Tuesday, 28 June 2011

Kentwell Hall(ケントウェル・ホール)チューダー・タイムトラベル・イベント-3-_

昨日は30℃近い夏日で、暑さに弱い私は溶けかけていたが・・・、さすがいいかげんな天候のイギリス、きょうはすでに10℃近く気温が落ちて、20℃程度。やれやれ・・・イギリスの夏はこれでなくっちゃ。
ここのところ、秋冬コレクションの仕込みと(もうしばらくしたらペンダントヘッドだけで、プレお披露目できそう)、8月末にDanaさんと出かけるノルマンディードライヴ旅行のプラン、春に滞在していたBudapestの大型写真本(もちろん、相変わらずBlurb本)の製作とで、妙に忙しい。標本箱の更新も遅れ気味・・・という、言い訳。

本題に入って、今回は(も)引き続き、Kentwell Hall(ケントウェルホール)より、チューダー・リ・エンアクトメントのイメージ3回目。
前回の農場風景から、今回はお屋敷の中に入っていく。
Kentwell Hall
お屋敷の正面はこんな風。
レンガ造りで角や窓枠が石組みなのが、典型的なチューダー様式。
うちのご近所Hampton Court Palace(ハンプトンコート・パレス)と同じ頃の建築。

この正面入り口から入るのではなくて、左のウィングに見学者入口がある。
入口に近づくと、なにやら・・・食欲をそそるいい匂い・・・。

Kentwell Hall - Kitchen
入った左奥がキッチンで、お屋敷側のディナーを準備中。

Kentwell Hall - Kitchen
卵、たまねぎ、青野菜がたっぷり。すべて、このお屋敷の農場で採れたもの。
世界的に悪評高いイギリスの食事だが、いちばん「おいしくない」要因が生み出されたのは、19世紀の産業革命の結果。
農村から工業都市に人口が集中し、その人口を支えるべく、食材を「保存食」として、都市に輸送・備蓄されるようになったため。
それともちろん、地中海地域に比べて、日照時間少ない、土地がやせている、夏の気温が低い・・・などという不利な条件もある。 やせた土地でもよく育ち、収穫の容易なポテトが主食で、「とにかく芋食っておこう」という、炭水化物に偏りぎみの食生活であったことは確か。
ちなみに、ポテトは南米ペルーからスペインに持ち込まれたのが16世紀後半、その後すぐにイギリスにも上陸したという話。
それ以前、たとえばここのお屋敷のチューダー期(16世紀前半)や、それ以前の中世に何を食べていたかというと・・・、主食は小麦・雑穀、そして、豆類。
特に庶民は「生えている物で食べられる物は何でも食べる」が、原則なので、結果として、少量の動物性たんぱく質(卵、チキン、豚肉)と、大量の豆類・野菜・ハーブと、雑穀という実はスーパー健康食を食べていた、ということになる。
ヘンリー8世が最たるものだが、食生活が肉類偏重で、その結果、痛風やらリューマチになった・・・、というのはもっぱら、一部ロイヤルや上流貴族階級の方々の話。
地方貴紳階級の、ここのお屋敷では、農場から採れる野菜がふんだんに使われている様子。

Kentwell Hall - Kitchen
シチューがパイ地に注ぎ込まれる。
入口まで漂っていた、とてもいい匂いはこのシチュー・・・。

Kentwell Hall - Kitchen
ここのお屋敷のチューダー・シェフ、

Kentwell Hall - Kitchen
と、そのおかみさん、

Kentwell Hall - Kitchen
彼女はお孫さんかな・・・。

Kentwell Hall - Kitchen
キッチンの一角。

Kentwell Hall - Baking kitchen
キッチンからは、建物の反対側になるのだが、ベーキングのかまどがある。

Kentwell Hall - Baking kitchen
パン製造中。このパンは試食させてもらえるのだが、オーガニック全粒粉なので、超美味しい。
「買える?」と尋ねたら、残念ながら販売はしていない。
あ、そうか、チューダー貨幣持ってこないと買えないのか・・・(笑)。

Kentwell Hall - Baking kitchen
パンをオーヴンにいれて、一段落したベーカリーの人々。 なかなか絵画風^^。

Kentwell Hall - Brewery room
ベーキングかまどの奥は「酒蔵」。
これがお屋敷用のワインなのか、「従業員」用のゆるいビール(水代わりの庶民の飲み物)なのかは聞きそびれた。

Kentwell Hall - Brewery room
酒蔵担当夫妻は、どちらかといえば「5月祭」の準備の方で忙しい。

Kentwell Hall - Brewery room
楽器をチューニング中。

Kentwell Hall - Brewery room
弦を張りなおしている。

Kentwell Hall - Brewery room
おかみさんの奏でる、メランコリックでひなびたチューンに合わせて、
だんなさんが、ほとんどハミングのようにして歌う。
感動的なチューンだったのだが・・・、カメラでヴィデオも取れることをすっかり忘れていた・・・。

Kentwell Hall - Brewery room
テーブルの端では、男の子がチューダーのボードゲームに挑戦中。

Kentwell Hall - Brewery room
ほーら、考えてる・・・考えてる^^。
次回もケントウェル・ホールより引き続き、お屋敷の中へ入っていって・・・、奥方様にお目通りする。

ケントウェル・ホールの情報は、ケントウェルホール・シリーズの最初の標本箱の一番下に。<このページ

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余談: 最初にチラッと書いたが、8月末にノルマンディーにドライブ旅行に出かける。目的は、ドライヴそのものではなくて、ノルマンディー在住の「箱彫刻家」Peter Gabriëlse(ペートル・ガブリエリザ)氏のアトリエ訪問と、Blurb本製作を前提にした写真撮影。
5月の最初に彼の作品を見つけて以来、その作品の世界に取り付かれたように魅了されている。
幸い私の写真を気に入ってもらって、フォト・セッションの申し出にも快く応じてもらえたので、今からもうハイテンションになっている^^。
おまけヴィデオは、チューダーとは関係ないが・・・そのガブおじさんのYoutubeヴィデオ。 
あー、8月末が待ちきれないよー。

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