検索でも何度も登場(笑)。
撮影:Drift Words @Flickr
この一角にワッツは眠る。
ワッツの墓。
ケルト様式の、チャペルと同様のテラコッタ焼の墓標。
このウォッツギャラリーの面するDown Laneを300mほど南西に下ったところにチャペルはある。
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