Saturday, 2 July 2011

Kentwell Hall(ケントウェル・ホール)

Kentwell Hall(ケントウェルホール)のチューダー期の人々と別れて、今回はもう少しお屋敷の奥の方に入っていってみよう。

U.K.にナショナル・トラストという、歴史的建築や自然を保護・一般公開する組織があるのは、日本でも知られているかと思う。このKentwell Houseなども典型的な、ナショナルトラストで保護・管理されているかのような建物。しかし、実際にはナショナル・トラストではなくて、インディペンダント(独立系)の一夫妻の情熱の産物。

Kentwell(ケントウェル)は1385年以来300年以上、Clopton(クロプトン)家の所領となった。
現在の建物は、このクロンプトン家の時代の1500年~1550年に建造されたと考えられている。最後の直系の末裔が1661年にここで亡くなった後は、遠縁の法律家、裕福商人、19世紀にはカナダで財を成した事業家の手に渡る。
第二次世界大戦中は英軍キャンプに徴収され、ノルマンディー上陸作戦の構築メンバーも、多数ここに駐留していたとか。

1969年に屋敷が売りに出された時には、痛みが激しく、この金のかかるお屋敷に、なかなか買手はつかなかった。
ちょうどこのころ、イギリスの各地から、同様の「維持できなくなった大屋敷」が売りに出されていた時代。大半は買い手がつかず、荒れるがままに放置されるか、引き倒されて農地等に転用されてしまった。

最終的に、Kentwellは、けしてミリオネアーでもなんでもないごく普通の夫妻、PatrickとJudithのPhillips夫妻に1971年に買い取られた。彼らは電気(ガス燈のシステム)も水道(ポンプで汲み上げ)もないこの屋敷にキャンプ状態で暮らし始め、まずは最も重要な屋根、次に電気や暖房のシステムを導入していった。基礎的な修復の出来上がった1976年以来、ホールの生き延びる唯一の手段として、一般への有料公開、イベントの開催が始まった。
それから、30年以上、ますます充実していったKentwell Hallは、イギリスの中でも珍しい、「数奇な幸運でよみがえった」16世紀の大屋敷といえる。
<詳しい英文の歴史は、このページこのページ
Kentwell Hall
前回チューダー期の奥方様がヴィオルを演奏していた部屋の隣は、この部屋。
1820年代に建築家Thomas Hopper(トマス・ホッパー)がデザインした、ネオゴシックスタイルの部屋。
壁や天井のディティールは修復されたもの。家具類はその部屋のイメージに合わせて、
オーナー夫妻が随時20世紀に導入していったもの。

Kentwell Hall
部屋のステンドグラス。

Kentwell Hall
隣の部屋に掛かるヘンリー8世とエリザベス1世の肖像画。

Kentwell Hall
部屋の窓際。ステンドグラスから差し込む光。

Kentwell Hall
一階の一番奥の書斎。

Kentwell Hall
階段を上がって2階へ。

Kentwell Hall
2階の主寝室。
19世紀の部屋に・・・20世紀も住み続けている大屋敷の末裔なら、
きっとこんな風なインテリアになるだろう・・・という、けっこうまぜこぜの様式。
とはいうものの、派手な壁紙は19世紀のトマス・ホッパーデザインの物。
壁のほんの一部に残っていた壁紙を元に、別注・再導入されたそうだ。

Kentwell Hall
その隣のバスルーム。
これも19世紀に建築家Thomas Hopper(トマス・ホッパー)がデザインしたもの。
ここは農場も兼ねているので、床のローマ風モザイクに豚や牛も描かれているのが愉快。
これは、現オーナーが修復する際に付け加えた「ご愛嬌」のよう。

Kentwell Hall
ドルフィン(イルカ)モチーフの蛇口。

Kentwell Hall
彫像をクローズ・アップで。

Kentwell Hall
別のウィングへと続く廊下の一角。この椅子・・・欲しい(笑)。

Kentwell Hall
廊下に沿って、いくつかベッドルームが続く。

Kentwell Hall
これはジャコビアン様式(17世紀)でまとめられた、ベッドルーム。

Kentwell Hall
ディティール。

Kentwell Hall
これは、19世紀の様式に統一されている。
カーテンが引かれてなんだか暗くて空気が流れてない部屋だな、と思ったら、
幽霊さん在住なのだとか。そうか、彼女のために暗くしてあるのか・・・(笑)。
ちなみに現オーナー一家の人は、いまだにどの幽霊さん
(何人か屋敷のあちこちにいるらしい)にも対面していないそうだ。

Kentwell Hall
幽霊嬢在住の寝室付属のバスルーム。ここも19世紀ヴィクトリアン風。

Kentwell Hall
2006年に雑誌「カントリー・ライフ」の、
「イギリスで一番ステキなお屋敷賞」を勝ち取った記念の額装のよう。

Kentwell Hall
この前も載せたが・・・、正面のイメージ。確かに「ステキなお屋敷」^^。
ケントウェル・ホールの情報は、ケントウェルホール・シリーズの最初の標本箱の一番下に。<このページ

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