Tuesday, 7 December 2010

Pre-Raphaelite(ラファエル前派)の絵画 -2-

以前William Morris(ウィリアム・モリス)のデザインの標本箱の後に、Pre-Raphaelite(ラファエル前派)の絵画の標本箱を作ったことがある。<このページ
ラファエル前派といえば、LondonのTate Britain(テート・ブリテン)美術館に、代表作が集中して収蔵されているのを思い出した。昔は大喜びで見に行ったものだが、ロンドン住人になって、かつ、先方は常設展示なのでいつでも見れる・・・と思うと、いつまでも見に行けないもの。先日、時間を作って、お気に入り絵画のイメージ・ハンティングに出かけた。

今回も「ラファエル前派」の括りの中に,そこから影響を受けたウォーターハウス等の「同時代の影響下の画家達」も含めている。

The Golden Stairs, Edward Coley Burne-Jones, 1880
The Golden Stairs, Edward Coley Burne-Jones
「黄金の階段」エドワード・コーリー・バーンジョーンズ
この絵画には特に付随したストーリー性は知られていない。純粋にデコラティヴな絵画として描かれたのかもしれない。

Part of The Golden Stairs, Edward Coley Burne-Jones, 1880
上記作品ディーティール。

King Cophetua and the Beggar Maid, Edward Coley burne-Jones, 1884
King Cophetua and the Beggar Maid, Edward Coley burne-Jones
「コフェチュア王と乞食娘」エドワード・コーリー・バーンジョーンズ
アフリカの女嫌いの王様が、乞食娘に一目惚れしてしまい、女王に迎える、というかなり突拍子もない伝説を描いている。
伝承の結末は、人民に敬愛され「その後幸せに暮らしましたとさ。」
バーンジョーンズのクリアーな画風が、理想的なロマンス・ストーリによく似合っている。

Part of King Cophetua and the Beggar Maid, Edward Coley burne-Jones, 1884
上記作品ディーティール。ジュエリーが描かれていると、ついついディティールで撮ってしまう(笑)。

Vespertina Quies,  Edward Coley Burne-Jones, 1893
Vespertina Quies,  Edward Coley Burne-Jones
「夕べの安らぎ」エドワード・コーリー・バーンジョーンズ
モナ・リザを意識したポーズと微笑みと言われている。

The Lady of Shalott, John William Waterhouse,  1888
The Lady of Shalott, John William Waterhouse
「シャロットの姫」ジョン・ウィリアム・ウォータ-ハウス
テニスンの詩に詠われる、アーサー王伝説中の、シャロットの姫。
19世紀ヴィクトリア期の画家、イラストレーター達によって、何度も何度も描かれた人気のテーマ。
解説と解釈を書いたブログを見つけたので、そちらにお任せする。
(耽美主義の私的には「フェミニズム批判」というよりは、
「批判」や「死」さえもとどめることができないロマンティシズムの象徴と解釈しているのだが・・・)

Part of The Lady of Shalott, John William Waterhouse,  1888
私はヴィジュアルのデティールが専門(笑)。
私のもう一人の「お気に入り」がウォータ-ハウス。
彼はラファエル前派と同時代だが、むしろロイヤル・アカデミー側で活動した画家。
テクスチャーの表現(例えば・・・この刺繍)、シーンの「空気」を捉える画風はお見事・・・。

Beata Beatrix, Dante Gabriel Rossetti, about 1864-70
Beata Beatrix, Dante Gabriel Rossetti
「ビアタ・ビアトリクス」ダンテ・ガブリエル・ロセッティ
これはロセッティ本人によって完成した、最初のヴァージョン。
前回のラファエル前派の標本箱には、バーミンガム博物館所蔵の、全く同じ構図の作品を載せたが、
実はあれは10年後に再度描かれたもので、ロセッティの死後未完成の作品を
マドックス・ブラウンが完成させたものだとのこと。

Part of Beata Beatrix, Dante Gabriel Rossetti, about 1864-70
上記作品ディーティール。
魂が抜け落ちる瞬間とはこんなものなのだろうか。

Proserpine, Dante Gabriel Rossetti, 1874
Proserpine, Dante Gabriel Rossetti
「プロセルピナ」ダンテ・ガブリエル・ロセッティ
冥界の神プルートにさらわれ妻となるが、石榴を食べてしまったために、母の女神ケレスが救出に来ても、
地上で半年冥界で半年暮らすことになってしまう。
実りの女神様は冬の間は地上にはおられない、という伝説。

Part of Proserpine, Dante Gabriel Rossetti, 1874
上記作品ディーティール。実りの女神様にふさわしい芳醇な表現・・・。

Ecce Ancilla Domini! (The Annunciation), Dante Gabriel Rossetti, 1849-50
Ecce Ancilla Domini! (The Annunciation), Dante Gabriel Rossetti
「受胎告知」 ダンテ・ガブリエル・ロセッティ
ロセッティ22歳のときの比較的初期の作品。
後年の妖艶な作風はまだ現れていなくて、ぎこちない位に初々しい。

Part of Ecce Ancilla Domini! (The Annunciation), Dante Gabriel Rossetti, 1849-50
上記作品ディーティール。

Ophelia, John Everett Millais, 1851-2
Ophelia, John Everett Millais
「オフェーリア」ジョン・エヴァレット・ミレー
これは「ハムレット」のオフェーリアをテーマに、ミレーの華麗な描写が目をひく。ラファエル前派の代表作。

Part of Ophelia, John Everett Millais, 1851-2
モデルは、その後ロセッティの妻となる画家エリザベス・シダル。
真冬にドレスを着てバスタブに何時間も浸ってのポーズで、その後ひどい風邪を引いてしまった。
彼女の父が激高して、ミレーに慰謝料を請求したとかいう話が伝わっている。


次回も、ラファエル前派の絵画をテート・ブリテンより、続きますよ。

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