Monday, 2 December 2013

William Morris Gallery (ウィリアム・モリス・ギャラリー)-1-

話は9月にさかのぼり、今回は、9月の始めに訪れた、William Morris Gallery(ウィリアム・モリス・ギャラリー)のイメージ。
イギリス19世紀後半に活動した、いわゆる「デザイナー」の先駆け、ウィリアム・モリスはたいがい有名なわけだけれど、念のため・・・Jp.Wikiのリンクを<ここ>に。

William Morris Gallery
ロンドンの北東、Walthamstow(ウォルサムストウ)の地下鉄駅
(Walthamstow Central 駅)から、
住宅地を抜けて徒歩10分、ウィリアム・モリスが少年時代をすごした家が、
現在は博物館となっている。

William Morris Gallery
エントランスの階段横でお出迎えの、モリス像。

Entrance
ショップ部も、そのエントランスにある。


このウィリアム・モリス・ギャラリー、私はそれこそ15年近く前に訪れたことがある。そのときは、地味でいまひとつ展示物も少ない・・・いわば、ぱっとしない博物館だった。
2007年には、ここを所有するカウンシルの予算カットから、閉館の危機にも見舞われていたが、閉館反対運動がおこり、ロタりー・ファンド(文化支援宝くじからの資金)や援助キャンペーンからの資金を獲得。
2011年から1年間にわたっての大改修の後、2012年8月に再オープンし、2013年6月には、Museum of the Year賞を獲得している。
新規オープンのこのギャラリーに来てみたかったものの、なにしろ西南ロンドンのウチからでは、ここ北東ロンドンのウォルサムストウは「地の果て」、なかなか訪れるチャンスがなかった。


Morris&Co shop gallery
エントランス入ってすぐ左側の、
Morris&Co shop gallery(モリス商会)ショップ展示室。
1878年にOxford Street(オックスフォード・ストリート)にオープンした「モリス商会」の、
ショーールームを再現して、構成されている部屋。
ちなみに、現在でもMorris&Co.は存続していて、そのリンクは<ここ>。

Morris&Co shop gallery
キャノピー状の背のあるベンチ。

Morris&Co shop galleryPraising Angel, designed by Edward Burne-Jones, 1902
刺繍タペストリーや、家具の張り生地を保護するために、
実際の部屋は極度に暗く保たれている。
(写真は、明るく明度をあげているけれど・・・。)
それでも、見事な刺繍タペストリーを間近で見ることができるのは嬉しい限り。


The Workshop gallery
その隣のワークショップ展示室。
展示台の下の引き出しにも、製作された壁紙やタペストリーが、
(現存するものは)オリジナルのデザイン画とともに展示されている。


The Workshop gallery
さまざまな技法に関する解説もされていて、この部屋だけでも、
じっくり見ていたら1時間ぐらいかかりそう・・・。
この展示室だけでも、Museum of the Year賞獲得の説得力あり。

Tiles
「モリス商会」のセラミック部を担当していた・・・ともいえる、
William De Morgan(ウィリアム・ド・モーガン)のタイル。
ド・モーガン夫妻の作品を集めた博物館が、バタシーにある。
その話は<この標本箱>に。

St Cecilia, designed by Edward Burne-Jones, about 1897The Workshop gallery
バーン・ジョーンズのステンドグラス。


Daffodil pattern Woodblock, Morris & Co.The Workshop gallery
壁紙用のオリジナル版木と、壁紙Trellis(トレリス)のプリント工程の解説。


Trellis Wallpaper, designed by William Morris and Philip Webb, 1862
その隣の「モリス商会」展示室にある、壁紙Trellis(トレリス)のオリジナル・デザイン画。
鳥の周りがすこし白っぽくて、鳥が浮き上がってみえるのには、理由がある。
植物の描写が得意なモリス先生だけれど、鳥や動物の描写がとても苦手。
うまく出来たもので、同じモリス商会同僚で友人の
建築家Philip Webb(フィリップ・ウェブ)は、
動物や鳥の描写がとても上手い・・・ということで、
植物=モリス担当、動物・鳥=ウェブ担当という分業制ができあがった。
なので、先にモリスがノバラの絡むトレリスを描いて、鳥の入る部分を空けておいて、
そこに、あとからウェブが鳥を描きこんだもの・・・と想像できる。

Morris&Co gallery
その、「モリス商会」展示室。

Morris&Co galleryMorris&Co gallery
Jane Morris in medieval costume (1861) By William Morris
中世風コスチュームのジェーン・モリス(妻)を描いたモリスの素描と、
若き日のモリスの肖像。そして展示されている手紙は、母に宛てたもので、
ここに、彼がアートと「美」に生きる決意が述べられている。


Painting the Oxford University Union murals.Painting the Oxford University Union murals.
これは写真での展示だけれど、
Oxford(オクスフォード)大学の学生組合図書館の壁画。


ラファエル前派グループの、リーダー的存在だったロセッティのオーガナイズで、バーンジョーンズ、モリス達数人のオクスフォード学生が参加して描きあげた。
この段階で、ロセッティ以外に絵画の経験があったのは、Arthur Hughes(アーサー・ヒューズ)だけだったそうで、なんとも大胆な試み・・・。
その上、経験が浅いことが技術的にも災いして、プラスター壁に直接描いたため、数年を経ずして、退色が始まってしまった。 
なので、もともとは現在より、ずいぶん鮮やかな色合いであったという話。
テーマはその後も、モリス初め一連のラファエル前派グループが繰り返し描いた、アーサー王と聖杯伝説。
「若気の大仕事」だったのだけれど、モリスにとっても、ラファエル前派のアーティストたちにとっても、その後のクリエーター活動のきっかけとなった作品として、現在でも重要視されているもの。


おまけヴィデオで、このオクスフォード大学学生組合図書館の壁画の解説を
Youtubeから。




次回も引き続き、ウィリアム・モリス・ギャラリーより。


William Morris Gallery(ウィリアム・モリス・ギャラリー)
水~日曜 10:00~17:00開館 (月・火曜 閉館)入場無料。

地図:

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