Thursday 9 December 2010

Pre-Raphaelite(ラファエル前派)の絵画 -3-

今回もLondonのTate Britain(テート・ブリテン)美術館よりラファエル前派とその同時代の画家達のイメージの続編。

The Vale of Rest, John Everett Millais, 1858-9
The Vale of Rest, John Everett Millais, 1858-9 
「安息の谷」ジョン・エヴェレット・ミレー
「メメント・モリ=死を思え」のラファエル前派的解釈。
死は一日の終わりに訪れる眠りのように、安らかに憩いたまえ・・・そうありたいもの。

Part of The Vale of Rest, John Everett Millais, 1858-9
上記作品ディーティール。静かに問いかけるまなざし。

Mariana, John Everett Millais, 1851
Mariana, John Everett Millais 「マリアナ」ジョン・エヴェレット・ミレー
シェイクスピアの「Measure to Measure(尺には尺を)」の作中人物。
愛を失って失意のうちに暮らすマリアナ・・・なのだが、
シェイクスピアのストーリーはありきたりには進まない。
かなりコミカルで、ファンキーなストーリーはこのWikiページに紹介されている。

Part of Mariana, John Everett Millais, 1851
上記作品ディーティール。私の方は・・・、彼女のベルトに注目していたのだが。

Claudio and Isabella, William Holman Hunt, 1850
Claudio and Isabella, William Holman Hunt 「クローディオとイザベラ」ウィリアム・ホルマン・ハント
同じくシェイクスピアの「Measure to Measure(尺には尺を)」より。
クローディオ「死ぬのは怖い・・・」 イザベラ「恥さらしで生きるのも、もっと嫌よ・・・」
妹、なかなかシビアなことを言う・・・。

The Awakening Conscience, William Holman Hunt, 1853
"The Awakening Conscience, William Holman Hunt 「良心の目ざめ」 ウィリアム・ホルマン・ハント
「おめかけさん」が「こんな生活ではいけない・・・」と良心に目ざめた瞬間を描く・・・なのだが、
俗界のモラルも良心も知ったことではない私としては・・・左下の猫に注目していたのだ。

Part of The Awakening Conscience, William Holman Hunt, 1853
上記作品ディーティール。
モラルも良心も何もなくて、猫は本能のままに生きて、それでいて素晴らしい(笑)。

F.G. Stephens, William Holman Hunt, 1847
F.G. Stephens, William Holman Hunt F.G.ステファンス ウィリアム・ホルマン・ハント
ラファエル前派の画家仲間のF.G.ステファンスの肖像画。
彼は画家を断念して、評論家に転じラファエル前派の評価をサポートした。

Lucretia Borgia Reignes in the Vatican in the Absence of Pope Alexander VI, Frank Cadogan Cowper, 1914
Lucretia Borgia Reignes in the Vatican in the Absence of Pope Alexander VI,  Frank Cadogan Cowper
「教皇アレキサンダー6世の不在中を統治するルクレツィア・ボルジア」 フランク・カドガン・クーパー
ラファエル前派の影響下の画家でも最後期に位置するクーパー。
法王の庶子であるルクレツィアが、フランチェスコ修道僧から靴にキスをする礼拝を受けるという、
当時としては「スキャンダラス」なテーマを描く。
ロマネスク=ビザンティン様式のこのインテリアは、現在も実在するヴァティカンの一室だとか。

Part of Lucretia Borgia Reignes in the Vatican in the Absence of Pope Alexander VI, Frank Cadogan Cowper, 1914
上記作品ディーティール。 豪奢なルクレツィア、結構なことだ(笑)。

Chaucer at the Court of Edward III, Ford Madox Brown, 1858-68
Chaucer at the Court of Edward III, Ford Madox Brown
「エドワード3世宮廷のチョーサー」 フォード・マドックス・ブラウン
これは、最初のラファエル前派の標本箱で展覧した、アシュモリアン博物館所蔵の作品の、別ヴァージョン。
チョーサーは支配階級のフランス語ではなく、英語で詩を書いた最初の詩人、
すなわち英詩の創設者とみなされている。 イギリスでは詩聖。

Alleluia, by Thomas Cooper Gotch, 1896
Alleluia, by Thomas Cooper Gotch 「アレルイア(ハレルヤ)」 トマス・クーパー・ゴッチ
少女の持つ、神秘性とリアリティーの両面を描けるのはこのゴッチ。
愛らしくて、高貴で、かつ華麗な作品。

Part of Alleluia, by Thomas Cooper Gotch, 1896
上記作品ディーティール。 生身の少女が天の存在になる一瞬。


次回もTate Britainから、もう少し枠を広げて・・・イギリス19世紀絵画から、でもやはり、私の勝手なチョイスで(笑)展覧予定。

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