Thursday, 22 September 2011

Le Château 箱彫刻家Peter Gabriëlse(ぺーター・ガブリエルザ) の家 -1-

今回は、ペーター・ガブリエルザおじさんの「大きな方の箱」作品、Le Châteauのイメージ。

シャトーは「城」というよりか「お屋敷」だと前回書いた。
「お屋敷」といっても、そのスケールは「農場」。実際彼が10年前に購入するまでは、現役の「農場」として使用されていたそうだ。
実際には、13エーカーの農場とシャトーが売り出されていたそうだが、購入に当たり、農場を経営するつもりではない彼は、売主と交渉して、4エーカーのシャトー敷地だけを購入し、残り9エーカーは別だてで、近隣農家に売却してもらった。
4エーカーとはいえ・・・広大な敷地を、ガーデナーを入れるわけではなく、自分と週一回手伝いに来てくれる友人とで、手入れしている。 実に働き者・・・。
夏の間は、庭仕事と、これまた趣味と制作の一環であるシャトーの改築・改装のシーズン。それに、さまざまな(我々を含めて・・・)来客で多忙。アトリエで箱彫刻を制作するのは、冬場の仕事なのだとか。

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1785年建造のル・シャトーの正面全景。
18世紀らしい、シンプルなダブル・フロンテッド(入り口を中心に左右対称に広がる構造)の建築。
Mansard roof(マンサード屋根)は、イギリスでは19世紀に入ってから、フランスの影響で・・・のように思っていたのだが(フランス屋根とも呼ばれ、イギリスではあまり見かけない)、こちらは本家のフランス・マンサード屋根、18世紀後半から普及しているスタイル。
建物の屋根の下までの高さで、税金が課せられたため、屋根をできる限り下げて、それでいて、屋根裏の居住空間を最大限に生かせるのが、普及した理由だとか。
屋根についているdormer(ドーマー)窓は、彼が購入したときには左右2つを残して、中心の小さい3つは取り払われ、屋根のスレートで覆われていた。
19世紀末の昔の写真では、ちゃんと5つ窓が通いているので、その様式に従って以前のように窓3つを復旧。現在は建物の裏手のドーマー窓を復旧中。

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これがその19世紀末の頃の写真。

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正面入り口、

Le Château, Peter Gabriëlse's home - 276
を、入ってすぐのホール部分。
尋ねてはいないのだが、かかっている看板はもしかすると、
アンティーク・ディーラーのお父さんの店のものだったのかも。
ペーターおじさんの18世紀趣味は、ひとえに生まれ育ったこの環境によるもの・・・だとか。

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入って右は、前回展覧した展示ギャラリー室。

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左がリヴィングルーム。物置きに使われているのは、19世紀の車椅子。

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階段の彫像。

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階段を、これは二階のランディングから見たところ。
窓辺のベンチは、彼のデザイン・制作。右にかかっているのはご自慢のタペストリー。

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ぼろぼろに痛んだものを手に入れて、修復に出していたものが、最近仕上がってきたもの。

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リヴィングルームを入り口から見たところ。
ヨーロッパの建物に「廊下」が現れるのが、およそ、18世紀の初頭から。
それまでは、部屋から部屋へドアは繋がっている。
このシャトーでも、まだその名残で、廊下に相当する部分がほとんどない。
右のドアは裏口(正確に言うと横の入り口)とバスルームに繋がっていて、左のドアは寝室に繋がっている。

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別のアングルから。

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窓際のブルーがテーマのディスプレイ。

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ネオ・クラシカルなディスプレイ。
右下の天使の石像は、彼の思い出の品。

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12歳だったペーター少年、お小遣を貯めて買いたい物があった。それが近所のアンティーク屋の店先にあった、この天使の像。
やっとこれを手に入れて、喜んで持って帰ってお母さんに見せたところ・・・、「よりによって商売敵の店から、一体何を買ってくるの!! こんなものうちの倉庫にいくつでも転がってるわよ!!」と大顰蹙。
恐る恐るお父さんにも見せたところ、お父さんは別に何も言わず、でも少し満足そうだったとか。
5人兄弟姉妹の末っ子の彼だけが始めて、アンティークや古物に興味を示したので、お父さんはちょっと嬉しかったのかも・・・という話。 ペーターおじさんは、今でもこの天使がお気に入り。
いつでも必要なときに誰かが手伝ってくれたり、欲しいものが見つかったり、ラッキーの星の元に生まれているかのような彼は、「実は、大天使ガブリエルがついてるんだ。」と、真顔の冗談で言う。「祈ったり、願ったりは、したこともないんだけどね。」
そういうのを、潜在意識化でで宇宙に発注している・・・というのですよ(笑)。
必要なときに、向こうから志願して現れるフォトグラファーや、Webデザイナーも宇宙からの「納品」の一部なのだろうかな。
ともあれ、天使のイメージは、何度もペーターおじさんのデザインやコーディネートの一部として、繰り返し現れてくる。

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この、透明度の高い自然光と影のある空気、古い乾いた木と石のテクスチャー、
麻布の手触り、埃の匂い、どうしようもなく懐かしい。
手繰り寄せきれないデジャヴに、何度もとらわれていた・・・。

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事務机の上のディスプレイ。

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これは「お宝」コーナー。
何もいわゆる高価なものではないのだろうけれど、彼の「記号論」によるお宝たち。
テーブルの手前には、私とDanaさんからの「捧げ物」も、何気に仲間入りの栄誉に預かっている。

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さらっと、このコーディネートを無意識で創る師匠・・・。

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「お宝」というのは・・・この何層にも重なる引き出しの中に、
彼の作品の仕上げに使う、ありとあらゆる不思議なオブジェが詰まっているからなのだ。

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錬金術師の魔法のポーション。

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古い木のキャンドルスティック、剥げ落ちた状態を(で)保たれている壁。
痛んだテクスチャー、Imperfection(インパーフェクション=不完全)の美学。

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窓辺のレンズは、ペーターおじさんの世界を収斂する。

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楽園というのは、この地上に、満たされた魂の中にこそあるのだよね。
次回も引き続き、シャトーの中へ中へと拝見ツアーは続行予定。

ペーターおじさんの箱彫刻作品数点が、9月27日~10月2日まで、London、Battersea Parkで開催中のThe Decorative Fairに、オランダから出展のGaby van Schagenのスタンドで(スタンドNo. 19 訂正:80です。)展示予定。 ご興味の方は、ぜひどうぞ^^。

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