The George Inn (ジョージ・イン)-ロンドン・ブリッジ
National Trust(ナショナル・トラスト)の場所の話が続いていたので、そのまたついでに、London Bridge(ロンドン・ブリッジ)駅近くの、ナショナル・トラスト所有のパブ「The George Inn (ジョージ・イン)」のイメージを。
中世以前から、「ロンドン」というものは、テムズ川の北側、ちょうどロンドン塔~セント・ポールのあたり一帯の城壁の中のこと、現在から比べると、ずいぶん小さな町だった。
テムズ川南は町の外で、ロンドン・ブリッジが唯一の橋なので、ロンドンより南、とりわけドーヴァー海峡を超えてくる、コンチネント(大陸)からの訪問者達も含めて、この橋を南から渡ってくることになる。
そのちょうど南側の橋の袂に、Southwark(サザーク)大聖堂(名前の印象ほど大きな教会ではないのだけれど・・・)が建立されて、王侯貴族から一般人に至るまで、誰でも受け入れられるホスピタル施設(宿・病院・慈善施設を合体させたようなもの)として機能していた。
そして、その橋の周りには一階に飲食店、上階に宿泊施設、中庭に厩(17世紀以降は馬車駐車場)を備えた私設の「Inn(イン)」も軒を連ねていた。
ちょうど現在で言うと、ターミナル駅の周辺がホテル街になる・・・というのと同じ。
ジョージ・インもそんな「宿屋」の一つで、1543年に始めて作成されたサザークの地図にすでに「ジョージ」の屋号が記されているのだそう。
ちなみにチョーサーの「カンタベリー物語」が始まるのも、この一角の宿屋の一つ「The Tabard(タバード)」にて。これも現実に存在した宿屋で、1676年の一帯の火事の後(これはロンドン大火とはまた別で、その10年後に今度は川の南岸、サザーク一帯で起きた火事)、再建されるが、残念なことに19世紀後半に取り壊されてしまった。
「ジョージ」も、同じ1676年の火事の後に再建された。その建物が現在もナショナル・トラストに保存されて、現役のパブとして活躍している。
ロンドン・ブリッジ駅の前の、
Borough High Street(バラ・ハイ・ストリート)に面している・・・
とはいうものの、面しているのは入り口のゲートだけ。
なので、知らないと通り過ごしてしまう。
ゲートを入ると、石畳の中庭が広がっている。
ゲートに記された能書き。
シェイクスピアが頻繁に訪れた・・・、
とか書かれているけど、グローブ座が近くなので、
「そうだったであろう」という推測で、裏付けはない・・・とかいう話。
ディケンズは実際にここによく来ていた記録が残っていて、
小説「Little Dorrit(リトル・ドリット)」にはこの宿屋が言及されるのだそう。
17世紀由来の、ギャラリー。
これは南側で、中庭を挟んで北側にも同様の建物があった。
これまた・・・残念なことに19世紀に鉄道資材施設に
北側は買い取られて、取り壊されてしまった。
まずは、上階のギャラリー部に上がってみる。
手摺の長年塗り重ねられたペンキ。
すぐ左の入口を入ると、
中は、Gallery Barというダイニングルーム。
元々は小部屋に分かれた宿泊室だったはず。
とても17世紀・・・な、感じのハーフ・ティンバーが残っている。
反対側の部屋には、パネリングが入っている。
こじんまりした一角で、ちょっと一杯の、配偶者氏。
ここの前に訪れたMaltby Street Market(マルビー・ストリート・マーケット)で、
さんざん屋台メシを食べてしまった後だったので、
食事はしなかったけれど、ナショナル・トラスト経営だけあって、
とても美味しそうなメニュー。
次回はぜひランチしたいもの。
壁を飾る、古いロンドン地図。
一階のメインのパブ部。
その手前にもう一つの、17世紀後期~18世紀初期的な部屋。
窓越しに見える隣の部屋は、中庭に向かって
窓が開いていて、直接中庭にビールをサーヴしている。
光の加減がいいというので、
絵画風にシリアスにポーズしてみる配偶者氏。
あのー、リュック背負ったままなんですけど・・・(笑)。
最後に「ジョージ」の看板。
The George Inn (ジョージ・イン)
The George Inn Yard,
77 Borough High Street, Southwark,
London, SE1 1NH
地図:
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次回は、その前に散々食べてきた
Maltby Street Market(マルビー・ストリート・マーケット)の様子を。
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